タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第150話「いよいよ1〜3月期も最終週」

当初の予定では「恋は戦い!」以外、
すべて今週が最終回だったはずだけど、
なぜかすでに6本が終了。

予定はあくまでも未定で短縮とは言えないけど
それだけ今期の連ドラも視聴率が悪かったということか。

言い換えれば今週最終回を迎えるドラマは
営業的に成功している作品ということ。
期待してみよう。



『熱烈的中華飯店』  最終話

演出:鈴木雅之
脚本:林宏司

最後までかったるいドラマだった。
鈴木雅之がメイン演出なのにここまで出来が悪かったのは
ある意味、不思議なくらい。
脚本も良くなかったけど、
メインプロデューサーに力がなかったということか。

とにかくエピソードの詰め込み方がゆるくて、
ほとんどの回が間延びしているようだった。

この最終回に関してもテンポが悪くて
感動的なシーンはすべて空回り。

これまで橘(鈴木京香)を
それほど中心人物として描いてなかったので、
最後にみんなが橘を中心に結束しても
まったく感情移入ができなかった。

唯一、好印象だったのは
奈々子(瀬戸朝香)のキャラクターくらい。
後半になってかなり立ってきて、
作品全体のいいアクセントになっていた。

それはそうとこのドラマ、
こんな内容でレシピ本とか出してるよ。
本の通りに作ると必ず冷めた料理ができるんだろうな(笑)

まあ、ひとことでまとめてしまえば
豪華なキャストを使った失敗作だった。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  5.50(10点満点平均6)



『最後の弁護人』  第9話

演出:梅沢利之
脚本:秦建日子

どんな凶悪な犯人でも、
どんなに憎むべき犯人でも、
弁護士は犯人を弁護するのが仕事。

そこを描くために今回の被告を
強盗殺人の刑事裁判相当で送検された
未成年(森山未來)にしたのはいい選択だった。

ただ、結局は被害者のOL(純名りさ)に
殺意があったという展開。

弁護士の仕事については
有働(阿部寛)の過去と絡めて最終回に持ち越されるとしても
今回は未成年の凶悪事件についてもう少し突っこんで欲しかった。

次回を見てみないと何とも言えないけど、
この時点で今回のストーリーは選択を誤っているような気がする。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『刑事★イチロー』  最終話

演出:森田光則
脚本:黒土三男

結局、将軍(寺田農)はどうでもいい存在。
こんなことなら警察上層部の腐敗の話なんて
わざわざ絡める必要なかったんじゃないの?

このドラマのメインとなっていた一家惨殺事件に関しては
軽く笑って見られない内容になってしまったけど、
別府(津川雅彦)と陽子(前田亜希)の関係と絡めて
親子を描いた部分は一応つながっていた。

でも、だったらもっと別府と富恵(とよた真帆)の関係も
描いておくべきだったのにな。

まあ、くだらないドラマだったことには違いないけど、
この一家惨殺事件に関するエピソードは
それなりにテーマを示せていたということか。

頭を使うのが苦手な人向けに
こんなドラマがあってもいい、ということで。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★☆☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  4.67(10点満点平均6)



『HR』  第21話「八木田の母でございます」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

ストーリーはオーソドックス。
でも十分に面白かった。

やっぱり岸田今日子ってうまいな。
ここのところ豪華ゲストの連発だけど、
それならそれで楽しめる。

こうなると最終回にもゲストを呼ぶのか、
呼ぶとしたらどんな大物なのか、
興味が湧いてくる。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『恋は戦い!』  Round 10

演出:片山修
脚本:尾崎将也

杏子(坂井真紀)とゆかり(宝生舞)のキャラが
しっかりしていたおかげで、
ドラマ全体が大きく崩れることはなかった。

ただ、やっぱり肝心のハナコ(本上まなみ)、
芥川(伊原剛志)、豪(松岡充)の3人が
メインと成り得るほど深く描けてはいなかったので、
ストーリーとしての盛り上がりに欠けてしまった。

とくに芥川は仕事ができる男に見えなくて、
ハナコの心の揺れに感情移入するのはムリ。
豪にしても印象的なエピソードは少なく、
最後にハナコが豪を選ぶと決断しても、
ふーん、としか思えなかった。

本上まなみにも問題はあったと思うけど、
要するに物語の作りそのものが安かったということ。

テレ朝らしいといえばテレ朝らしいドラマだった。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  4.90(10点満点平均6)



『美女か野獣』  STORY 10

演出:西谷弘
脚本:吉田智子

よくある演出ではあるけど、
鷹宮(松嶋菜々子)の“CM入れて”のセリフで
ホントにCMを入れたシーンは
タイミングが絶妙で良かった。

でも今回も良かったのはそこだけ。
最後まで諦めずに
真実を突き止めるというストーリーはいいとしても、
あの放火事件に圧力がかかっているのは
バカバカしいくらい明らかなわけで、
鷹宮だけでも最初からそのことを
疑っている描写を入れておくべきだった。

そういう丁寧なプロットを作っておかないから
登場人物がみんな能無しにみえてしまう。
どうしようもないな。

鷹宮と永瀬(福山雅治)の過去も
結局、たいしたことなさそうだし…。

あと、竜雷太は最近こんな役ばっかり。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『年下の男』  第十回

演出:佐々木章光
脚本:内舘牧子

梓(麻生祐未)の愚かさ加減が、
可哀想でもあり、面白い。

ただ、謙吾(賀集利樹)の描き方は
ちょっと一面的過ぎるかなあ。
まあ、内館牧子の世代から見れば
あれが20代前半の男の代表的な行動なんだろうけど。

あと、改めて星野真里は内舘作品には似合わないと感じた。
決して演技力がないとは思わないけど、
もっとナチュラルな作品に出た方がいい。
ドラマ上のキャラクターとしては十分面白い存在だけどね。

さて、いよいよ最終回。
このドラマはどういう結末にするかにも
非常に興味がある。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『高校教師』  VOL.10 よみがえる純愛

演出:吉田健
脚本:野島伸司

今まで散りばめてきた布石が
一気に集結した感じ。

こういうテクニックに関しては
野島伸司の右に出る者はいないな。

個人的には橘(眞野あずさ)の心情が哀しくて
思わず泣いてしまった。
夫との想い出がある別荘というシチュエーションも含め、
湖賀(藤木直人)が橘の前から去るシーンは哀しかった。

藤村(京本政樹)に関するエピソードは
直接、湖賀と雛(上戸彩)に絡んでは来なかったけど、
こういう形で藤村の罪と報いを描くのなら納得できる。
最終回、手島(眞鍋かをり)がどう描かれるかにも興味が湧いてきた。

今回はまわりの人物にスポットが当たったこともあって
雛の心情についてはやや描き方が浅かったけど、
これは最終回にたっぷりと見せてくれると思う。

あと1回、最後まで堪能させてもらおう。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『スカイハイ』  第八死 フェイス(中編)

演出:北村龍平、高津隆一
脚本:高山直也

今回はもう笑えるシーンはほとんどなかったけど、
最終回前の盛り上げ方としては十分だった。

それにしても
イズコは堕胎による死だったのか…。
ハードな内容だなあ。

でもむしろ、
最初からそれくらいハードにやって欲しかった。

最後はきっちりと締めて欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『赤ちゃんをさがせ』  最終週 赤ちゃんからコンニチワ

演出:中村高志
脚本:宮村優子

生命の誕生に関するエピソードはやっぱり感動的で、
これにファンタジックなシーンを入れつつ
コメディタッチに仕上げたこの作品のセンスは上質だった。

役者もみんなハマっていて、
とくに麻生祐未のコメディはやっぱり面白かった。

ラストは多少、尻切れトンボな感じがしたけど、
これは制作者側も続編を考えているということなのかな。

次作品から主題歌も変わって新たなシリーズがスタート。
酒井法子主演「女将になります」、
松本明子主演「女神の恋」、
稲森いずみ主演「ブルーもしくはブルー」、
がすでに発表されている。

秋頃からでもいいから続編をやって欲しい。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  7.00(10点満点平均6)



『よい子の味方 〜新米保育士物語〜』  最終回2時間スペシャル

演出:大谷太郎
脚本:梅田みか

「金八先生」みたいな卒園式になってますけど(笑)

まあ、出だしのTV取材のあたりは
いつものようにたいして笑いも取れず、
無くてもいいパーツ。

でも一足先に引っ越しをしたケンタ(鎌田拓充)の話と
太陽(櫻井翔)自身の旅立ちを絡めた卒園式の話で、
なんとか2時間は持たせた感じかな。

最後にやっぱり太陽はひまわり保育園に、
という展開はドラマのお約束ということで…。

このドラマ、決して高級な作品ではなかったけど、
分かりやすさを重視して毎回うまくまとめていた。
狙い通りに作れていたという点では評価していい作品だったと思う。

ただ、一番の問題点は、
保育園と幼稚園の違いをきちんと描き切れていなかったこと。

幼稚園は文部科学省が管轄する教育施設であるのに対して、
保育園は厚生労働省が管轄する児童福祉施設。
だからこの最終回でも
大手の学校法人から吸収合併の話が来るというのは
ホントはおかしいんじゃないだろうか?

そして何より、
保育園は預かる子供が0歳児から6歳児までと幅広く、
マザリング(母性的養護)が必要不可欠という職場。
そこに男性保育士がどう入り込んでいくのか。
そのあたりもぜひ描いて欲しかった。

マジメな部分もちゃんとあったドラマなので
やろうと思えばできたと思うんだけどね。

それでも「ナースマン」よりは遙かにまともなドラマだった。

             採点  6.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.17(10点満点平均6)



『GOOD LUCK!!』  第9話

演出:福澤克雄
脚本:井上由美子

前回の新海(木村拓哉)の事故は、
一般における健康と
パイロットにおける健康の違いを
ドラマティックに描くためのものだったのか。

ハッキリ言ってドラマティック過ぎたような気もするけど、
木村拓哉の演技はなかなか良かったと思う。
とくに病院で父親(いかりや長介)から
もうパイロットには戻れないと聞いた時の演技とか。

こっぱずかしいくらい前向きな新海の姿には
リアリティーさが欠けるかもしれないけど、
それがこのドラマの良さでもあると思う。
制作者側の姿勢が一貫している点は評価したい。

結局、大きな失速もしないまま迎える最終回。
どれくらい視聴率を取るのかも興味深い。

             採点  7.0(10点満点平均6)





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