タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

>>バックナンバー >>ドラマ別レビュー


第152話「“IWGP”のマコトは死なず」

学園モノ以外ではかなり珍しい
3年ぶりの続編が作られた「IWGP」。
マコトはやっぱりマコトだった。

ドラマの中のキャラクターは
こうして生きているんだなあ、と
かなり感慨深かった。

現実の世界では古尾谷雅人氏が死去。
個人的には「ピポクラテスたち」や
「スローなブギにしてくれ」などの
映画での仕事の方が印象深いけど、
また個性的な俳優を失ってしまった。

昔の尖ってた頃の古尾谷雅人、好きだったなあ。



『HR』  第23話「校長先生、ご用心」

脚本・総合演出:三谷幸喜
映像演出:河野圭太

定時制高校1年生の話なので
もともと卒業という行事は使えないんだけど、
シメっぽくないバランスのいい最終回だった。

伊東四朗はやっぱり安心して見られたな。
まあ、一番得意な分野とも言えるわけだけど。

このドラマ全体に関して言うと、
斬新な企画だっただけに、
スタッフも最初は手探りだった感じ。
結果、前半はテンションが高すぎて
見ているこっちが疲れる回が多かった。

ただ、後半は作り手側も要領が分かってきたのか
全体のバランスが良くなってかなり楽しめた。

ドラマとしてのストーリーがあれば
それほどオチが強烈ではなくても締めることはできる。
後半はそのドラマ性が出てきたことが大きかったんだと思う。

新しいことをやってみようという
意欲は認めてもいい作品だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.43(10点満点平均6)



『ごくせん』

チーフプロデューサー:井上健
プロデュース:加藤正俊
演出:佐藤東弥
脚本:江頭美智留、松田裕子
脚本協力:横田理恵
原作:森本梢子(集英社「YOU」連載)
音楽:大島ミチル
主題歌:「Feel your breeze」V6
制作:日本テレビ
出演:仲間由紀恵、松本潤、小栗旬、石垣佑磨、成宮寛貴、脇知弘、伊東美咲、
   中澤裕子、生瀬勝久、宇津井健、金子賢、金田明夫、松本莉緒、沢村一樹、
   田山涼成、斉藤暁、なべおさみ、甲本雅裕、大隈いちろう、阿南健治、
   内山信二、村田宏、坂田聡、他

昨年4〜6月に放送された「ごくせん」の
3年D組卒業スペシャル。
連ドラのテイストを変えずに
無難にまとめていた。

前半のヤンクミ(仲間由紀恵)が生徒たちを守るパーツと
後半の生徒たち自身が問題を解決して
みんなで卒業を迎えるパーツとの構成が良かった。

この構成によって
ヤンクミが教えてきたことが
生徒たちにきちんと伝わっていたことも表していたし。

まあ、びっくりするくらいの単純な展開や
全体のゴツゴツとした雰囲気は相変わらずだったんだけど
この作品はそれでかまわないと思う。

ちなみに4月13日に
ディレクターズカット版が放送されるとか。
見逃した方はどうぞ。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆


『池袋ウエストゲートパーク』  SOUPの回

プロデュース:磯山晶
演出:堤幸彦
脚本:宮藤官九郎
原作:石田衣良「池袋ウエストゲートパークIII・骨音」
主題歌:「忘却の空」Sads
音楽:羽毛田丈史、FOE、KREVA
制作:TBS、TBSエンターテイメント
制作協力:オフィスクレッシェンド

出演:長瀬智也、佐藤隆太、森下愛子、阿部サダヲ、きたろう、岡本健一、
   クレイジーケンバンド(横山剣、廣石恵一、小野瀬雅生、洞口信也、
   中西圭一、新宮虎児)、RIZE(Jesse、金子統昭、中尾宣弘、U-ZO)、
   石橋蓮司、加藤あい、窪塚洋介、妻夫木聡、坂口憲二、矢沢心、
   西島千博、須藤公一、池津祥子、峯村リエ、森本ゆうこ、川崎麻世、
   ユセフ・ロットフィー、浅利陽介、東海孝之介、岡田准一、櫻井翔、
   岡田義徳、塚本高史、他

さすがに長瀬智也、窪塚洋介、妻夫木聡、
坂口憲二、加藤あい、佐藤隆太らが、
同じくらいの分量で出ることはなかったけど、
クレイジーケンバンド、RIZE、
そして木更津キャッツアイまでゲストに来て、
もの足りなさは感じなかった。

まあ、この作品は連ドラ時代から
キャストだけで引っ張っていたドラマではないので
当然といえば当然だけど。

その後の「池袋」の雰囲気を
きちんと描いていたのは評価できる点だった。

3年も経てば
マコト(長瀬智也)の顔を分からない若者も出てくるし、
キング(窪塚洋介)もカリスマではなくなる。
そういう意味ではみんなが連んでいないのも
リアルだったかもしれない。

逆にそういった味わいは
連ドラをリアルタイムで見ていた人間にしか感じられないわけで
単発ドラマとしてみると
初心者にはキャストの使い方が雑だったり
内容的にやや不親切だったりする部分もあったかな。

でも、ホームレス襲撃事件を「池袋」的な方法で解決していくという
本来のストーリーは描けていたと思うし、
何より水増ししたような2時間ではなく、
きっちりと作られた“続編”になっていたのは立派だった。

やっぱりブクロ最高!

             採点  8.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★★
                  演出  ★★★★★
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★★☆



『まんてん』

チーフプロデューサー:小見山佳典
チーフディレクター:笠浦友愛
作:マキノノゾミ
音楽:川崎真弘
主題歌:「この街」元ちとせ
宇宙監修:毛利衛
制作:NHK
出演:宮地真緒、藤井隆、宮本信子、生瀬勝久、三橋達也、浅野温子、小日向文世、
   大杉漣、鈴木紗理奈、赤井英和、氷川きよし、照英、角田信朗、山田花子、
   キムラ緑子、笑福亭松之助、永井流奈、ゴルゴ松本、広岡由里子、谷村美月、
   温水洋一、チューヤン、安藤亮司、小市慢太郎、木下政治、末成由美、他

ヒロインが宇宙を目指す内容で、
しかも実際に宇宙へ行った所まで描いたというのは
NHKの朝ドラにしてはかなり斬新だったかもしれない。

それでも、別に物珍しさだけを狙ったわけではなく、
内容も突き抜けていた点が好印象だった。

満天(宮地真緒)の父親、源吉(赤井英和)が
生きているのではないか、
というのは最初から想像できる描き方だったわけだけど、
そのエピソードをこの作品のテーマに
どう消化していくのかが一番の注目点だった。

これが単に夢を追うという意味だけでなく、
満天もきっと帰還できるに違いないという
確信の象徴になっている点が良かった。

コロンビア号の事故は、
第24週(最終週の1週前)の収録時に起きたようで、
この週のナレーションで事故のことが触れられた。
(お悔やみのテロップは事故直後の放送時に出た)

ただ、チャレンジャー号の事故のこともあり、
このドラマではそれ以前から宇宙へ行くことを
ファンタジックな部分だけでなく、
死を覚悟する旅立ちでもあることとして描いていた。
そこに全体的な深さが出ていたと思う。

ヒロイン・宮地真緒の演技は
最後まで向上したとは言い難いけど、
あの明るさは朝ドラのヒロインらしくて良かった。

ディティールに関しては確かに雑な部分も多かった。
それでも朝ドラの幅を広げるような今回の企画は
十分に評価していいと思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★★
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★☆☆☆






[ロビー田中の自己紹介]

[トップへ]