タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第175話「“BJによろしく”もついに終了」

4〜6月クールも続々と最終回を迎えている。
ただ「ぼくの魔法使い」が終わるのは7月上旬、
「こち池」に至っては7月中旬なんだよなあ。

総評はだいぶ先になりそう…。


『きみはペット』  10. 楽園からの旅立ち

演出:加藤新
脚本:大森美香

そう来たか。
…まあ、しょうがないか。

結果的にスミレ(小雪)がモモ(松本潤)と
再び暮らすことになるのはかまわない。
ただ、ドイツへの留学を取りやめたのは
個人的には疑問を感じるなあ。

留学前に結論を出し、
モモは予定通り留学へ行って、
帰ってきてまた一緒に暮らす、
というラストの方がよかった気がする。

空港からスミレの家に向かう途中、
モモがバイクにはねられるシーンも
あざとくてこのドラマらしくなかったし。

でもまあ、このドラマはよく作ったと思う。
自己愛(ナルシズム)と自尊心(プライド)の
アンバランスさを補正する
最も有効な手段がペットではないか、
という前提は非常に納得できるし、
それを恋人との関係において行おうとすると、
どこかムリをしてしまう、というのは、
高学歴のキャリアウーマンでなくても
理解できる部分だと思う。

原作にはない浅野(長塚京三)というキャラを立てて、
そのあたりをなるべくかみ砕いて説明しようとする意図も見えた。

ドラマとしてハッピーエンド的な締めを提示しつつ、
最後の飲み会でスミレが席に戻るシーンや、
浅野とのカウンセリングなどで、
スミレの新たな生き方を示唆したりもしていた。

小雪という見事にハマった女優がいたこともあっただろうけど、
これをドラマ化しようとしたこと自体がいいチャレンジだったと思う。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.75(10点満点平均6)


『ホットマン』  最終話

演出:中島悟
脚本:樫田正剛

最後までエピソードをつなぐことしかできなかった感じ。
最終回も志麻(小西真奈美)の暴行事件は
円造(反町隆史)の謹慎処分であっさり終了し、
円蔵、七海(山内菜々)、美鈴(矢田亜希子)は
唐突に沖縄へ行き、
七海のアトピーもコロっと治った。

コミック原作のドラマとしては、
最も陥ってはいけない場所に入り込んでしまった、
と言えるかもしれない。

原作のエピソードを忠実に再現するのは時間的にムリ。
だから作品の主旨を汲み取りつつ、
効果的にエピソードを選び、
あるいは脚色してドラマに仕上げる、
というのが一般的なやり方だと思う。

ひなた(市川由衣)の出生の秘密をカットしたり、
父親が残したお金のエピソードを膨らませなかったりしたのは、
いい選択だった。

だったらもっとカットしてもいいエピソードは
いっぱいあっただろうに…。

全体のほんわかとしたムードや
分かりやすさに徹した内容はよかっただけに、
この膨らまし切れないエピソードの羅列はもったいなかった。

結局、このドラマを救ったのは山内菜々だろうな。
上脇結友以来の逸材と言っていいだろう。

彼女を発見しただけでもこのドラマの存在意味はあった。

             採点  5.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.05(10点満点平均6)


『あなたの人生お運びします』  最終話

演出:生野慈郎
脚本:大石静

展開としては予定調和なんだけど、
見事な大団円だったと思う。

とくにマッキー(藤原紀香)とケンちゃん(山口智充)が
勇介(佐々木蔵之介)と愛子(小池栄子)を迎えに来た時、
勇介が愛子に怒鳴ったシーンは盛り上がったな。

この作品はあくまでもフィクションのドラマだったわけだけど、
アート引越センターの成功は誰もが知っているので、
エピソードに説得力があった。

ドキュメンタリーではないのに
そんな雰囲気も味わえる、
ある意味、新しいタイプの作品だったと思う。

キャスティングもほぼ無駄が無くて、
主役の藤原紀香や山口智充だけでなく、
脇役も見事にハマっていた。

最高級の作品ではなかったかもしれないけど、
ドラマ史的には見ておくべき作品だったと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.82(10点満点平均6)


『動物のお医者さん』  第10回

監督:山崎貴
脚本:江頭美智留

うーん、3本目の「さよなら、平九郎」を筆頭に
内容的にはかなり面白かったんだけど、
やっぱりテンポが悪かったなあ。

演出というか、編集にちょっと気を使うだけでも
もっと見やすくなると思うんだけど…。

いずれにしても、もう最終回を残すのみ。
最後は佐藤嗣麻子できっちり締めて欲しい。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『ムコ殿 2003』  10

演出:久保田哲史
脚本:都築浩

借金返済のため、
裕一郎(長瀬智也)の実の母親(風吹ジュン)が、
結婚の情報を遠藤(平賀雅臣)に売るという展開に。

当然のことながら絶望する裕一郎。
母親に会わせてしまった筋山(松下由樹)は責任を感じ、
オフィス・トライアングルに辞表を出す…。

まあ、2年前に生まれた桜庭裕一郎というキャラを使っている以上、
最終的に裕一郎がすべてを世間に告白し、
それでも歌を歌い続けるというのは予想される範囲か。

最終回の見どころとしては、
母親の最後の決断をどう描くか、
石原家をどこまで絡ませるか、だろうな。

ただ、ここまで来ると、
もうヒカリ(星野真里)の存在は無きに等しい。
もっと深く関わる役だと思ったんだけどなあ。

今回のヒカリから筋山への電話シーンなんかは
取って付けたみたいで白けるだけだったな。

普通なら最終回は時間延長というノリだけど、
今やよほどのことがない限り、
ドラマにそんな力はない。

通常の時間でうまくまとめられるか。
最後にお手並み拝見だ。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ブラックジャックによろしく』  最終話

演出:平野俊一
脚本:後藤法子

ドラマ的には成長ドラマの体裁を取らざるを得なかったので
無難にまとめたという感じだった。

英二郎(妻夫木聡)がムリに受け入れた子供は
かろうじて命を取り留めたものの、
英二郎は安富(鹿賀丈史)に
“命を預かることの怖さを分かってない”
と叱責される。

“自分の限界を知ろうともせず理想ばかり追いかける。
 君は患者にとって最も危険な医者だ”と。

白鳥(三浦友和)から
“やり残したことでもあるんじゃないのか?”
と指摘された英二郎は、
以前、患者を放り出したまま逃げ出してしまった誠同病院に。
退院していくあの日の患者をカオリ(鈴木京香)と見送る。

そしてその夜、
牛田(杉本哲太)が一度は受け入れを拒否した患者を
英二郎は頼み込んで受け入れてもらい、
カオリと共に患者を救う、という展開に。

“バカでもずっと続けりゃ本物になる。本物になれ”
という服部(緒形拳)のセリフが
一応、このドラマの結論となった。

まあ、このあたりでしょう、落とし所としては。

原作にかなり忠実だったここまでの内容を考えると、
だいぶ軽い締めになってしまった印象は歪めない。
やっぱり徹底的にやるには1クールは短すぎたな。

あと、ずっと謎の客として登場していた小林薫が
途中降板したのはどうやら事実だったよう。
まったく触れられないまま終了してしまった。

本来なら最後に絡ませる予定だったと思うので、
このあたりも最終話の精度に影響が出たかもしれない。

とは言うものの、
全体的には丁寧に作られたドラマだった。

オリジナルでも常にこれくらい力を入れて作れるような
パワーのある企画を望む。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★★
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★★☆

           平均採点  7.95(10点満点平均6)


『OL銭道』  最終話 銭街道に咲く一千万の花

演出:徳市敏之
脚本:高橋ナツコ

まあ、ぶっちゃけた話、
あやめ(菊川怜)が真一(沢村一樹)に
どういうスタイルで気持ちを伝えるかが
最大の注目だったわけだけど、
偽バッグの被害者のために使った一千万を
一年間で貯めて返せ、というものだった。

ここでのセリフが
過去にあやめと真一が別れた理由にもなっていて
かなりグッと来た。

“私だったら好きな人のために死ぬ気で貯めてみせる”
というあやめに、真一は
“一千万なんか無くったって結婚できるよ。
 そういう気持ちさえあれば”
と反論する。

しかし、あやめは言う。
“5年前もそう言ったわよね。
 愛さえあればお金なんかいらないって。
 そんな真一が嫌いだった。
 だって、現実にはお金がなくちゃ生きていけないでしょ?
 もしも大好きな人が病気になったらどうするの?
 死ぬ気で働いて守ってあげたいじゃない。
 別にお金持ちじゃなくたっていい。
 贅沢なんかしたくないわ。
 けど、お前のために稼ぐよって言って欲しいのよ。
 一緒に生きていく相手なんだから”

あやめ自身が真一と別れたあと、
本当に質素な暮らしをして
実際に一千万円を貯めているから
これがまた説得力あるんだよな。

結局、真一は本当に一年間で一千万円を貯め、
あやめを迎えに来る。
ラストシーンはこのドラマらしいハッピーなカットで
気持ちのいい終わり方だった。

もちろん、今回で言えば
ボッタクーリの社長に関するエピソードなどは
かなりお粗末だし、
何よりメリハリのない菊川怜の演技は
作品のクオリティーをだいぶ下げた。

ただ、そういうことを考慮しても
全体的にはよくできたラブストーリーだったと思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.40(10点満点平均6)


『女神の恋』  最終週「吉子さんの吉日」

演出:柴田岳志
脚本:田渕久美子

最後は微笑ましくまとめたけど、
全体的には予想よりのっぺりとした作りだった。
たぶん、15分×4日(月火水木)×5週というのは
構成が難しいんだろうな。

ハッキリ言えば
もっとエピソードを詰め込んでも大丈夫だった。
田渕久美子は朝ドラも書いたことがあるんだから
もう一回やったら相当良いものができそうな気がする。

まあ、松本明子と山口祐一郎の
ラブコメディーという企画自体は
十分に楽しめたけどね。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.20(10点満点平均6)


『ぼくの魔法使い』  10 アイ ラブ ユー OK?

演出:相沢淳
脚本:宮藤官九郎

泣けたなあ。
ずっと笑わせるシーンは散りばめてあったんだけど、
それでも後半やたら泣けてしまった。

“魔法にかかっていたのは
 るみたんの方でしたっ”だって。
もう泣き笑いだよ。

ところで今回、
たくさんの変身シーンが出てきたけど、
ぶーたんの顔はやっぱり篠原涼子が一番カワイかった。
さすがだ。

最終回前に「タイタニック」で休みが入ってしまうという
最悪の編成は日テレだから諦めるしかない。

次々週、「タイタニック」を蹴落とすラブストーリーを見せてもらおう。

             採点  8.0(10点満点平均6)


『笑顔の法則』  最終話

演出:清弘誠
脚本:寺田敏雄

最も伝えたかったであろう
笑顔の連鎖という部分はそれなりに納得できた。
ただ、それにしても、
セリフの中で“笑顔”と言われてもなあ。

日常会話で“笑顔”って言うか?
最初から文学的表現で統一してるならともかく、
こんなに大衆的なストーリーだったら
せめて“笑ってる顔”ぐらいにすればいいのに。

まあ、それはいいとして、
桜井(阿部寛)から金を受け取ることで解決するんじゃ
意味ないんじゃないの?

ていうか、桜井と祐美(竹内結子)の恋愛なしで
ストーリーを完結させるなら
今までの描き方は間違ってたんじゃないの?

最後に編集長(升毅)とさつき(滝沢沙織)、
和也(西島秀俊)と恵(宮地真緒)を強引にくっつけたりして
安っぽさだけは際立ってたしなあ。

最後まで安い脚本、軽い内容だった。

             採点  4.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  4.95(10点満点平均6)






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