タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第176話「“ぼくの魔法使い”の休みはフジのせいだった」

なぜ「ぼくの魔法使い」の最終回前に
日テレは「タイタニック」を挟んだのか不思議だったんだけど、
フジの27時間テレビのせいだったんだね。

金曜日に前編、土曜日に後編を放送すれば
土曜日の夜からスタートする27時間テレビの視聴率を
かなり喰えるわけだし。

またしてもテレビ局の平均視聴率争いに
ドラマが影響を受けたってことか。

まあ、民放なんだからしょうがないね。


『こちら本池上署』  第11回 狙え!総監賞

演出:大久保智己
脚本:櫻井武晴

テーマは悪くなかったけど
脚本も演出も良くなかった。
大久保智己の回は全部ダメだな。

紺野もメインゲストの扱いではなくて残念。
演出家によるムラはやむを得ないか。

             採点  5.5(10点満点平均6)


『東京ラブ・シネマ』  Film 11

演出:成田岳
脚本:藤本有紀

ここへきてやっと恋愛部分と仕事の話が
まともに絡んだ感じ。

黒沢(大江千里)の務める大手商社が
映画の上映を止める理由は実際にありそうだったしな。

ただ、この手の話はハッピーエンドが当たり前なので
最終回の質を高めるのは意外と難しい。

坂本(伊東美咲)、暎二(玉山鉄二)カップルの所で
いいシーンを作ってくれるといいんだけど…。

あんまり期待しないで見てみよう。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『伝説のマダム』  最終話

演出:白川士
脚本:野依美幸(アシスト:マダム・マリ)

偽物に関するエピソードは、
マダム(桃井かおり)がヒカル(夏木マリ)に
自分の果たせなかった夢を託すという形で
名前を譲ってしまう意外な展開。

ただこれは世界中にマダム・マリはいるのかも、
という提示になっていてなかなか面白かった。

マダムとゼームス(草刈正雄)の関係については、
もうすでに分かっている内容を
くどく説明するような場面があってややマイナス。

この手のドラマは感性で理解する部分も多いので
ヘンにかみ砕く必要はなかったんじゃないかな。

玲子(永作博美)は結局、
ストーリーには大きく絡んでこない存在だったけど、
マダム・マリと世間を繋ぐような役割は果たしたと思う。

本当に幸せになりたいと思えば、
誰でもマダム・マリを見つけられると思うしね。
ラストの玲子のように。

だってドレスが幸せにしてくれるわけじゃなくて、
本人の努力によってつかみ取れるものなわけだから。

とにかくこのドラマは、
10年間あたためた企画を
こういう形で作品にしたということ自体がすごかったと思う。

そのアイディアと桃井かおりのセンスが見事に融合して
ドラマの質も化学変化的に高まったんだと思う。

ジェンダーに関する奇抜な側面もうまく物語の中に組み込んで、
夫婦になることの深い愛情を描いた
ハイセンスなラブストーリーだった。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  7.14(10点満点平均6)


『顔』  最終回 もう一つの顔に逢える

演出:土方政人
脚本:高橋留美

とりあえず西島(オダギリジョー)は救われたから
これで良しとするか。

ただ、ドラマ全体としてはずっとバラバラで
数が多いだけの登場人物は中途半端なキャラ立ちのまま。
最後まで必要ない人の方が多かった。

エンディングで新聞記者の内村(海東健)まで敬礼していたのは
もう笑うしかなかったしな。

ひとことで言えばドラマ化は失敗。
構成のマズさだけでなく、
オリジナリティーのない演出や音楽も
足を引っ張る形となった。

登り調子だった仲間由紀恵には
ご愁傷様でしたとしか言えない。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ☆☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  6.27(10点満点平均6)


『マルサ!!』  FINAL MISSION

演出:若松節朗
脚本:戸田山雅司

おお。
大局を見て動いているという国領(渡哲也)は
なかなか魅力的な敵だった。

“100%の正義はない”と
自信を持って言い切るシーンも説得力があったし。

でも、だったら余計に
国領が途中まったく出てこなくなった回はもったいなかったなあ。
ほんの少しでも出演させて、
何か暗示させるセリフでも吐いていて欲しかった。

そうすれば最終回に向けて
徐々に盛り上がってくる雰囲気も出ただろうに。

ただこれはもう、構成とかいうより、
裏事情が絡んでくることなんだろうな。
しょうがないか。

峰葉(森口瑤子)はどうなったのか、とか、
どういう手順で三課が再編成されたのかなども
もう少し説明があった方がよかった。

まあ、ラストのなぜあの2人が結婚?というシーンから
やっぱりミッションだったという締めは
このドラマらしくて良かったけどね。

単純に一話完結と考えると
最終回が一番面白かったかもしれない。

この最終回に向けて最初からプロットを組み直すと
もう少し見ごたえのあるドラマが作れるかもね(笑)

気楽に見られる作品という意味では
まあ合格点だった、
という印象に最終回を見てなった(笑)

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  6.17(10点満点平均6)


『ダイヤモンドガール』  最終話

演出:小椋久雄
脚本:吉田智子

本来は何年もかかるであろう医療過誤の裁判を
1話で描くのだから簡潔な内容になってしまうのは仕方がない。
そういう意味では出来すぎの最終回ではあったけど、
麗香(観月ありさ)の成長物語という
作品本来のテーマはよく描かれていて、
気持ちのいい終わり方だった。

麗香と鍋島(岸谷五朗)の関係、
夏目(谷原章介)と詩織(原沙知絵)の関係も、
ハッキリとした結論までは描かず、
お互いがお互いを理解しあえたという部分で
止めた構成も良かった。

脇役もみんな個性的で良かったんだけど、
個人的にはモーリス君子(白川由美)のキャラを
少ない出番でうまく描いていたと思う。

裁判で負けたあと、
麗香に“あの時クビにしておけばよかった”と
麗香の成長を喜んでいるような言い方をしたのは秀逸だった。

結局、この最終回も脚本は吉田智子が担当。
メイン脚本だった川嶋澄乃は4話書いただけになった。

メイン脚本が最終回を書かないのは珍しい。
でもこれはハッキリ言って初回の出来の悪さが影響していると思う。
それくらい出だしは酷かった。
それでもここまで盛り返した他のスタッフには敬意を表したいと思う。

そして改めて感じたのは
観月ありさ、岸谷五朗の底力だ。

決して新しい演じ方ではなかった。
いつもの観月ありさであり、
いつもの岸谷五朗だった。

それでも最悪の滑り出しをした作品の中で
自分の個性を精一杯発揮し、
ドラマのトーンを修正してみせた実力はたいしたものだった。

このフジ系水曜9時枠は
来期からドラマが撤退するわけだけど、
最後まで諦めずに、よりいいものを作ろうとした姿勢には
拍手を送りたいと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  6.50(10点満点平均6)


『新・夜逃げ屋本舗』  最終話

監督:原隆仁
脚本:真崎慎、川崎いづみ、長崎行男

岩丸(石橋蓮司)との戦いはバカバカしくて
それなりに面白かったけど、
結局、鰐淵晴子の正体は描かれないまま。

最後まで安〜いドラマだった。

             採点  5.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★☆☆☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ☆☆☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  5.09(10点満点平均6)


『動物のお医者さん』  最終回

監督:佐藤嗣麻子(第一幕)、久野昌宏(第二幕)
脚本:横田理恵(第一幕)、吉沢良太(第二幕)

明るく終わろうという意図で、
シリアスな「チョビ、帰らず」を第一幕にしたのは別にかまわない。

ただ、このドラマは結局、
チョビのセリフを声優とテロップで混同させたり、
監督によって編集のテンポが違ったり、
スタッフ全体のイメージが統一できていなかったと思う。

テレ朝らしいコミックの雰囲気を残したままのドラマ化は
それなりの意味があっただけに、
非常にもったいなかった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.50(10点満点平均6)


『ムコ殿 2003』  FINAL

演出:西浦正記
脚本:都築浩

やっぱり1時間ではムリだった。
というか、前回までに
ネタを広げすぎていたという感じ。

母親(風吹ジュン)の件、筋山(松下由樹)の件、
そして大手プロの暴力団との癒着の件(シャレにならねえ〜)など、
すべてがあっさりと解決してしまって、
全体が軽い印象になってしまった。

意外だったのは、
最後に裕一郎(長瀬智也)が家族のことを公表せず、
歌を歌うだけで終わらせた点。

これはドラマとして盛り上がりに欠けたとも言えるけど、
パート2で示した制作者の新たなメッセージとも取れた。

つまり、公人と言えるアーティストが
プライベートに関する質問にも
すべて話さなければいけないのかという問題だ。

確かに下世話な興味として
スターの私生活を知りたいという欲求はあるけれども、
本当は発表される作品のみで
そのアーティストを理解すればいいのではないか。

そのことをドラマ全体で示したようで
非常に興味深かった。

このドラマの公式HPにあるBBSには
途中から出演者や作品に対するバッシング発言が増え、
そのことに栗原Pが自ら反論したことでBBSがさらに混乱し、
閉鎖されるまでに至った。

だったら最初からBBSなんか設置せず、
このドラマも出来上がった作品がすべて!と
自信を持って送り出せばよかったのに…(笑)

まあ、とにかくこの作品は
当初の企画自体は悪くなかった。
出演者もほぼ完璧だった。

ただ、リスクを背負って生放送をするなど、
策を講じ過ぎていい部分も消してしまった印象はあった。

分かりやすい王道的な作りで
笑って泣けるストーリーを
そのままシンプルに作っていれば…、と思うと、
ちょっと残念な仕上げ方だった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.91(10点満点平均6)






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