タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第18話「久しぶりに山田太一を堪能」
今日は昼間からずっとビデオを見ていて
疲れたらテレビを見ていた(笑)そして改めて感じたこと。
“夕方に見る「水戸黄門」は面白い”
『初体験』 crisis 4
演出:土方政人
脚本:神山由美子
ストーリーとしては劇的な展開がなくても
こういうボディーブローを
前半に打ち込んでおくのが神山脚本のうまいところ。正直言うと、
病院で犬が死んでしまった時の
真智(水野美紀)の感情を、
もう少し丁寧に描写しておいた方が
よかったような気はする。最後のフサちゃん(藤木直人)への言葉が
多少、唐突な感じがしてしまったからね。でも、真智のフサちゃんに対する感情、
フサちゃんの真智に対する印象の変化を示す意味では
重要なエピソードだったと思う。由加里(篠原涼子)に対する
ささやかな嫉妬の描き方は丁寧。当然、由加里のフサちゃんに対するアプローチは
これからも続くと思うけど、
何もなかったのに真智が嫉妬してしまったことを
とりあえず描いておいたことは、
今後の展開を考えれば有効になるはずだ。美佐(畑野浩子)と歩(小泉孝太郎)の関係も
やっぱりドラマに深みをつけてきた。27歳までヴァージンだった
真智のようなタイプの女性を描く時、
由加里、琴美(坂井真紀)、
そして美佐のような女性を
象徴的に配置する効果は大きいと思う。これに喫茶店のマスターに関するエピソードが
どうからんでくるのか。
かなり興味深い。フサちゃんの夢が
カメラマンになることだったことも
サラっと描いていた今回。
静かだけどかなりの“crisis”だった。採点 7.5(10点満点平均6)
『恋するトップレディー』 4
演出:河野圭太
脚本:江頭美智留基本的な内容はいいんだけど
やっぱり前振りがわざとらしいんだよな。沢村(葛山信吾)のホンネとかも、
ちはる(中谷美紀)の純粋さを際立たせるために
使い古されたステロタイプなものにしてしまうし…このへんの前振りが丁寧なら
最後にあった八潮(柳葉敏郎)とちはるの
市長室でのやりとりも
もっと効果的になるのに。とにかく全体的に
わかりやすさを重視しすぎて
軽い作品になってしまっている。採点 6.0(10点満点平均6)
『ロング・ラブレター 〜漂流教室〜』 第4話
演出:木村達昭
脚本:大森美香印象に残るセリフもある。
メッセージも伝わってくる。
ただ、このドラマには
芯となる一貫したトーンがない。1・2話を演出した水田成英の責任かなあ。
ひとつひとつのパーツは美しくても
きちんと組み合わされないとパズルは完成しないのに。ところで、
かおる(水川あさみ)の母親が
「金八」の本田先生(高畑淳子)だった。
とりあえず桜中学は漂流してないようだな(笑)採点 6.5(10点満点平均6)
『続・平成夫婦茶碗』 第四話
演出:長沼誠
脚本:森下佳子今回、エピソードとしては今イチだったかな。
ドラマ全体の流れで話が進んだのは、
最後に灯(優香)が前向きになった程度。強いて言えば
節(浅野温子)がなぜこの世に来たか、
というあたりを明確にしたかったんだろうけど、
それほど意外な真相があるわけじゃないしね。
ま、中休みという感じかな。前回、結婚式のシーンで
唐突に香織(矢沢心)が呼ばれていたので、
このドラマにしては不親切だなあ、と思っていたら
ちゃんと今回説明があった。あれはお互いに気がついてなかったんだね。
今回から玲子(鈴木杏樹)の店で働いている香織が、
節の話をしている満太郎(東山紀之)を見て
思い出していた。これから矢沢心まで加わると
玲子の店のシーンは
ますます面白くなりそうだ。採点 6.5(10点満点平均6)
『プリティガール』 第4話
演出:吉田秋生
脚本:青柳祐美子相変わらず寒いセリフは満載なんだけど
ストーリーとしてはそんなに悪くない。
ていうか、面白いといえば面白い(笑)宇津井健のシーンだけじゃなく、
コブちゃん(吉沢悠)の存在も大きいんだよな。
今回、歩美(米倉涼子)とのやり取りなんかは
かなりグッとくるものがあった。ファンタジーテイストが嫌いな人も
開き直って見てみよう(笑)採点 6.0(10点満点平均6)
『この冬の恋』
企画:長部聡介、近藤晋(東北新社クリエイツ)
プロデュース:金井卓也、鶴岡智之(東北新社クリエイツ)
演出:宮本理江子
作・脚本:山田太一
出演:田中美佐子、渡辺えり子、小林稔侍、要潤、大隅いちろう、平岩紙、他2月1日に放送された山田太一ドラマスペシャル。
演出は「ビーチボーイズ」「アフリカの夜」「タブロイド」
なども手掛けた山田太一の実娘、宮本理江子(旧姓・石坂)。以前から待ちこがれていた親子共演が
宮本理江子の産休後、すぐに実現した。
もともと宮本理江子は
アクの強い演出をするタイプではないけど、
役者の魅力を引き出した上質の作品だったと思う。ストーリーは…、
高校の先輩・由香(渡辺えり子)と
ハウスクリーニングの会社を経営している
圭子(田中美佐子)は38歳の独身。
圭子は、ホストクラブで知り合った克(要潤)と
月15万円で時々会う契約を結ぶ。ある日、克は結婚したい相手ができたからと
契約の打ち切りを申し出る。
どちらかがイヤになったら終わり
という約束だったので
圭子もその申し出を認めるが、
すでに愛情に変わっていた圭子はイラつく。しかし、実は克の結婚話はウソで
彼もまた圭子を本気で愛し始めていた…。
みたいな感じ。キレイゴトと言われればそれまでのストーリーだけど
自分の気持ちに真正面から向かい合う
きめの細かいラブストーリーだった。山田太一がキャストをイメージして書いたというだけあって
田中美佐子、渡辺えり子、小林稔侍の演技が見事。
とくに小林念侍は最高だった。11歳年下の恋人役を演じたのは
仮面ライダーアギトの氷川誠・要潤。
彼が2枚目だけどホストには向かない
彫金師を夢見る好青年を見事に演じていた。この作品、この克役がダメだったら
クオリティーはかなり下がっていたと思う。
要潤は小林念侍や渡辺えり子との絡みも
負けずに頑張っていて、今後に期待できそうだ。ここ数年の山田太一の作風とは少し違っていて
かなり楽しめた作品だった。採点 7.0(10点満点平均6)
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