タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第181話「やっぱり大穴は日テレから…!?」

7月クールの連ドラもすべて始まった。
好みは人それぞれあるだろうけど、
質としては「STAND UP!!」がズバ抜けていい。

そして最後に始まった「すいか」が今期の大穴だった。
少なくとも30代の女性は見ておくべきでしょう。



『ひと夏のパパへ』  「木綿のハンカチーフ」♯2

監督:廣木隆一
脚本:樫田正剛

いいセリフがないわけじゃないんだけど、
各シーンが独立してしまって
全体のうねりが出せないという
「ホットマン」と同じパターン。

薪平(北村一輝)と海老原(大沢樹生)、
まりも(上戸彩)とさつき(沢尻エリカ)の関係を
友達ということで括っていたわけだけど、
一生つき合いたいと思っている友達関係であることなどは
どこにも描かれてないので、
最後に薪平がいいセリフを吐いてもカタルシスは得られない。

そもそも今回は、
冒頭でまりもと燐太郎(市原隼人)のキスシーンを
リアルタイムの描写として取り入れたこと自体、
物語の構成としては間違っていると思う。

あそこはまりもがまねき猫などで
昼間にあった出来事を思い出している、
という構成で始めるべきだった。

メインストーリーはあくまでも
薪平が海老原を守る話。
まりもが燐太郎にキスされてしまうのはサブストーリー。

そこをしっかりと冒頭で示すことができてないから
全体の流れがギクシャクしたまま進んでしまう。

まあ、普通は気にしないか、そんなこと。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『幸福の王子』  第二章

演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦

あまり重たくならないように、
途中で何度か時間軸の現在である
繭(綾瀬はるか)のシーンを入れるのはいい。
“何で携帯電話使わないの”はいらなかったけど。

あとは周平(本木雅弘)が転落していくエピソードだろうな。
今回は当時大学生だった良介(渡部篤郎)の策略ということで
多少子供じみた出来事による不幸でも許せたけど、
毎回こんなお約束のエピソードでは苦しい。

まあ、“ひとごろし”と書かれたノートや、
則子(坂下千里子)も今は裕福な暮らしをしてないことなど、
複雑なエピソードを用意してある感じはする。
じっくりと見てみよう。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『愛するために愛されたい』  2

演出:松田秀知
脚本:梅田みか

玲子(黒木瞳)に関する部分は面白い。
玲子自身も何かの力によって蘇っていることに
少しずつ気づき始めた。

そしてそのことを
宇宙というアイテムの中で描くことも
おそらく間違ってない。

でも…、
やっぱりこの味つけは相当ズレてるよなあ。

パイロットの訓練シーンとか、
坂口憲二のビオラとか、
視聴者を笑わせてどうする。

日本初の有人宇宙飛行って
本当にまだまだ先のような気がしてきた(笑)

             採点  5.0(10点満点平均6)



『高原へいらっしゃい』  第二話

演出:今井和久
脚本:前川洋一

うーん、結局、
今のドラマはこんな作りにしちゃうんだよな。
最後を感動的にみせるため、
必要以上に従業員たちの身勝手さを強調したり…。

そりゃ現代人はこんなもの、と言われたらそれまでだけど、
判で押したように描き方が同じなんだよ。

あと、社長(竹脇無我)が
ホテルは夏の間だけ営業して秋には売ると言っていたことも。

こういうエピソードを入れておかないと
間を待たせる自信がないんだろうな。

ストーリー的には
オリジナルでも重要な雑誌記者役だった杉浦直樹が
ホテル評論家として登場した。

これも全然ワクワクする展開じゃないけど、
もう少し我慢してみるか。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『Dr.コトー診療所』  第2話

演出:中江功
脚本:吉田紀子

島民、とくに漁師達の離島医に対する態度は
少し大袈裟に描きすぎる気はするけど、
全体のトーンはすでに固まった感じ。

今回は千石規子がやたら良かった。
手術後、息子(國村隼)の船が出ていくのを
病室で見送る時の表情が個人的には好きだったな。

あと、中江功の映像は昔からキレイだけど、
誠(國村隼)が乗る舟が港から出ていくところを
コトー(吉岡秀隆)が船尾方向から見ているシーンがとくに美しかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『STAND UP!!』  02

演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ

小ネタ探しをするつもりはないんだけど、
「東京約1週間」にはしばらく笑っちゃったなあ。
あと、片平なぎさが2時間サスペンスの再放送を見て
犯人を当ててたところとか。

で、その片平なぎさ、
正ちゃん(二宮和也)のお母さんが言ってたように
“若いっていうことは、
 さびしくって、情けなくて、不器用で、
 たくさん傷つくってことでもある”

そこをこのドラマは実に繊細に描いてるんだよな。

今回もまた最後の正ちゃんと千絵(鈴木杏)のシーンで
グッと来てしまったけど、
童貞4人組の関係もいい。

これ、他の演出家が撮ったら
すごく類型的な4パターンのキャラで描いてしまうに違いない。
やっぱり若者を撮らせたら堤幸彦は頭ひとつ抜けてるな。

細かいところでは
最後にケンケン(山下智久)が正ちゃんの家へ
千絵を訪ねていくシーンで、
ケンケンを画面に入れず
“たのも〜”と声だけにした演出が好きだった。

正ちゃんが妄想の中で
いすず先生(釈由美子)から“来て…”と誘われるシーンは、
“正平、いきまーす”と応えた方がよかったけどね(笑)

見終わると早く次が見たくてたまらない。
1週間が待ちきれない。
約1週間で次を放送してくれまいか。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『特命係長・只野仁』  第二話 美女アナ

演出:塚本連平
脚本:尾崎将也

今回のゲストは大竹一重。
“いいわ〜”だって。

Vシネマやピンク映画の経験者が必ず出るのかな。
たいしたベッドシーンじゃないけど。

今回は前回より多少、笑い所があった。
笑えないと居たたまれないので
できるだけ笑わせて欲しい。

             採点  5.0(10点満点平均6)



『ブルーもしくはブルー 〜もう一人の私〜』  第三週 復讐

演出:国本雅広
脚本:中谷まゆみ

もう一人の自分が本当の自分になってしまう展開。
佐々木蒼子(稲森いずみ)の恐怖がジワジワと感じられて
もうまったく目が離せなくなった。

佐々木蒼子が河見蒼子(稲森いずみ)をいくら責めても
それは自分自身に過ぎない。

嫉妬も羨望も怒りも
すべて自分自身に向けられているという事実。
よくできてるなあ。

ドラマとしても稲森いずみの演技は立派。
撮影の技術もすばらしいと思うけど、
実際にはいない相手を見る稲森いずみ自身の想像力、
少しずつ変化する河見蒼子のキャラクター作りなどは
十分に褒めていいレベルだと思う。

いよいよ最終週。
衝撃の結末とは…!

             採点  7.5(10点満点平均6)



『すいか』  第1話

チーフプロデュース:梅原幹
プロデュース:河野英裕
協力プロデュース:西口典子
演出:佐藤東弥
脚本:木皿泉
音楽:金子隆博
主題歌:「桃ノ花ビラ」大塚愛
制作:日本テレビ
出演:小林聡美、ともさかりえ、浅丘ルリ子、市川実日子、小泉今日子、
   高橋克実、金子貴俊、白石加代子、もたいまさこ、他

これはイイ! 
絶対に見るべき!

子供の頃、1999年に世界が滅亡すると思っていた女性たちが主人公。
ずっと自己主張をしない人生を送ってきた
地味なOLの基子(小林聡美)。
1999年に双子の姉を亡くし、
終わった世界を暮らしてきた絆(ともさかりえ)。

センスのいい笑いの中に
日常に埋もれたせつなさがにじみ出ていて、
「STAND UP!!」と同じ味の涙が出てくる。

賄い付きの下宿「ハピネス三茶」の大家・ゆか(市川実日子)、
39年間「ハピネス三茶」に住んでいる大学教授・夏子(浅丘ルリ子)、
この2人のキャラクターもいい。

あと、登場人物みんなが
すごく丁寧な言葉で会話をしているのも新鮮。

少なくともこの第1話では
マイナス要素がほとんどない。

ドラマをたくさん見る時間がないなら
「STAND UP!!」とコレだけは見て欲しい。

             採点  8.0(10点満点平均6)







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