タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
>>バックナンバー >>ドラマ別レビュー
第188話「“すいか”はやっぱり見とくべき」」
日テレ系土曜9時「すいか」の完成度が落ちない。
ちょっとすごい。最近のドラマってさあ…、と語りたいなら
とりあえず見ておくべき。
『幸福の王子』 第五章
演出:長沼誠
脚本:遊川和彦今回は携帯電話と家なき子か…。
それはまあいいとして、
セリフが多くなったらやっぱり坂下千里子はダメだったなあ。
コントっぽかった。あと、回想が始まる時に必ず
“最初から話してよ!”って入れるのはクドイな。その回の見どころを予告するような意味があるんだろうけど、
何度もやるとしつこい気がする。でも、次回に期待させる終わり方ではあった。
赤ちゃんも可愛かったし。採点 6.5(10点満点平均6)
『ひと夏のパパへ』 ♯5
監督:廣木隆一
脚本:樫田正剛今回も前半は最悪。
後半、まりも(上戸彩)が鼻の頭を
切られるシーンから良くなった。あと、北村一輝はセリフの途中で
オマエ、オマエと言い過ぎ。オマエ星人か。
採点 5.5(10点満点平均6)
『愛するために愛されたい』 5
演出:小林義則
脚本:武井彩今回は冒頭のナレーションなし。
そして内容はだんだん昼メロ状態に。武田修宏の長ゼリフシーンでは
見ている方が遭難寸前。草刈正雄が出てくると未だに
誰なんだ、お前!
と叫んでしまう事実。愛したり愛されたりする前に
やることいっぱいあるだろ!
…なんてな。採点 4.5(10点満点平均6)
『高原へいらっしゃい』 第五話
演出:今井和久
脚本:吉本昌弘やっぱりあっさりと
面川(佐藤浩市)と祐子(余貴美子)を
会わせちゃうのか。オリジナルでは
面川が苦しくて苦しくて
つい奥さんに会いに行ってしまったところを
奥さんが泣いて追い返すシーンが最高に感動的だったのに…。あと、せっかく大自然の中のホテルが舞台なのに
明らかにCGの八ヶ岳が後に出てくると萎える。
技術の発達もむしろドラマをダメにしている要因かもな。でも今回、内容的には悪くなかった。
団体客を初めて取るエピソードはオリジナルでもあったけど、
これはむしろこちらの方がうまく処理したかもしれない。で、テロップを見たらやっぱり脚本家が違っていた。
従業員たちが自ら団体客を受け入れたいと動いた時、
面川が君たちもオーバーブッキングする可能性はあったんだと、
一言、注意するシーンなんか丁寧だったもんな。前川洋一ではなく、
吉本昌弘の脚本でしばらく見たい。採点 6.5(10点満点平均6)
『Dr.コトー診療所』 第5話
演出:小林和宏
脚本:吉田紀子最後の後ろ姿だけで
神木隆之介って分かるのはスゴイな。
もう背中で演技してるよ、あの子は(笑)で、前回に引き続いた内容で今回も良かった。
純一(井澤健)と母親(白川和子)の話から
ゆき(木村佳乃)と芦田(竜雷太)のエピソードへつながり、
そしてずっとネタを振っていた
茉莉子(大塚寧々)と息子(神木隆之介)の問題へと移行する。親子という縛りを付けながら
無理なく転がしていく展開は見事だ。彩佳(柴咲コウ)のキャラも
その中で自然に描けていると思う。やっとうまく展開してきたな。
採点 7.0(10点満点平均6)
『STAND UP!!』 05
演出:堤幸彦
脚本:金子ありさこのドラマのほぼ半分を使って描いた
実に丁寧な失恋物語だった。ただ、今回は堤演出だったけど
前半のギャグはすべりまくりだったなあ。
タイトルロールまでのつなぎ方も時間をかけ過ぎていて、
ずっとテンポに乗れなかった感じ。次回からがいよいよ第二章というところか。
本格的に絡むであろう千絵(鈴木杏)に期待。採点 6.5(10点満点平均6)
『特命係長・只野仁』 第四話 女帝
演出:二宮浩行
脚本:尾崎将也川島なおみって金曜11時枠にぴったり。
しかし、川島なおみはムリだからって
あんなシーンまで入れてオッパイを出さなくてもいいのに(笑)
だいたいあそこは更衣室なのか、廊下なのか…。とはいうものの、
ストーリーとしては今回が一番良かった。
せめてこれくらいの内容でよろしく。採点 5.5(10点満点平均6)
『すいか』 第4話
演出:佐久間紀佳
脚本:木皿泉もうあっぱれとしか言いようがない。
ほのぼのとしたドラマなのに
ものすごく緻密に構成されていて
これこそが大人の仕事って感じだった。話は今回も、変わりたくても変われない、
どう変わればいいのか分からない、
基子(小林聡美)と絆(ともさかりえ)の
日常から始まるわけだけど、
ズル休みの電話をかけて疲れてしまう基子、
いつもの仕事なのに突然涙が出てきてしまう絆の描写が
まず見事だった。このあたりの感情移入のさせ方が
このドラマのうまいところなんだよな。そしてそんな日常に今回現れたのが、
馬場ちゃん(小泉今日子)のことを調べに来た刑事(片桐はいり)。
彼女が基子にかなり直接的なアドバイスを送ることになる。この刑事の話を説教くさいと感じた人もいるかもしれないけど、
作品のテーマを考えると分かりやすくて良かったと思う。完成度の高さを感じるのは
登場人物たちの関わり方。馬場ちゃんになりたかったという基子にアドバイスをしたのが
馬場ちゃんを調べに来た刑事で、
基子が捨てた制服を拾って
ささやかな変身の手伝いをするのが絆。絆は刑事のぬいぐるみも変身させ、
刑事が無くしてしまったぬいぐるみの目は
最後に基子が見つける。まだ姉の呪縛から解けていない絆は
人との関わりを極端に苦手にしているけど、
絆もまたこうして人と関わっているんだよねえ。
だから絆っていう役名にしたのかもしれないけど…。もちろん、教授(浅丘ルリ子)の悩みも
ゆか(市川実日子)の大切な記憶が救い、
間々田(高橋克実)の指輪も教授が最後に見つけた。変わりたいと願う基子や絆と、
ずっと変わらずにいてくれる教授との対比も見事だった。人はこうしていろんな人と関わり合いながら
少しずつ成長していく。ゆかの母親も変わりたいと願ったのかもしれない。
そしてハピネス三茶を出ていったのかもしれない。
でも、プチプチにハマってすぐに飽きてしまったゆかは思う。“お母さんも何か面白いことにハマっていたらいいのに。
ひとつのことでなくていいから、
明日も、次の日も、生きていたくなるような。
それだけで幸せになれるようなものに
ハマっていたらいいのに”採点 8.0(10点満点平均6)
[ロビー田中の自己紹介]
[トップへ]