タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

>>バックナンバー


第19話「木更津キャッツアイ、ニャア!」

とくに毎週レビューするつもりはないけど、
「利家とまつ」がやっと面白くなってきた。

戦国の世らしからぬ今風のセリフも多くて
おそらく時代劇ファンにはツッコミどころ満載。
でもまあ、いいんじゃない?
今回は最初からそういう線を狙ってたと思うし。

で、最初はまつ(松嶋菜々子)の
「私におまかせください」が
流行語大賞を狙う勢いで連発されるかと思ってたのに、
ここへきて、信長(反町隆史)の
「で、あるな」がやたらフューチャリングされてきた。

もうこの言葉が出ると抜群に面白い。笑える。
きっと反町夫婦は家でも使ってるだろうな。

松嶋:今日のハンバーグ、失敗しちゃった。
反町:で、あるか?
松嶋:明日はちゃんと作るからね。
反町:で、あるな。
松嶋:私におまかせください。
反町:で、あるか(笑)

……楽しそう。


『婚外恋愛』 #4

演出:六車俊治
脚本:浅野妙子


みつる(永作博美)と拓也(堺雅人)の
心情的なセリフには深いものがある。
ただ、状況を進めるための手段がわざとらしい。

ユリ(高橋由美子)がイラつくのは分かるけど、
わざわざ拓也に状況を説明しに行ったり、
会社の人間が電話の相手も確認せずに
社員の出先を教えたり…

こういうストーリーの進め方は
見ていてシラけるので極力避けて欲しい。

でもまあ、今回はラストの
雪の中の志津香(釈由美子)が
妙に可愛かったのですべて許そう(笑)

このシーンに限らず、
映像は全体的にかなり美しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『3年B組金八先生』 第15回

演出:福澤克雄
原作・脚本:小山内美江子

美由紀(高松いく)の問題は
意外とあっさり解決してしまったけど、
新たな話題も出てきたらまあいっか。

受験にからめて
主任(杉田光)と陽子(中分舞)の関係、
カッシー(佐々木和徳)と奈津美(谷口響子)の関係
に変化が出たけど、これは現3Bの
キャラが立つ意味ではいいんじゃないかな。
ここまで旧3Bが少し活躍しすぎてたから。

直(上戸彩)へのカウンセリングを
毎週少しずつ入れていくのはいい展開。
このことで視聴者も
性同一性障害に関する理解を深めることができる。

とはいっても今回は
直が美紀(森田このみ)を
かばったシーンが秀逸だった。
上戸彩も完全にキャラを自分のものにしたな。

最終的に3B全員がどう直を受け入れるか、
今から楽しみだ。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『恋ノチカラ』 第4話

演出:村上正典
脚本:相沢友子

このドラマはもちろん
深津絵里だけの作品ではないけど、
時折見せる彼女の表情は抜群にいい。

恋を描いている部分に関してはとくに、
この深津絵里の表情が大きな芯になっている。
いい女優になったよなあ。

今回、恋の部分で言えば
企画書が通ったのは自分の力ではないことを、
春菜(矢田亜希子)がすぐ貫井(堤真一)に
告げた展開が良かった。

こういうところでまどろっこしくなると
見ていてイライラすんだよね、個人的には。

仕事の部分に関しては、
クリエイティブな業界のストーリーに
営業面の要素も丁寧に入れたところがいい。

楠木文具の問題が最後の電話で
あっさり片づいてしまうのは出来過ぎだけど、
見ていて気持ちのいい構成だった。

それにしても
やたら怒っていた楠木文具の社長、
いつか“詳しくはホームページで!”と
言い出すような気がしてハラハラした。
(KDDIのCMで永瀬正敏の父親役をやっている人)

笑いも大切だけど、
そういう笑いはくれぐれも狙わないよーに。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『木更津キャッアイ』 第3回

演出:片山修
脚本:宮藤官九郎

番宣CMでさかんに流れていた
“木更津キャッアイ、ニャア!”という決めセリフが
妙にツボに入っていた今回。
演出が変わって“3回の裏”が2度出てくるという
かなり掟破りの展開になったけど、
基本的なトーンは変わってなかった。

木更津キャッツアイの義賊ぶりと
メンバーの青春群像、
そして生と死の問題。
依然としてバランスがよくて面白い。

ぶっさん(岡田准一)の父親(小日向文世)の
モノマネのネタは1回、2回と引っ張っていたんだけど、
これが意外に深くて効果的。
今回は和田アキ子のところで思わず泣いてしまった。
(父親も前から息子の余命を知っていたのかもしれないけど)

桜井翔のキャラもだいぶ固まってきたし、
このまま最後まで安定して進みそうだな。

あ、そうそう、
今回、うっちー(岡田義徳)が
ホレてしまった女の子は、
平岩紙という、これまた大人計画の人ね。
(「この冬の恋」にも出てた)

「恋ノチカラ」で深津絵里の
元の会社の同僚役をやってる猫背椿も、
「初体験」の動物病院で
女性スタッフ役をやってる田村たがめも、
「恋するトップレディー」で
市長室のスタッフをやってる正名僕蔵も、
みんな大人計画。
すさまじい増殖ぶりだ。

それにしても、
ケーシー高峰の偽医学用語ネタ。
何十年ぶりかで聞いたな。

             採点  8.0(10点満点平均6)


『トリック2』 第4話(episode 2)

演出:堤幸彦
脚本:蒔田光治

ギャグがすべり始めるとツライな。
今回は半分以上すべった感じ。

箱を運び出したトラックが
夜逃げ屋本舗だったのも小ネタのつもりだろうけど
そんなに笑えるものじゃなかった。

最初に未来予知をしていた「鈴木吉子があなたに…」
というビデオの制作クレジットに、
オフィスクレッシェンド(堤幸彦が所属してる会社)
と標記されてたところや、
「ザワザワザワザワ」はちょっと笑えたけど。

それでも仲間由紀恵は面白い。
ていうか、山田奈緒子は面白い。
山田と上田のドラマだな、やっぱりこの作品は。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『ナースマン』 no.3

演出:岩本仁志
脚本:寺田敏雄

今回、冒頭に
看護士が男であることによるトラブルを
笑いを取りながら描いていたけど、
(実際はたいして面白くなかった)
この男女差を扱ったエピソードは
もっとマジメに取り上げた方がいい。

ていうか、そこを中心に描かないと
このドラマの個性は出ない。

もちろん、結果的に男でも女でも
看護する姿勢に変わりがない、
という話でかまわない。
ただ、その過程を描いてこその作品だと思うので。

裕次郎(松岡昌宏)で笑いを取ろうとせず、
コメディー部分は山川恵里佳と松嶋尚美だけに
任せるくらいの英断ができれば、
かなり面白くなるのにな。

             採点  6.0(10点満点平均6)





[ロビー田中の自己紹介]

[トップへ]