タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第199話「“幸福の王子”改め“不幸の王子”も終了」


ドラマの最終回が続く日々って、
ワクワクする気持ちと
落ち込む気持ちが入り交じって
体力消耗するな。

なので水曜日分まで。



『すいか』  第8話

演出:吉野洋
脚本:木皿泉

浸みたなあ。
ある意味、最も「すいか」らしい回だったかも。

ケーキの病院の前で話す
基子(小林聡美)と母親(白石加代子)のシーンは圧巻。
これに教授(浅丘ルリ子)が遭遇した事件も絡めて、
今回のテーマをより深く描いていた。

こうなると間々田(高橋克実)の存在も貴重。
彼が軽く笑いを取ることで全体のメリハリも強調されていた。

全然関係ないけど、
「愛するために愛されたい」のスタッフに
このドラマの爪の垢でも煎じて飲ませてあげたくなったな。
「星。」はこうやって使うんだって(笑)

             採点  8.5(10点満点平均6)



『元カレ』  9話 ほんとの気持ち

演出:三城真一
脚本:小松江里子

こうなるともう
どちらともつき合うのはムリな状態。
まあ、それが正しい締め方か。
それでもハッピーエンドを匂わす方法はいくらでもあるしな。

ストーリー的には大きな動きがあって面白い回だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『僕だけのマドンナ ...and I love Her.』  vol.10

演出:澤田鎌作
脚本:岡田惠和

状況は前回までと変わらず。
でも内容的には悪くなかった。

あの連続置き手紙攻撃は現実味に欠けるけど、
ドラマのシーンとしても良かった。
とくに「出来れば飛び移りなさい」は最高。
やっぱり長谷川京子がしゃべらなければいいんだよな(笑)

周回遅れだった市ヶ谷(小堺一機)と大杉(嶋田久作)が
先頭に立ってしまって戸惑う描写も
脚本的にはうまい作り方だった。

             採点  6.5(10点満点平均6)




『14ヶ月・妻が子供に還っていく』  最終話

演出:山本和夫
脚本:渡辺千穂、瀧川晃代
脚本協力:沢田石野枝、清水友佳子

うーん、最後は安っぽくなっちゃったなあ。
なつき(伊藤沙莉)も中途半端なまま
放ったらかしにされちゃったし。

結局、6話くらいまでか、
素直にストーリーに入り込めたのは。

この原作をそのままTVドラマとして映像化するのは
やはりムリがあった。
だから設定を大きく変えて登場人物も増やし、
若返り薬というアイテムを使ったこと自体は
間違っているとは言えなかった。

ただ、ドラマチックにしようと、
高校生の裕子を知っている神田(石黒賢)を暴走させたのは
明らかにマイナスに作用したと思う。

なつきがなぜクスリを飲んだのかもきちんと描いて、
神田となつきの関係をサイドストーリーにすれば、
十分に連ドラとしての体裁は取れたと思うけど…。

まあ、ひとことで言ってしまえば、
スタッフの力不足ってことなんだろうな、このドラマも。
伊藤沙莉、菅野莉央という子役が素晴らしかっただけに
彼女たちを最後まで活かしてあげられなかったのは可哀想だった。

ていうか、これを言っちゃあ元も子もないけど、
やっぱりこの物語は活字専用だったんだろうな(笑)

原作は若返り薬も出てこない
シンプルなラブストーリーなので、
まだ読んでなかったら真っさらな気持ちで読んでみてちょ。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★☆☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.35(10点満点平均6)




『ウォーターボーイズ』 IIIIIIIIIII

演出:佐藤祐市
脚本:橋本裕志

最後のシンクロ本番は見ごたえがあった。
ここだけに関して言えば
映画より良かったかもしれない。

とくに観客席を撮した時の
出演者の素直なリアクションは、
本番のライブ感を強調するいいカットだった。

このシンクロの演技を見ても分かるように
クランクイン前に2度も合宿をして演技を完成させた
ウォーターボーイズたちの頑張りは賞賛に値する。

ただ、それを最高の形で披露させるために必要だった
ここまでのエピソードの積み重ねは、
決してベストとは言えなかった。

ハッキリ言えば、
もっといいドラマに出来るはずだった。

脚本がもっと頑張って
各話の完成度を上げていれば…、
と思うと残念で仕方がない。

でもまあ、この作品に合格点をつけなきゃ
見るドラマもなくなっちゃうしな。
この夏を代表する作品のひとつであることは確かだった。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.68(10点満点平均6)




『クニミツの政』  最終話

演出:赤羽博
脚本:大石哲也

うーん、不破(佐々木蔵之介)をきちんと描いていたから
坂上(大杉漣)が選挙に勝って
なおかつ不破も政治の世界に残るという展開は分かる。

そのための坂上の死なんだろうけど、
あの描き方は不適切だったんじゃないかなあ。

旧時代的な献血方法で
しかも献血の後、病院で心不全で死ぬなんて…。

内容的にはかなり見どころもあった作品なので
最後はもったいなかった。

いや、そうは言っても
ドラマ全体の完成度は最初から相当低いけどね。

なんでこんな出演者を使うんだ、
という意見もあるだろうけど、
それこそ政治力なんですよ、奥さん(笑)

             採点  4.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★☆☆☆☆
                  主題歌 ★☆☆☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★☆☆☆☆

           平均採点  5.36(10点満点平均6)




『幸福の王子』  最終章

演出:猪股隆一
脚本:遊川和彦

何だかなあ。
最初から組み立てられていたはずのプロットも
こうして最後まで見るとかなり穴が多かった感じ。

まず、最後まで引っ張った桃子(井森美幸)との関係が
あれだけってのがシラけた。
繭(綾瀬はるか)が周平(本木雅弘)と海(菅野美穂)の
キューピットだったというのはアリだとしても、
だったら繭の“どこかで会ったことがある気がする”
という前振りにはムリがあるし。

そもそも周平が本当に「幸福の王子」なのかどうかすら
振り返ってみると疑問に思えてしまう。

海の願いを聞き入れて周平自身が海を殺していたわけだけど、
周平は繭親子を救うために
ヤミ金の連中も大勢撃ち殺してるしな。
もう少し別の描き方があった気もするけど…。

ていうか、そもそも良介(渡部篤郎)がいなければ
周平と海は幸せに暮らせたわけだしな。
繭にすべてを話すことで良介が懺悔するという
この物語の根本的な設定も、
良介の罪と周平・海の関係が近すぎたために
受け入れにくいものだった。

つーかさ、あの臓器移植はダメじゃん。
いくらタイトルが「幸福の王子」だからって
ダメダメじゃん。

いずれにしても
見終わったあとにかなりイヤな気分になるドラマだった。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.45(10点満点平均6)







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