タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第200話「白線の流し方」



9月6日に放送された
「白線流し」のスペシャルについて
かなり波紋が広がっている。

連ドラ放送の頃から続いていたファンサイトの中には
閉鎖するサイトも出ているくらい。

「北の国から」や「ふぞろいの林檎たち」ほど
世間的な話題の中心にはなっていないけど、
ファンにとってかけがえのない作品になっていることは確かだ。

見た人はどんな感想を持ちましたか?




『Dr.コトー診療所』  最終話

演出:中江功
脚本:吉田紀子

めでたし、めでたしのハッピーエンド。
良かったんじゃないでしょうか。

ただね、このスタッフでこのキャスト、
出来て当たり前の範疇だったと思う。全体的に。

つまり、予想以上の面白さに出会った感動は
ほとんどなかった。

制作者側に、
これだけでの予算を使って作るなら失敗できないという
守りの姿勢があったのかもしれない。

丁寧に作られたいいドラマではあったけど、
個人的には忘れられないドラマ、には成り得なかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.05(10点満点平均6)





『STAND UP!!』  11

演出:堤幸彦
脚本:金子ありさ

かなりストレートで
マジメなメッセージ付きではあったけど、
最終回は「STAND UP!!」らしい締め方だった。

結局、海辺のホテルでエッチするのは親というのが
個人的には妙にツボだったな。

作品全体としてはDB4の4人と鈴木杏だけでなく、
AKINA、ベッキー、邑野未亜を
まわりにキャスティングできたのが大きかった。

とくにAKINAは最初から最後まで良かった。
こんな形で Folder5 が脚光を浴びるとは思わなかったけど…。

個性的な堤演出に視聴者が飽きてきた、
という傾向は確かにあると思う。
とくにこの作品における中盤のダレ方は問題だった。

千絵(鈴木杏)が経験した過去の重さを考えると
もう少し手前から千絵についてDB4が関わるようにすれば
この問題もかなり解消できたような気もする。
やはり遊びの部分でダレていたのは明らかなので…。

そう思うと全体の構成にこそ問題があったのかもしれない。

堤幸彦には、あまり多く作品を手掛けようとせず、
じっくりと質のいい作品を作って欲しいと願う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  7.18(10点満点平均6)



『特命係長・只野仁』  第十話 社内不倫

演出:二宮浩行
脚本:旺季志ずか

高橋克典がゲイに扮して潜入調査。
もう何でもアリだな。

何でもアリなんだけど、
このドラマのエッチは騎乗位が基本。
…はいはい。

             採点  5.0(10点満点平均6)



『ニコニコ日記』  第4週 秋、家族のかたち

演出:中島由貴
脚本:大森美香

素晴らしい。
ケイ(木村佳乃)自身の親子関係、
自分が置かれている環境をよく分かった上で
子供らしい戸惑いをみせるニコ(永井杏)。
その絡み合いだけでここまで感動的な話に仕上げるとは。

美冬(大塚寧々)のドラマとの絡め方。
美冬が母親と分かったあとで
こずえ(長山藍子)がニコとお風呂に入るシーン。
ここは泣けたなあ。

派手な作品ではないけど、
きめ細かい実にいいドラマだ。

             採点  8.5(10点満点平均6)



『すいか』  第9話

演出:佐藤東弥
脚本:木皿泉

停電のシーンはまたストレート過ぎたか。
ただ、全体としては人とのつき合い方、
生きることの苦しさ、かけがえの無さなどを
相変わらずうまく描けていたと思う。

「独立記念日」と書かれた紅白まんじゅう、
馬場ちゃん(小泉今日子)の
“苦しいよ、早川”
はかなりグッと来たな。

最終回の予告の後、
今までの食卓シーンばかりを
フラッシュバックさせた映像は、
このドラマの姿勢を端的に表しているようで良かった。

             採点  7.5(10点満点平均6)




『元カレ』  最終話 もう恋なんて─そして、別れ

演出:三城真一
脚本:小松江里子

最後はかなりハッキリとハッピーエンドにしたけど、
よかったね〜、という気持ちにはあまりなれなかった。

三角関係の物語だから
東次(堂本剛)が優柔不断に映るのはやむを得ないとしても
もう少し東次を魅力的なキャラとして描いておかないとね。

最後の最後、内山理名はずいぶん頑張ったと思う。
菜央(内山理名)のキャラは古くさくて
これもちっとも魅力的ではなかったんだけど。

広末涼子はもう伊藤・小松コンビの作品を卒業するべきだな。
こういう作品自体はもちろんあっていいと思うけど、
彼女の今後のキャリアを考えると
時間がもったいない気がする。

お約束の伊藤・小松コンビの作品、
最後まで見ると
やっぱりいつも以上でもいつも以下でもなかった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.35(10点満点平均6)



『僕だけのマドンナ ...and I love Her.』  vol.11

演出:永山耕三
脚本:岡田惠和

ただハッピーエンドにしただけ。
意味なくサッカー場を舞台にして
突然キョン(滝沢秀明)が走り出した時は
見ているこっちが赤面してしまった。

大杉(嶋田久作)がタレントとして成功したり
市ヶ谷(小堺一機)が賞を取ったり、
そこら中でカップルができたり、
ひと昔前のドラマを見ているようだった。

まあ、このドラマは最初から商業的というか、
岡田惠和が魂よりもテクニックで書いたような作品だったら
最後はとことん青臭くしたとも言えるわけだけど。

ただ、景子(島谷ひとみ)の構成は明らかに失敗だったと思う。
この最終回の景子の行動、
つまりキョンを諦める選択は唐突過ぎる印象があったけど、
実は前回の最後、キョンがするみ(長谷川京子)を追いかけて
アパートから走り去る後ろ姿を見て、
景子はもうダメだという表情をしていた。

ハッキリ言って、島谷ひとみがこの作品でいい芝居をしたのは
あのシーンだけだったと言ってもいい。
前回、もう一押しして景子とキョンを完全に別れさせれば
この最終回の景子の違和感はなかったと思うんだけど。

…そんな細かいことはいっか。

商業的な作品だったにも関わらず
商業的に成功しなかったのは、
もちろんキャスティングミスに他ならない。

ただ、最後のキスシーンが美しかったのは事実。
長谷川京子の主演が動かせないものなら
制作者側は長谷川京子にもできる内容を
考えてやらねばいけなかったのではないか。

今のTVドラマ作りの問題点を
浮き彫りにしたような作品でもあった。

             採点  5.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  5.45(10点満点平均6)



『白線流し 二十五歳』

企画:山田良明、横山隆晴
プロデュース・演出:本間欧彦
脚本:信本敬子
音楽:岩代太郎
主題歌:「空も飛べるはず」スピッツ
制作:フジテレビ
出演:長瀬智也、酒井美紀、京野ことみ、柏原崇、馬渕英里何、中村竜、
   遊井亮子、松本留美、山本圭、原沙知絵、横山裕、永井大、國村隼、
   小木茂光、浅野和之、高畑淳子、木村靖司、浅沼晋平、他

必要なシーンではあったんだけど、
前半の1時間はなかなかのめり込めなかった。
園子(酒井美紀)や長谷部(柏原崇)が向き合っている現実の描写が
あまりにもありきたりだったのが原因だと思う。

もちろん、このドラマは日常的なエピソードの積み重ねなので
大きな事件が起きる必要はない。
ただ、そのエピソードがあまりにもステロタイプだった。
これはマイナスだったと思う。

それでも園子と冬美(馬渕英里何)が
屋上で話すシーンあたりから「白線」らしくなった。

問題は、おそらく賛否両論であろう、
渉(長瀬智也)の結婚エピソード。

これを考えるには、
相手の美里(原沙知絵)が、
健康上の理由で青年海外協力隊を1年でリタイヤしたこと。
“一緒に生きよう、ずっと”という渉のプロポーズに
“ずっと?”と聞き返したこと。
そして何より園子の存在を分かっていながらプロポーズを受け入れたこと。
これらを考慮しなくてはいけないと思う。

今回のテーマは
“人は誰を救うために生きているのか?”だ。

スリランカでの生活を経験してかなり印象が変わった渉だけど、
渉はやっぱり渉なのではないのか。
だから渉は今、
美里を見守ることを決断したのではないのか。
(そしてそのことを園子は“なんとなく分かって”いる)

スリランカでのエピソードがないと
渉が結婚を決意することに説得力がないと感じた人も多かったかもしれない。

ただこれは、少なくとも10年は続ける予定で作られた
「白線流し」の1話なのだ。
こういう作り方は認めない、という人もいるだろうけど、
渉の真意は次回以降に描かれると思う。

ちなみに渉と園子が昔デートをした公園で
園子は教え子(横山裕)にこう言っている。

“夢はひとつじゃなくていいって、
 亡くなった父の言葉だけど、
 いろんな道を歩いてみろってことだと思うの。
 歩くのをやめてしまうなって。
 そうしていくうちにちゃんと出会いがあって、
 それであとで気づくんじゃないかなあ。
 あの人を救った。あの人に救われたって”

いずれにしても、
今回ハッキリと別れることになった渉と園子。
あの橋の上と川縁で無言で見つめ合うシーンから
犬の散歩で訪れた同じ場所で園子が号泣するシーンは、
「白線流し」ならではの至極の映像だった。

96年に連ドラ版が作られる時、
すでに本間Pは壮大な回想シーンを撮ると言っていた。

園子が号泣するシーンで挿入された回想場面は
まさにそれが活かされたわけで、
リアルタイムで「白線流し」を見てきた者にとっては
無条件に園子に感情移入してしまうシーンだった。

今回のスペシャルが是か非かと問われれば、
個人的には十分に是だった。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★★
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆






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