タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第205話「吉井怜の闘病記が来春ドラマ化」



急性骨髄性白血病から復帰した吉井怜の闘病手記が
来春、フジテレビでドラマ化されることになった。

吉井怜と言えば、
内山理名、小池栄子、片瀬那奈、仲根かすみ、水川あさみ、
佐藤江梨子、田中千絵、緒沢凛なども輩出した
「美少女H」の出身。

本でも仲間が売れていくのを悔しく思った
というくだりが印象的だったけど、
そのあたりをどう描くのか、
かなり興味深いところだ。

主演は宮地真緒。
骨髄提供した実母を田中好子が演じる。



『ニコニコ日記』  最終週 夏、幸せの歩き方

演出:中島由貴
脚本:大森美香

こんな風に泣けるドラマも久しぶりだった。
ニコ(永井杏)が母親(大塚寧々)に
父親の話を聞きに言った時、
“私はもうお父さんに会えないのに…
 会えなかったのに…
 おしまいなんてひどいよ”
と言った瞬間が一番もらい泣きした。

永井杏はもう女優だな。
ガイセイバー(大杉漣)に助けられた後、
ケイ(木村佳乃)に抱きついた時もそうだったけど、
セリフの途中で感極まる瞬間が
どうしようもなく涙を誘う。

このドラマにおける木村佳乃も最高に良かった。
内容、大森美香の脚本も良かったけど、
木村佳乃と永井杏だったからこそ
このクオリティーになったんだと思う。

このNHK深夜帯ドラマの枠ができて以来、
最高の作品だった。

             採点  8.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★★
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  7.79(10点満点平均6)




『ビギナー』  第1話

プロデュース:山口雅俊
演出:水田成英
脚本:水橋文美江
主題歌:「TOP OF THE WORLD」THE CARPENTERS
制作:フジテレビ
出演:ミムラ、オダギリジョー、堤真一、松雪泰子、奥菜恵、北村総一朗、
   横山めぐみ、我修院達也、金田明夫、岡田義徳、石橋凌、他

想像していたよりも良かった。
ミムラは写真の印象よりずっと清潔感があって
表情も悪くない。
セリフはまだまだだけど…。

山口P、水橋文美江脚本、水田成英演出、
そして松雪泰子とくれば
「太陽は沈まない」のセット。
同じ法律関係のネタということもあって
音楽の使い方などはかなり似ていた。

ちなみに「太陽〜」は医療ミスに対して
高校生(滝沢秀明)が裁判を起こす話で、
松雪泰子は弁護士役。
水田成英はセカンドで
メイン演出は水橋文美江の旦那、中江功だった。

…まあ、そんなことはどうでもいいんだけど、
「太陽〜」がゆったりしたテンポだったのに対して
こちらはかなり畳みかける感じ。

でも8人のキャラクターを示しながら
司法修習生の日常を紹介し、
(そこにリアリティーがあるかどうかは別にして)
8人が連帯していくまでを描いた構成はうまかったと思う。

ただ、全体的にゴツゴツした印象は歪めなかった。
専門用語を多く取り入れたため、
松雪泰子でさえセリフにリズム感がなかったのが大きな原因だと思う。

まあ、このへんは徐々に解消されていくだろうな。
毎回、課題を8人で議論していくとは思えないし。

今後はこの8人がずっと健全な“仲間”でいるわけがないので、
その対立や誤解、仲直り、恋愛などのエピソードが
お約束にならないように描けるかがカギ。

ムリに月9テイストにこだわらず
木10トーンのままで行って欲しい。

そしてその中で
なぜ若人あきら(我修院達也)をキャスティングしたのかを
ぜひ示して欲しい(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)



『あなたの隣に誰かいる』  第1回

プロデュース:鈴木吉弘
演出:林徹
脚本:坂元裕二
音楽:石田勝範
主題歌:「アラクレ」B'z
挿入歌:「勝手にしやがれ」稲葉浩志
制作:フジテレビ
出演:夏川結衣、ユースケ・サンタマリア、いかりや長介、戸田菜穂、
   北村一輝、高知東生、火野正平、梶芽衣子、白石美帆、佐藤藍子、
   鷲尾真知子、山口香緒里、木下ほうか、久保田磨希、石田未来、
   柏原崇、高樹マリア、森康子、山田夏海、他

挿入歌の「勝手にしやがれ」の方が
話題になってしまった感じ。

でも、この曲のイントロって
どちらかというと笑いを誘うと思うんだけど…。
あんな緊迫した場面でいきなり流されてもなあ。

それにしても出演者が多いドラマだ。
火野正平まで出てくるとは。

全体の雰囲気は少し中途半端な気がするけど、
初回はどうしても説明することが多いからな。
2回目以降に期待してみよう。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『ハコイリムスメ!』  第壱話

プロデュース:三宅喜重(関西テレビ)、井口喜一
演出:木下高男
脚本:中園ミホ
音楽:中西俊博
主題歌:「My last fight」LOVE PSYCHEDELICO
オープニング曲:「Portrait」Tasty Jam
制作:関西テレビ、共同テレビ
出演:飯島直子、深田恭子、吉沢悠、吉田日出子、地井武男、玉山鉄二、
   勝村政信、古田新太、袴田吉彦、マーク・コントン、山口美也子、
   鹿内孝、湯江健幸、堀越のり、藤井彩香、他

新鮮味がない。
最初から新鮮味のある作品を
作る気はないのかもしれないけど。

とくに出だしはかったるかったなあ。
CMが多くてリズムにも乗れなかったし。

まあ、次からか。
飯島直子に期待をかけよう。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『恋文』  第一話

プロデューサー:橋本孝、瀬戸口克陽
演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和
原作:連城三紀彦「恋文」
音楽:REMEDIOS
主題歌「柊」Do As Infinity
イメージソング:「In My Life」THE BEATLES
制作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
出演:渡部篤郎、水野美紀、和久井映見、寺尾聰、いしだあゆみ、
   要潤、国分佐智子、能世あんな、泉澤祐希、他

これは相当丁寧に作ってある。
脚本も演出も細部にまでこだわっていて
じっくりと堪能できる感じ。
(チャーハンをこぼすシーンだけは良くなかった)

中でも将一(渡部篤郎)がガラス窓に
散っていく桜の花びらを描くシーン、
病室での、将一、江津子(和久井映見)、
美木子(いしだあゆみ)のシーンがとくに良かった。

ストーリー的に初回からこのクオリティーなら
今後はさらに期待できるな。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『エ・アロール』  第1話

プロデュース:貴島誠一郎、加藤章一
演出:平野俊一
脚本:相沢友子
原作:渡辺淳一「エ・アロール それがどうしたの」
主題歌:「LAT.43°N」a.mia
制作:ドリマックス・テレビジョン、TBS
出演:豊川悦司、木村佳乃、吉行和子、緒形拳、津川雅彦、草笛光子、
   氷川あさみ、安居剣一郎、山田スミ子、三波豊和、新田純一、三觜要介、他

出だしはキツイかな、と思ったけど、
後半はきちんとテーマを提示してうまくまとめた。

初回でここまで描ければ
そんなに2話目から離れる人はいないんじゃないかな。
まあ、興味ない人は最初から興味ないだろうけど。

マジメな性格の来栖を豊川悦司がうまく演じていて
そこがかえって微笑ましいシーンにつながっている。
テーマがシリアスな分、
作品全体をまろやかにしていていい感じだ。

視聴者を限定しそうな作品だけど、
見どころはあると思う。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『白い巨塔』  第一話

制作統括:大多亮
企画:和田行
プロデュース:高橋萬彦、川上一夫
アソシエイトプロデュース:増本淳
演出:西谷弘
脚本:井上由美子
原作:山崎豊子「白い巨塔」
音楽:加古隆
主題歌:「アメイジング・グレイス」ヘイリー
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:唐沢寿明、江口洋介、石坂浩二、西田敏行、黒木瞳、矢田亜希子、
   水野真紀、上川達也、沢村一樹、及川光博、片岡孝太郎、伊武雅刀、
   若村麻由美、伊藤英明、西田尚美、野川由美子、池内淳子、かたせ梨乃、
   佐々木蔵之介、高畑淳子、他

まずは無難な滑り出しというところ。
最初から飛ばす話でもないしね。

結局、初回の視聴率は22%超え。
さすがにこれだけのビックタイトルになると
普段はドラマを見ない年齢層も見ている感じだ。

「白い巨塔」を真似たドラマはいくつもあったけど、
オリジナルのすごさをぜひ半年に渡って見せて欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『マンハッタンラブストーリー』  A

プロデュース:磯山晶
演出:土井裕泰
脚本:宮藤官九郎
音楽プロデュース:志田博英
音楽:佐藤直紀
主題歌:「ラブラブ・マンハッタン」TOKIO
制作:TBSエンターテイメント、TBS
出演:松岡昌宏、小泉今日子、森下愛子、及川光博、酒井若菜、塚本高史、
   松尾スズキ、船越英一郎、尾美としのり、遠山景織子、他

連ドラの初回としてはどうなんだろう。
恋愛がループする企画なので、
最終回まで見ると
この一話につながる構成なのかもしれないけど、
入り込みにくかったことは確かだな。

別所(及川光博)がタクシーのドアに手を挟むシーン以降の
赤羽(小泉今日子)の心理は分かるけど、
なぜ最初に赤羽が別所に興味を持ったのかが
よく分からなかったし…。

あと、ほとんどしゃべらないと言われていた松岡昌宏は
結局、ずっと心の声を語っているという仕組みだった。

それ自体は別に悪くないんだけど、
セリフの量が多すぎてせわしなかった。
ここまで多いとかえって笑いは取りにくいと思うんだけどな。

まあ、企画自体は面白いと思うから
もう少し様子を見てみるか。

ちなみに回数表示の「A」は
今回の主役、赤羽伸子の頭文字。
次回は別所秀樹の「B」、
その次は千倉真紀(森下愛子)の「C」、
以降、土井垣智(松尾スズキ)の「D」、
江本(酒井若菜)の「E」、
船越英一郎の「F」、
蒲生忍(塚本高史)の「G」と続く模様。

順番に好きになるということは、
船越英一郎は…!?

ま、いっか。

             採点  6.0(10点満点平均6)





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