タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第209話「日テレが禁断の視聴率不正操作」


日本テレビのプロデューサーが
視聴率モニター世帯に謝礼を渡し、
自分の番組を見るように依頼していたことが判明した。

今回のプロデューサーは
バラエティーの特番を担当していた人で
ドラマの視聴率には関係がなかったけど、
ここまでやる人がいると分かってしまうと
一般的には視聴率に対する信用度が大きく落ちてしまう。

まあ、もともと「視聴率=番組の質」ということはないんだけど、
どれが本当に良い番組なのか、
どれが本当に自分が好きと言える番組なのか、
改めて視聴率抜きで考えたいところですな。



『ビギナー』  第3話

演出:川村泰祐
脚本:水橋文美江

スタイルは完全に安定した感じ。
今回は名もなき主婦の心情を
同じ主婦である圭子(横山めぐみ)を中心に
8人が汲み取っていった。

“素敵な猪瀬夫人”役として
「真珠夫人」で横山めぐみと共演した森下涼子も登場。
課題となった事件の少女A子ちゃん役には
「太陽は沈まない」の瑠奈ちゃん(井上結菜)が登場し、
ドラマファンにはキャスティング的にもおいしかった。

ただ、やっぱりセリフの流れにスムーズさは無くて、
羽佐間(オダギリジョー)とのレストランのシーンなどで
ミムラがセリフを後から撮り直している部分もあるように
時間的な制約をかなり受けていることが窺える。

舞台並みの練習時間が取れれば
かなり面白くなるのでは、と思うと残念な気がする。
まあ、時間がない中で作るのがTVドラマの宿命ではあるんだけど…。

レストランのシーンでミムラが言った
“怒らないでください”というセリフは
楓(ミムラ)のキャラクターを示すいいセリフだった。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『ライオン先生』  第2話

監督:小田切正明
脚本:武田百合子

終盤、ライオン先生(竹中直人)が
カツラを取ったシーンは多少シリアスになったけど、
あとはやっぱり中途半端なまま。
カツラ自体も別にずっと取るわけじゃなさそうだし…。

視聴率も2話目で5%台。
打ち切り必至か。

             採点  4.5(10点満点平均6)



『あなたの隣に誰かいる』  第3回

演出:成田岳
脚本:坂元裕二

話がどんどんとっちらかっていくなあ。
きちんとまとめられればいいんだけど。

少なくとも今の段階では
豪華な出演陣をただムダに使っている感じ。
早くストーリーとしての芯を提示しないと
視聴者が離れていくような気がする。

             採点  5.0(10点満点平均6)



『ハコイリムスメ!』  第参話

演出:都築淳一
脚本:中園ミホ

徹郎(吉沢悠)が記憶喪失に、
そしてキース(マーク・コンドン)が
花(飯島直子)の子供の父親だと名乗る展開に。
それでも新鮮味がないことには変わりないんだよな。

キースが決断が唐突過ぎるのも今後の大きな不安。
吉田日出子だけだなあ、安心して見ていられるのは…。

             採点  5.5(10点満点平均6)



『恋文』  第三話

演出:酒井聖博
脚本:岡田惠和

3人それぞれの気持ちが繊細に描かれていて見ごたえは十分。
今回はとくに3人がバランス良く描かれていたと思う。

妙にリアルの子供(泉澤祐希)の反応とか、
すごい病人っぷりのいしだあゆみとか、
脇も固め方もいい。

どの人に感情移入しても考えながら見られるところが
この物語のいいところだな。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『共犯者』  第2話

演出:大谷太郎
脚本:秦建日子

ドラマの作りとしては相当面白い。
誰と誰がつながっているのか、
別の意味の共犯者は他にもいそう。

演出も凝っていて
映像的にも見ごたえがある。
サスペンスとしての怖さも十分出ているし。

まあ、一番怖いのは
半分だけ開けた浅野温子の目だけどね(笑)

             採点  7.0(10点満点平均6)



『エ・アロール』  第3話

演出:高野英治
脚本:相沢友子

日本シリーズの影響で
1時間50分遅れのスタート。
ビデオ撮りを失敗した方、ご愁傷様です。

今回はバランスが良かった方だった。
入居者たちの描き方も、
コミカルなシーンの入れ方も。

今のところ立木(緒形拳)のキャラが
いいアクセントになっている。
立木のおかげで野村(津川雅彦)も引き立ってるし。

しかし、吉行和子のおてんばぶりを見ると、
岸田今日子と冨士真奈美にもゲスト出演して欲しいなあ。
自由すぎる老人ホームになるのは目に見えてるけど(笑)

             採点  6.5(10点満点平均6)



『マンハッタンラブストーリー』  C

演出:土井裕泰
脚本:宮藤官九郎

店長(松岡昌宏)の心の声もうまく転がってきて、
安定した面白さが出てきた。

ランニングギャグ系では
赤羽(小泉今日子)の回想シーンだけでなく、
千倉(森下愛子)の回想シーンでも
猫背椿が出てきたところが個人的にツボだったな。

そして今回、今後を占う大事な場面が…!
Fがそのまま素直に船越英一郎になるかどうかは別にして、
E(江本しおり・酒井若菜)→F→G(蒲生忍・塚本高史)とつながれば
男女の並びはおかしくなる。

当初、Fの嗜好がマイノリティーなのか、とも思ったけど、
どうやら忍くんが本当は忍ちゃんのようだ?そうなると店長にも素直に戻れるわけで…。

まあ、このへんの予想はどうでもいっか。
今回の赤羽とベッキー(及川光博)の橋の上でのシーンのように、
単なる言葉遊びだけでない良いセリフもいっぱいある。
会話劇としても楽しもう。

             採点  7.5(10点満点平均6)



『トリック』  episode 1 ♯2

演出:堤幸彦
脚本:蒔田光治

今回は面白かった。
前にも書いたけど、結局「トリック」は
山田(仲間由紀恵)と上田(阿部寛)なんだよな。
この2人が多く絡む話は面白い。

今後は解決編じゃない回を
どこまで盛り上げるかだな。

第2エピソードのゲスト、
高橋ひとみは期待できるかもしれない。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『白い巨塔』  第三話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

やっと面白くなってきた。
財前(唐沢寿明)と里見(江口洋介)の
キャラの違いも出てきたし。

25年前は里見を山本学が演じていて、
研究者タイプの内科医であることが
一見して分かったんだよな。

今回は唐沢より江口の方が背が高いことや
「救命病棟24時」の印象が強くて
最初は里見のキャラがハッキリしなかった。
回数を重ねてこの違いが出てきたのは大きいな。

この作品はまだまだ先があるので
新たな登場人物がここにうまくハマってくれれば
半年間楽しめそうだ。

             採点  7.0(10点満点平均6)



『こころ』

制作統括:大加章雅
演出:小松隆、磯智明、他
作:青柳祐美子
音楽:吉俣良
制作:NHK
出演:中越典子、岸惠子、伊藤蘭、寺尾聰、仲村トオル、黒川智花、広田亮平、
   玉木宏、竜雷太、犬塚弘、阿部サダヲ、小池栄子、羽田実加、山谷初男、
   モロ師岡、勝俣州和、清水由貴子、なぎら健壱、モト冬樹、東貴博、高田万由子、
   パパイヤ鈴木、一戸奈未、かとうかずこ、草薙幸二郎、大森暁美、他

もうとっくに終わっているけど、
NHKの朝ドラ「こころ」の総評を。

古いものを大切に守りながら
新しいことにチャレンジしていく、
という大きなテーマを、
浅草に住む母娘3代を中心に描いた企画は
なかなか筋が通っていて悪くなかったと思う。

ただ、ひとつひとつのエピソードに
切れ味があったかどうかというとかなり疑問。
ひとことで言ってしまえば、
もっとうまく作れたのでは?という感じだった。

優作(仲村トオル)の思い出を大切にしながら
こころ(中越典子)が新しい人生を選択していく、
という流れはテーマからしても自然で、
匠(玉木宏)と最終的に結ばれるのは明白だった。

しかも匠は父(寺尾聰)と同じ花火師。
母(伊藤蘭)の人生をなぞるように
こころが花火師に思いを寄せるようになることは、
序盤から想像できた。
だからこそ、こころと匠との関係は
もう少し早い段階から丁寧に描くべきだった。

こころが血のつながらない子供達と
本当の親子になっていく課程も
この作品の重要なテーマだったわけだけど、
これを匠との関係を深めながら描くことが
もっとも重要だったのではないかと思う。

さらに、浅草という舞台を使って
こころが育ってきた環境を子供達に伝えるという意味では、
(古いものも大切にしていくという意味もある)
子供達がもっと浅草の人々と関わるべきだったと思う。

こころが女将修行に忙しくても、
父との確執に悩んでいても、
子供達は地域の人たちに助けられて成長していった、
という側面をもっと明確に描くべきだった。

倖(黒川智花)がリカ子(一戸奈未)に化粧道具をもらったり、
優太(広田亮平)が銀(阿部サダヲ)たちに
野球を教わったりするエピソードはあったものの、
浅草の子供になったという印象はほとんどなかった。
個人的にはここが一番もの足りなく感じた部分だった。

逆に好印象だったのは、
こころの母、祖母を演じた伊藤蘭と岸惠子のキャスティング。
何週目かは忘れてしまったけど、
この母娘の関係を描いたエピソードは良かった。

とくに伊藤蘭が髪を下ろした時の美しさは光っていて、
後半、寺尾聰と並んで歩く姿などは
実に艶のあるカップルになっていた。

伊藤蘭もこんな役ができる女優になったんだなあ、と
キャンディーズの解散コンサートで泣いた者にとっては感慨深かった。

そして、黒川智花を輩出したのも
この作品の大きな功績と言えるかもしれない。
朝の連ドラ出演中にCMでベッカムと共演なんて
そうそうあることじゃないしな。
彼女の今後には期待してみよう。

ブランチ・リポーターから朝ドラヒロインへと躍進した
中越典子に注目が集まった「こころ」。
最後まで見ると
中越典子以外にも見どころは多々あった作品だった。

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

             採点  6.5(10点満点平均6)






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