タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第21話「家族の描き方は千差万別」

NTTドコモ「ケータイ家族物語」のCMが気になる。
家族はみんなバラバラ。
でもこの家族は見えないものでつながっている。
まさに前クール放送されていた
「最後の家族」の状況だ。

こういう家族の形態(←携帯とかけてる・笑)が
CMで堂々と提示される時代になったんだなあ。

このシリーズは今後も半年くらい続くらしいので
ちょっと注目して見てみよう。



『初体験』 fever 5

演出:木下高男
脚本:神山由美子

脚本がきめ細かい。
これだけキャストが豪華でも、
やっぱり神山由美子の作品になってるところがスゴイ。

“愛してるけど信じてないの。
 愛と信用は別なのよ”
というセリフで表現する、
27歳までヴァージンだった真智のキャラクター。

“やっぱり由加里(篠原涼子)ってカワイイのかも”
“カワイイんじゃないの、バカなの。
 由加里みたいな女は男をダメにする”
“でも、負けたような気がする”
という真智と琴美の会話で表現する世の中の真実(!?)

ストーリー全体の中でも、
真智の部屋で敦史(オダギリジョー)が
“オレとちゃんとつき合おう。
 ちゃんと恋愛しよう。
と言った一連のシーンなどはかなり丁寧に作られている。

普通、敦史との関係をフサちゃんに
疑われる流れはイラつくだけなんだけど、
こういうシーンを入れて敦史のキャラも描いているから
素直に流れに沿って見ていけるわけだ。

ばあちゃん(加藤治子)の
真智に対する接し方も良かった。
結局、マスターの秘密は病気だったけど
このエピソードをどうからめてくるのか。
神山由美子だけにかなり興味深いところだ。

ばあちゃんと言えば、歩(小泉孝太郎)に
“お前なんか赤ん坊だね。いや生まれてないよ”
と言った時の小泉孝太郎の表情も良かったな。
このあたり、歩と美佐(畑野浩子)の関係も丁寧に描いている。

後ろにマリンタワーが見える
陽のあたる坂道(主題歌もコレ)で、
毎回、真智とフサちゃんの印象的なシーンが
繰り広げられているわけだけど、
今回は歩と美佐がすれ違うシーンにここが使われたし…

カゼをひいた真智の数日を
フサちゃんに熱を上げていく姿とからめて描いた
今回の“fever 5”。
アラがまったくないわけではないけど、
かなり計算された上質の一話だった。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『喪服のランデヴー』 全5回(再放送)

プロデュース:池端俊二
原作:コーネル・ウールリッチ
音楽:東儀秀樹
演出:渡邊孝好
脚本:野沢尚
制作:NHK
共同製作:NHKエンタープライズ21、ケイ・ファクトリー
出演:藤木直人、吉岡秀隆、麻生久美子、寺田農、吉田日出子、
   塩見三章、岸部一徳、坂本長利、他

2000年8月にBSと地上波で放送された作品。
あまりの評判の良さに
今年の1月から2月にかけて再放送された。
サスペンスの古典に、野沢尚が
全共闘世代と若者の世代間闘争を盛り込んだ傑作だ。

最初に見た時は「ナースのお仕事3」の後だったので、
藤木直人はこんな役もできるんだ、と思ったもんだ。

ただやっぱりこの作品は
全共闘世代を代表して演じた
寺田農、吉田日出子、塩見三章、岸部一徳の4人が凄かった。

野沢尚はこの作品に対して
「罪を犯した人間は一生逃げるか、死んで責任を取るか、
 どちらかでしか償うことをしない。
 そんな社会を作ってしまった世代に
 若者2人がどう迫っていくのか、
 それがこのドラマの見どころです」
と言っている。

最後まで闘争することをやめなかった
季里子(吉田日出子)が哀しくもあり、
すべてを受け入れて人を愛した季里子の娘、
由海(麻生久美子)が美しくもあった。

機会があったらぜひ見て欲しいドラマのひとつだ。

             採点  9.0(10点満点平均6)


『恋するトップレディー』 5

演出:西谷弘
脚本:大野敏哉、小椋久雄

やっと「恋するトップレディー」になってきた感じ。
ちはる(中谷美紀)のこの気持ちを垣間見せながら
市政に関係する話を描いていけば、
ドラマとしての体裁は取れると思う。

ただ、やっぱり毎回冒頭に流れる
ちはるのバカっぷりは白々しい。
前の回でどんなに成長するシーンを描いても
次の回の冒頭には必ず素人に戻る。

こういう構成は、よくある成長物語の中でも
作品全体に引き込まれない典型だ。
1回見逃しても悔しいと思わない。
いいシーンも多々あるだけに、残念だ。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『ロング・ラブレター 〜漂流教室〜』 第5話

演出:水田成英
脚本:大森美香

今回のトーンは良かった。
ていうか、個人的には
こういう雰囲気で統一して欲しかった。

一部の生徒の演技力には
目をつぶらなくてならないにしても
本質的なテーマは
今回のような作りの方が伝わると思う。

あと、CGも含めた光の処理の仕方が
向上したように感じるのは気のせいか。

このドラマは、
学校の外観などは横浜のロケ、
室内や屋上からの風景は渋谷ビデオスタジオ、
学校の外は伊豆大島の三原山
(裏砂漠と呼ばれているところ)
で撮影されているらしい。

つまり、校門を出入りするシーンなどは
校門だけを設営した伊豆大島でも撮影し、
校舎が映るカットは横浜のロケ地でも撮影する
というやり方で進めているはず。

当然、別の日に撮影をするので
光の当たり方が極端に違うと違和感があったのだ。
この辺が多少なりとも改善されていて
違和感がなくなっているのかもしれない。

いずれにしても
意欲的な作品であるだけに、
ドラマ全体としての統一感のなさが
もったい気がしてならない。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『続・平成夫婦茶碗』 第五話

演出:三枝孝臣
脚本:森下佳子

前回はひろみ(鈴木紗理奈)のエピソードで
今回は西土居(石塚英彦)のエピソードだった。

ただ、前回と違ったのは
完(松崎駿司)の話とからめて
灯(優香)が家族になっていく過程を
きちんと描いていたこと。

どちらの母親の絵を描いていいか
完が悩んでいることを知って、灯が明るく
“何を悩んでるのよ。そんなの節さんを描けばいいじゃない”
と言ったシーンは思わず泣いてしまった。

相変わらず節(浅野温子)の登場のさせ方も良くて
完が自分の絵も描いてくれたことに対する灯の喜びと同時に
節の悲しさも十分に伝わってきた。

叶(朝田帆香)のサービスカット(?)は今回も満載。
しかも今回はしゃべってたよ!
叶がメインになる回をぜひ希望。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『プリティガール』 第5話

演出:日名子雅彦
脚本:青柳祐美子

どう考えてもバイクの方が早そうなのに
馬で公道を突っ走ったり、
仕事から帰ってきたまま
着替えもせずにそのまま寝たり、
依然として細かいことは一切無視(笑)

それでも寒いセリフはずいぶん減って
かなりストーリーに入り込めるようになった。

今回のように、花(稲森いずみ)が
いろんな部署で活躍するパターンが一番面白い。

ただ今後、警備員のふりをしていた宇津井健と
花のシーンがなくなるのはイタイかも。
あの部分がいちばん微笑ましかったからね。

片平なぎさにも何かありそうな描写があった今回。
面白い方向に流れていくことを期待しよう。

…って、期待しちゃってるよ、
オレはこのドラマにも(笑)

でもエンディングで「衝撃の第6話大予告!!」
みたいなテロップを流すところは
相変わらずチープで微笑ましい。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『SWEET SEASON』 Vol.6〜11(再放送)

プロデュース:貴島誠一郎
演出:福沢克雄、片山修、三城真一
脚本:青柳祐美子
出演:松嶋菜々子、椎名桔平、とよた真帆、蟹江敬三、市毛良枝、
   野際陽子、袴田吉彦、矢田亜希子、他

やっぱり五嶋(椎名桔平)が
記憶喪失になるところは違和感があった。
ただ、レギュラー放送で感じたほど
無茶苦茶な展開と思わなかったことも確かだ。

五嶋と妻・千香子(とよた真帆)との関係においては
この記憶喪失が大きな意味を持つ。
とくに3年後、
離婚を決意をする千香子の気持ちの変化を考えると
この展開も決してご都合主義ではなかった。

確かに青柳祐美子特有のファンタジックな展開もある。
最後の方の大袈裟な演出はやや冷めたりもする。

それでも単純な不倫話ではなく、
野際陽子、市毛良枝、松嶋菜々子という3世代を通して
不倫を経験した家族がその後、
どうやって生きていくのか。
時間が解決するということは
どれほどの痛みを伴うものなのか。
それぞれが成長していく中で
家族のつながりはどう変化していくのか。
そのあたりまでの深い描き方は
何度見てもスゴイと思う。

ちなみのこのドラマは
キャロル・キングの「SWEET SEASON」が
重要なシーンで流れるんだけど、
ビデオは著作権の関係で別の曲になってるらしい。

この前、ビデオを借りて見てって書いたけど
未見の人は次の再放送を待て!

             採点  7.5(10点満点平均6)


『フレンズ』 第一夜、第二夜

企画:貴島誠一郎
チーフプロデュース:伊佐野英樹、カン・ビョンムン
プロデュース:瀬戸口克陽、武敬子、パク・スチョル
挿入歌:『ONE』(イ・ソジョン)
音楽:REMEDIOS、チョ・ソンウ
演出:土井裕泰、ハン・チョルス
脚本:岡田惠和、ファン・ソニョン
出演:深田恭子、ウォンビン、矢田亜希子、イ・ドンゴン、小澤征悦、ハン・ヘジン、
   戸田菜穂、キム・チョルギ、竹下恵子、イ・ホジェ、ソンウ・ウンスク、他

政治的な問題は極力避けて
純粋なラブストーリーに徹した
日韓共同制作ドラマ。

それでも日韓の
文化、風習、考え方の違いなどを織り込みながら
かなり見応えのある作品に仕上げていたと思う。

前編・後編ともに、お互いのスタッフが
協力し合いながらではあったけど、
基本的には第一夜が岡田脚本、土井演出。
第二夜がファン・ソニョン脚本、ハン・チョルス演出だった。

演出がとくに前編と後編とでは違いがあって
その日韓の違いが興味深かった。
当然の事ながら、前編は深田恭子がイキイキとして見え、
後編はウォンビンの方がイキイキとしてるということも含めて。

見慣れているせいもあるだろうけど
脚本はやっぱり第一夜の方が好きだったな。
第二夜も途中まではすごく良かった。
ただ、韓国の親子関係を
あっさり描いてしまったところに不満が残った。
最後はもうベタベタだったしね。

あと、興味深かったのは
言葉は分からなくても
韓国のベテラン俳優陣はやっぱり上手いと
素直に感じられたこと。
出演シーンは少ないのに、
ウォンビンの母親役の人なんか良かったなあ。

…で、主役の2人。
ウォンビンは表情がすごく繊細で好感が持てた。
さすがに人気スターだけどことはある。
ちょっと木村一八に似てるんだけどね。

ちなみに深田恭子と一緒にデパートで働いていた
小澤征爾の息子、小沢征悦は
なぜか勝野洋に似ていた(笑)

深田恭子は相変わらず演技がたどたどしいのに
なぜか魅力的。
あの大きな目から大粒の涙を流すとそれだけで許せる。

ただ今回、深田恭子はあまりにも太り過ぎだった。
お馴染みのペンギン走りもトド走りに近かったし…
もう少しなんとかして欲しいなあ、女優なら。

まあ、いずれにしても
途中でいろいろなことがあって
足かけ3年もかかって出来上がったこの作品。
日韓両国のスタッフ・キャストが
頑張って作り上げた意味はあると思う。

             採点  7.0(10点満点平均6)





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