タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第218話「“てるてる家族”に石原さとみ本格参戦」
NHKの朝ドラ「てるてる家族」も8週目に入り
四姉妹が大人キャストに替わった。ミュージカル仕立てでコメディーテイストの強い今作で、
ヒロインの石原さとみは
まずまずのすべり出しをみせたと言っていいだろう。ちょっと心配してたんだよな。
少女時代を演じた田島有魅香が妙に良くて
第6週の和人(米田良)との別れのシーンなんか
かなりグッと来てしまっていたので。でもこれなら岸谷五朗と浅野ゆう子の
コテコテのコメディーシーンに入っていっても
なんとか存在感を出していけると思う。むしろ心配なのは上原多香子の大阪弁か。
まあ、上原多香子は大阪弁じゃなくても
セリフはたどたどしいけどな(笑)真矢みきの参加でまた新たな笑いも生まれそう。
予想以上に今回の朝ドラは出来がいいかも。
『エ・アロール』 第7話
演出:高野英治
脚本:相沢友子野村(津川雅彦)と江波(草笛光子)と
立木(緒形拳)のエピソード自体は
決して斬新なものではないんだけど、
そこが良かった。高齢者の恋愛も別に特別なことではない。
ただ祝ってもらう家族が
親ではなく子供達になるだけで。立木がひとり佇む江波を見つけて
ちょこんと離れて座るところが妙にせつなかったな。杏子(吉行和子)も
隅から隅まで女性なところが可愛いかった。麻子(木村佳乃)も来栖(豊川悦司)も
もっと早く杏子を女性として見なくちゃいけなかったのに…、
という部分がきちんと伝わった杏子のエピソードだった。採点 7.5(10点満点平均6)
『トリック』 episode 3 ♯6
演出:丸毛典子
脚本:林誠人父親(下川辰平)が記憶喪失になっていた、
という部分はかなり強引な設定だったけど、
基本的には面白いストーリーだった。
ちょっとブラック系の締め方も良かったし。episode 1、2と、この3では
脚本で圧倒的な差があった。
今後も「トリック」を続けるなら
蒔田光治が脚本から手を引かないとダメだろう。採点 7.5(10点満点平均6)
『白い巨塔』 第七話
演出:村上正典
脚本:井上由美子クラブ「アラジン」での
東教授(石坂浩二)と財前(唐沢寿明)、
ケイ子(黒木瞳)宅での
杏子(若村麻由美)とケイ子、
この2つの対峙が今回の見せ場だった。そのシチュエーションもセリフも
最高に盛り上がっただけに、
かえって役者の演技に注目してしまった。個人的には東・財前のシーンの最後、
財前の悔しがり方は軽すぎたと思うんだけど…。せっかく豪華なキャストを揃えてるんだから
もっと重めの演出をして欲しいなあ。採点 7.0(10点満点平均6)
『マンハッタンラブストーリー』 H
演出:片山修
脚本:宮藤官九郎最高に面白かった。
そしてうまかった。笑いの質に関しては好き嫌いがあるだろうけど、
赤羽(小泉今日子)とベッシー(及川光博)のシーンなんて
すごくせつなくて繊細なラブストーリーになってるもんな。Fの回はあっという間に終わったけど、
今回、船こっさんが思いっきり活躍してくれたのも嬉しかったし。2話以降、視聴率はずっとひと桁。
でもこの作品もあとになって評価されるに違いない。採点 8.0(10点満点平均6)
『ヤンキー母校に帰る』 Vol.7
演出:加藤新
脚本:いずみ吉紘高校生の妊娠エピソード。
この作品らしい丁寧さはあったと思う。ただ、千葉(忍成修吾)が
今すぐ学校を止めて父親になるという
一番肝心な決意をする描写が弱かった。収まりきらずにカットされた可能性もあるけど、
その前の千葉の心理はよく描けていただけに
かなり残念だった。あと、ユキ(市川由衣)の兄についても、
出すならもっと前から出すべきだったような気がする。
そうすればあの病院のシーンはもっと良くなったのに…。もう学校を辞めさせる、という兄に対して、
たとえ辞めても余市の生徒だ、
という吉森(竹野内豊)の言葉が
この作品的にはポイントだったので、
兄と吉森をその前に会わせておくべきだったんだろうな、たぶん。まあ、今回は脚本がメインの飯野陽子ではなかったので
多少のブレは仕方ないか。採点 6.5(10点満点平均6)
『独身3!!』 第7話
演出:土方政人
脚本:福田雄一このドラマにしてみれば
後半の出来は良かった方か。ただくだらなさ全開の前半は
やっぱり見ているだけで疲れる。
もうぐったり。採点 5.0(10点満点平均6)
『百年の恋』 第2週 こんなハズじゃなかった!
演出:中村金太
脚本:橋部敦子テーマは面白いんだけどなあ。
もう少し細かいところを
丁寧に作ってくれればいいのに…。ただ、演出というか、
美術がいい仕事してる感じ。採点 6.0(10点満点平均6)
『あした天気になあれ。』 7
演出:岩本仁志
脚本:梅田みか最近の子役はみんな泣きの芝居がうまいな。
“お父さんが死んじゃったら
ボクひとりぼっちになっちゃうもん”って泣かれたら
テレビを見てる大人はみんな泣くって!徳村(仲村トオル)とマッキー(井ノ原快彦)の
描き方のバランスは相変わらずいい。テレビ局のスタッフの描き方はずっとダメだったので
今回の春香(吉岡美穂)も効果的には使えず。そういう意味では最初から安定してるとも言えるのか?(笑)
採点 6.5(10点満点平均6)
『運命が見える手』
制作統括:依田正和(ABC)
プロデュース:東浦陸夫(ABC)
関口静夫、森安彩(共同テレビ)
演出:松田秀知
脚本:いとう斗士八
原作:「セカンド・サイト」中野順一
音楽:石田勝範
制作:ABC、共同テレビ
出演:小西真奈美、柏原崇、真矢みき、南田洋子、田村高廣、佐々木蔵之介、
大杉漣、山口紗弥加、田山涼成、深浦加奈子、矢島健一、
せきぐちきみこ、宮本大誠、他今回で最後となる
サントリーミステリー大賞受賞作品。小西真奈美が「深く潜れ」以来の良さを出していたように思う。
柏原崇も復帰してから演技がナチュラルになっていい感じ。内容的にミステリーとは言えない作品だったけど
人間ドラマとしてのテーマはハッキリしていたので見やすかった。
花梨(小西真奈美)が自分の運命を知りながら
最後まで精一杯生きた部分まで含めて。小西真奈美の笑い方はちょっとエリーっぽかったかな(笑)
採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆
『R.P.G.』
制作統括:阿部康彦、木田幸紀
プロデュース:鈴木伸太郎
演出:星田良子
脚本:福田靖
原作:宮部みゆき
音楽:窪田ミナ
共同製作:NHKエンタープライズ21、共同テレビジョン
制作:NHK
出演:後藤真希、風吹ジュン、伊東四朗、伊武雅刀、榎本加奈子、
中村七之助、高田聖子、嶋田久作、増田恵子、鶴田忍、
飯田基祐、春木みさよ、斉藤工、吉満涼太、鈴木修平、
榎本佑、大沢舞子、本橋里紗、他宮部みゆきの原作をNHKがドラマ化するので
内容的には問題なし。
取り調べのシーンは演出的にも
かなりハイレベルな仕上がりになっていたと思う。で、NHKのドラマ初出演で初主演となった後藤真希だけど
印象は今まで見たドラマとあまり変わらなかった。
静かなシーン、泣きのシーンに関しては非凡なものがある。
ただ、あらゆる感情がそのレベルでは出ない。
だから成功する作品が限られると思うんだよなあ。でもまあ、この作品に関してはハマっていた方だと思う。
採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★★☆☆
『ピュア・ラブ III』 全40話
制作:山田尚
プロデューサー:芝野昌之、池田仁美(MBS企画)
演出:山本実、竹園元、皆元洋之助(東通企画)
作:宮内婦貴子
音楽:栗山和樹
主題歌:「またあした」Every Little Thing
制作協力:MBS企画
制作:MBS(毎日放送)
出演:小田茜、猪野学、篠田三郎、高田敏江、川津祐介、尾崎麿基、
楠見薫、衣通真由美、林泰文、石倉三郎、みやなおこ、福田賢二、
辻内将人、今村雅美、楊原京子、窪田翔太、樋井明日香、岡本奈月、他白血病の再発も経験した小学校教師・木里子(小田茜)と、
木里子のドナーでもある禅僧の雲水・陽春(猪野学)との
ストイックな純愛を描いたシリーズパート3。前シリーズの最後で陽春が副住職になり
妻帯が可能になったことで、
2人が結婚するまでを描くかどうかに注目が集まった今回。
見事なハッピーエンドで終了した。絶対に結婚するに違いない、と分かっていても、
もしかしたら2人とも一生独身かも?
と思わせた構成はうまかった。最終週に用意していたのが陽春の母からの手紙。
まさに「紅絲線」のエピソードを具現する内容で
陽春と陽春の母との関係について書かれた部分も含め、
「ピュア・ラブ」ファンは陽春と共に号泣した、と思う。しかも、陽春の母が、
木里子が陽春の子供を産んでくれる人だ、
と悪気無く思ってしまったところがさらなるポイント。この部分については木里子がその手紙を読む前から
「ピュア・ラブ」ファンは木里子の気持ちを察して号泣した、と思う(笑)全体的にはみつる(楊原京子)の最後の逆襲が無かったことに
やや拍子抜けした感もあったけど、
みつる自身、かなり早い段階から
陽春の気持ちが自分に向かないことは分かっていたに違いない。当事者同士の話ではなく、
自分の父親から破談を聞かされて最終的にあきらめるというのは
お寺の娘らしくてよかったんではないだろうか。「ぼくの魔法使い」の西恵役で
もう木里子はできないのでは、と思われた小田茜も、
さすがにこの役は自分のものにしていて、
隅から隅まで木里子だった。
最後の白無垢姿は本当に美しかったし。さあ、木里子と陽春が結婚し、
木里子が教師を辞めてしまった以上、
これでこのシリーズも最後なんだろうか?この物語には木里子と陽春のカップル以外にも
多くの純愛が存在していたので、
また見てみたい気もするけど。「あした天気になあれ。」の主題歌を歌っている
ルナちゃん(樋井明日香)だけでなく、
すでにアイドルの道を歩いている未央(岡本奈月)、
そして確かな演技力をつけてきた裕太(窪田翔太)など、
子役にも注目株が揃ってるし…。でもまあ、ここで止めておくのが無難なのかな。
「キッズ・ウォー」みたいに見苦しく続けられるのもイヤだし。ウソみたいな純愛話の中にも
禅宗の教えなどを効果的に盛り込んで、
こうあるべきだ、という道を正面から描いた、
ある意味、非常にオリジナリティーのある作品だった。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★★
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★★★☆
話題性 ★★★☆☆
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