タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
>>バックナンバー >>ドラマ別レビュー
第222話「今度の古畑スペシャルは、VS松本幸四郎」
来年の1月3日、
5年ぶりに「古畑任三郎」がスペシャルで放送される。今回の犯人役ゲストは松本幸四郎。
今泉(西村雅彦)も西園寺(石井正則)も出さずに、
田村正和がタイマンを張るらしい。すごく楽しみ。
でも三谷幸喜は仕事しすぎ(笑)
『トリック』 episode 4 ♯8演出:堤幸彦
脚本:蒔田光治横溝テイスト全開で全体的には面白かった。
ただ、最後にオチを付けるべきだったのかなあ。何人も死んだ事件だったんだし、
もっと別の締め方もあったと思うけど…。月も見捨てしこの夜は
鐘つき 餅つき うそをつき
夜明けは見えず 命つきこの辞世の歌でうまく締めた方が
個人的には好みだった。スリットネタや映画版でやった暗号ネタは
シリーズ物としての継続性を出す意味でいいと思うけど、
ガッツ石まっ虫はもうしつこい。採点 7.0(10点満点平均6)
『エ・アロール』 第9話演出:平野俊一
脚本:相沢友子今回のメインが美術教師の立木(緒形拳)だったせいか、
映像が全体的に絵画的だった。
多少、BGMで盛り上げすぎた感もあるけど、
美しい回だったと思う。内容的にも高齢者ひとりひとりに若い時があり、
それぞれの人生があったことを間接的に描く、
このドラマらしいものだった。若者たちが完全には高齢者の気持ちを理解できない部分も
うまく描き込んでいたと思う。来栖(豊川悦司)が「エ・アロール」の院長として
徐々に成長してきた課程が丁寧に描かれていたからこそ
この回の完成度が上がったんだと思う。採点 7.5(10点満点平均6)
『白い巨塔』 第九話演出:西谷弘
脚本:井上由美子教授選がらみの攻防はかなり面白かった。
とくに東教授(石坂浩二)の感情が
むき出しになるシーンは見ごたえがあった。その課程で菊川(沢村一樹)を推薦した
東都大学の船尾教授(中原丈雄)が
しっかり描かれていたのは重要。
この顔はちゃんと覚えておこう。佐々木夫妻(田山涼成・かたせ梨乃)の
話の絡め方もバランスが良かった。里見(江口洋介)が
“教授になるかならないかは
患者だけでなく自分にも関係ない。
ただ外科医として信頼している”
と財前(唐沢寿明)に告げたのも
里見と財前の関係を示す大事なセリフだった。採点 7.0(10点満点平均6)
『マンハッタンラブストーリー』 C(表記は反対向き)演出:坪井敏雄
脚本:宮藤官九郎千倉先生(森下愛子)にスポットを当てて、
回数表示は「C」を反対向きに。でもこの「C」、
しーちょうりつ(視聴率)の「C」じゃない?
というくらい「軽井沢夫人」の低視聴率をモチーフに、
(しかもその原因のひとつに裏番組の強さまで挙げた)
このドラマ自体の現状を皮肉った内容だった。その中で宮藤官九郎は
同じ劇団・大人計画の主宰、松尾スズキにこう言わせる。
“間違っても意志は固いんですもん。
間違った方しか見てませんもん。
自分で選んだことはね、
間違っても貫くべきだと思うんです”そして店長(松岡昌宏)のツッコミ。
“本当に大丈夫か?”(笑)土井垣(松尾スズキ)の4回目の結婚って、
「IWGP」「木更津キャッツアイ」
「ぼくの魔法使い」に続く、
この「マンハッタン」のことかもしれないな。
(「ロケットボーイ」は突発的な事情があったので…)でもここへ来て、
赤羽(小泉今日子)を主役にしたラブストーリーと考えると
非常に繊細な内容になってきたとも言える。赤羽とベッシー(及川光博)のシーンは
毎回、ドキッとするくらいいいし。まあ、その及川光博がこのドラマが終わったあとすぐに
強敵だった裏番組「白い巨塔」出るというのは
それこそ最大の皮肉だけれども…。最後の千倉先生のセリフ、
“記憶より記録だっつーの!”は
宮藤官九郎の嘆きにも聞こえて可哀想だった。採点 7.0(10点満点平均6)
『ヤンキー母校に帰る』 Vol.9演出:加藤新
脚本:飯野陽子うーん、微妙だな。
生徒を信じ続ける教師、という描写が、
ちょっと分かりにくかった感じ。職員会議での吉森(竹野内豊)のセリフなど、
いい決めゼリフもあったけど、
教師全体を使ってもっと丁寧に
会話を繋いだ方がよかったかもしれない。大麻問題は次回の最終回まで続くので
消化不良っぽい雰囲気が出るのは仕方ないけど、
今回に限っては脚本にやや問題があったのは事実だと思う。
最後の巻き返しに期待しよう。採点 6.5(10点満点平均6)
『独身3!!』 第9話演出:杉山登
脚本:大野敏哉相変わらず笑えるシーンは皆無だけど、
はじめ(遠藤章造)ときよえ(佐藤仁美)の
腐れ縁カップルの描き方は良かった。
結構、泣けたし。佐藤仁美ってこういうキャラクターやると
メチャメチャいい女だよなあ。
きよえ主演で最初から作り直して欲しいくらい。採点 6.0(10点満点平均6)
『百年の恋』 最終週 こんな夫婦だってアリなんだ!演出:中村金太
脚本:橋部敦子最後はちょっと駆け足になったけど
無難にまとめた感じ。子供が泣く声に我慢できず、
オッパイを上げる梨香子(川原亜矢子)は美しかった。テーマは本当に良かった。
だからこそもっと丁寧に作って欲しい作品だった。採点 6.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★☆☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 6.25(10点満点平均6)
『あした天気になあれ。』 9演出:猪股隆一
脚本:梅田みか相当ヤバイだろ、この脚本。
和彦(沢村一樹)と和彦の両親側の言動が、
これでもかってくらいストーリーを盛り上げるための
張りぼてキャラになってて。花と実々が観月ありさと森迫永依じゃなかったら
見られたもんじゃなかっただろうなあ。でも、ここまで唯一バランス良く描いてきた
徳村(仲村トオル)とマッキー(井ノ原快彦)が、
いよいよ花を間に挟んで最終決着を迎える運びに。当初は全11話だったけど、
これを2時間スペシャルにして次回で最終回となる。
(理由は単に編成の都合だと思われる)どちらと結婚しても、
あるいはどちらとも結婚しなくても、
ストーリー的にはおかしくない。
あとはどこまでクオリティーを上げられるかだ。まあ、実々だけ可愛く撮れてれば
実際、多くは望まないけどね(笑)採点 5.5(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第8話演出:清弘誠
脚本:吉田紀子やっと面白くなった。
ていうか、ちゃんとエピソードが重なって
やっとドラマらしくなった。でも、原田知世のコメディセンスの無さは相変わらず。
山田(伊藤淳史)が柏倉家に来たシーンは
もっと原田知世が笑わせないとダメだろ。今回の幸子(小雪)のシーンは悪くなかったけど、
あの子役はもうちょっと何とかならんか。
一番フケて見えるってどういうこと?採点 6.5(10点満点平均6)
『神様、何するの…』プロデュース:武内英樹、下山潤
演出:武内英樹
脚本:原田裕文
原作:吉井怜「神様、何するの…」
音楽:井内竜次
挿入歌:「秋桜」宮地真緒
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
制作:フジテレビ
出演:宮地真緒、田中好子、三田村邦彦、佐野史郎、小野武彦、伊藤裕子、
山口紗弥加、KONTA、猫背椿、松澤一之、野村信次、片山怜雄、他吉井怜の闘病記を宮地真緒主演で映像化。
ドラマとして脚色した部分も多かっただろうけど、
骨髄移植を決断するまでの日々を
丁寧に描いた構成は良かった。普通、実母からの移植が可能だと分かれば
誰でも喜んですると思ってしまいがちだけど、
実際は様々な状況からそれを決断するまでの葛藤もある。
そこに時間を割いたのは作品として正解だったと思う。吉井怜という身近なタレントが実際に経験した内容ということで、
ただの難病を扱ったドラマより格段に親近感があったのも確か。最初に出てきたホリプロスカウトキャラバンで
実際にグランプリを取ったのは深田恭子なんだよなあ、とか、
4人組で歌っていたシーンもあったけど、
あの中には優香もいたんだよなあ、とか。あと、母親役が夏目雅子の義姉・田中好子だったということも
見ている方は想像をかき立てられてツライものがあったし…。ちなみに親友のマイというのは myco のことで、
今「独身3!!」の主題歌を歌ってる人のことね。…と、感情的に入り込む部分は多かったんだけど、
ドラマ作品として優れた仕上がりだったかというと、
かなり疑問は残る。ハッキリ言って宮地真緒はミスキャストだったと思うし、
音楽の使い方もかなりひどかったし。まあ、白血病がどういう病気か知らない若い人って
本当にたくさんいそうだから、
そういう意味ではどんな形でもドラマ化する価値はあったかな。
吉井怜にはこれからも頑張ってもらいたいと思う。採点 6.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★☆☆
演出 ★★★☆☆
配役 ★★★☆☆
音楽 ★☆☆☆☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★★☆☆
[ロビー田中の自己紹介]
[トップへ]