タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第223話「広末涼子が妊娠・結婚!」
だって。
結婚はいいけど、妊娠かあ。次のドラマはいつになるのかな。
早く見たい気もする。
『ビギナー』 第10話 最終回の1回まえ演出:川村泰祐
脚本:水橋文美江何のドラマだっけなあ。
「最終回の1回まえ」みたいな表示、
以前もやったことあるよなあ。
たぶん、山口Pの作品だと思うけど…。で、その「最終回の1回まえ」の内容は、
冤罪を扱ったエピソード。
それを課題や実務研修ではなく、
楓(ミムラ)自身が巻き込まれるという
展開にしたのは面白かった。ただ「最終回の1回まえ」ということもあって
それほど冤罪そのものについては深く切り込まず、
むしろ主要メンバーの人間性にスポットを当てていた。楓が仲間だからといってただ無罪を主張するわけではなく、
客観的に楓の行動を議論していったのは
このドラマらしくて良かった。逆にそこで描かれるメンバーの人間性などに
あまり新しい面が見られなかったのが残念。
まあ「最終回の1回まえ」だから
そんなに新しい側面を出す必要もないんだけどね。最終回は比較的重ための
森乃(松雪泰子)の過去をモチーフに話が進む模様。最後までこのドラマらしい
気持ちのいい内容で締めて欲しい。採点 7.5(10点満点平均6)
『ライオン先生』 第9話監督:小田切正明
脚本:宮崎涼、小田切正明普遍的なテーマでも作り方が粗末だと
ホントに古くさいだけだけ。ライオン先生(竹中直人)が奈々(萩原明子)の病室で
カツラだと告白しそうになったシーンは良かったけど。で、唐突に清志郎が登場したと思ったら
最後はまたみんなで歌うらしい。
ここまで来ると、もうどうにでもして状態。採点 4.5(10点満点平均6)
『あなたの隣に誰かいる』 最終回演出:林徹
脚本:坂元裕二なんだよ!
結局、ただのホラーかよ!まあ、それならそれでいい。
でもだったら作り方がこうじゃないだろ。ワケの分からない近所の住人の存在やその演出方法は、
結局、恐怖を際立たせるためのコミカルな部分だった、
と言えるわけだけど、
そこは「人の言動」にしちゃダメなんだよ。
生きてる人間の方が怖いだろ、今の世の中。
そこをゴチャ混ぜにしたのが最大の失敗なんだよ。それから家族愛を描いているようで実際は表面的な、
おざなりの段取りだけでしか描けなかったことが、
安っぽさを増大させた原因。“鈴の声が聞こえた”って、
聞こえねーよ(笑)もしかしたらよく出来た物語なのかも、
とギリギリまで期待してしまった自分がバカだった。
最初からB級ホラーのつもりで見ればよかったな。採点 4.0(10点満点平均6)
脚本 ★☆☆☆☆
演出 ★★☆☆☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★★☆☆平均採点 5.20(10点満点平均6)
『ハコイリムスメ!』 最終話演出:木下高男
脚本:中園ミホアメリカロケはなかったけど
最後までお約束の展開で終了。最終回の見どころも、
吉太郎(地井武男)が結婚式で
“健がどんな想いでケンカ売ってると思ってんだ”
と言ったシーンと、
花(飯島直子)が英語を勉強するという行動で
静かにキース(マーク・コンドン)への想いを温めたところだけだった。とにかく最初から最後まで
人が書いたとは思えないくらい
システマティックに進んだ物語だった。セオリーを守るドラマも
王道を行くドラマも悪いとは思わないけど、
それって一番難しいんだよな。誰も得した人がいなかったような
毒にも薬にもならないドラマだった。採点 5.0(10点満点平均6)
脚本 ★★☆☆☆
演出 ★★☆☆☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★☆☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ☆☆☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 5.40(10点満点平均6)
『恋文』 最終話演出:新城毅彦
脚本:岡田惠和やっぱり将一(渡部篤郎)が戻ったかどうかを
視聴者に想像させる終わり方ではなく、
ハッキリ戻ったと分かる締め方だった。そこに説得力を持たせたのが
計作(寺尾聰)と美木子(いしだあゆみ)の存在。
あの8話の“おかえり”“ただいま”と、
この最終回の計作と将一の会話で、
そういう選択もアリ、と思わせた。別の原作の主人公をここまで食い込ませて
なおかつ、自然な流れで描いた岡田惠和の力量は
さすがだとしか言いようがない。小説、映画、そしてこの連ドラ化だったわけだけど、
完全に岡田惠和版「恋文」になっていたと思う。
本当に見事だった。まあ、個人的な好みで言うと、
ラストカットは交番の中にいる将一を見て
郷子(水野美紀)が泣き出す所で止めて欲しかったけどね。キャストロールのトップが渡部篤郎だから
水野美紀の顔で終わるわけにはいかないことも、
主題歌は「柊」だから最後も「柊」が流れることも分かってたけど、
もしあそこで映像が止まって「In My Life」のイントロが流れてたら
たぶん「NEWS23」が始まるまで泣いてただろうな(笑)ついでにマイナス点を挙げるとすると
やっぱり若林(要潤)と石塚(国分佐智子)の動かし方か。
でもこれはカットされた部分もありそうだなあ。
予告にあって本編にはないシーンもあったし。将一、郷子、江津子(和久井映見)、
計作、美木子のシーンが切れなかったので
ここを切ったのだとしたら、
それは間違いなく正解なので良しとしよう。いしだあゆみ、寺尾聰がベテランの味を見せる中、
渡部篤郎も最後は良かった。
江津子(和久井映見)が死ぬ直前、
病室から出ていく逆光のシーンはとくに良かった。水野美紀のしっかり者の女房でありながら
女性の繊細さも感じさせた演技も見事。
対将一、対江津子の側面だけでなく、
対子供(泉澤祐希)という表情もきちんと捉えていたのは
演出と合わせて丁寧だったと思う。そして和久井映見。
死期が迫っている役にしてはポッチャリしすぎていた、
という指摘は確かにあると思う。
でも、将一と郷子が夫婦であると知りながら
自分のわがままを通して2人と会っていた前半の演技などは
本当にきめ細かくて見ごたえがあった。この役はヘタをするとものすごくイヤな女に映るはずなので、
そこを透明感ある女性として演じたのはさすがだったと思う。直木賞受賞作という多くの人が知っているストーリーを
映像化しているにも関わらず、飽きさせることなく、
脚本、演出、役者の演技が高い水準でかみ合った
上質のドラマだった。採点 8.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★★★
演出 ★★★★★
配役 ★★★★★
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 7.50(10点満点平均6)
『共犯者』 第9話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子冬川(浅野温子)とマサト(三上博史)が
同じ部分にケガを追っていたことで、
もうこの作品の仕組みは確定的になった。エレベーターの前でマサトに会った小林(吹越満)が
“(警察は)あなたが私を殺すと思ってますよ”
と言ったのもその証明。ちなみに第1話、
初めて小林とマサトが会ったシーンもエレベーター前で、
その時、小林にはマサトの姿も見えていなかったし
声も聞こえていなかった。
冬川の方が前に出ていたから。もちろん、希(加賀美早紀)の
“私にもそういう人がいた”
という言葉もその事実を裏付けるもの。映像の時間軸がズレているだけで、
あとは本当にうまく演出されているなあ。ラストはやっぱり第1話のオープニングシーンに戻るのか。
よく考えたら海で死んだ塔山紗江(中山忍)の恋人のエピソードは
このシーンを意識したフェイクだったんだよな。うーん、最終回まで見たらまた1話から見直したい。
ていうか、これ再放送やビデオにすごい人気が集まりそう。
とにかく今は最終回をどう描くか楽しみだ。採点 8.0(10点満点平均6)
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