タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第225話「上田次郎に続き山田奈緒子も本を出版」
あの上田次郎に続き、
山田奈緒子も本を出版する。タイトルは、
「超天才マジシャン・山田奈緒子の
全部まるっとお見通しだ!」…商売ってこうやるんだな(笑)
『あした天気になあれ。』 最終話演出:岩本仁志
脚本:梅田みか実々(森迫永依)が迷子になるシーンまでは
あまりにもありふれた展開で、
描き方も安っぽさが目立っていた。その後、かなり盛り返しはしたけど、
今度はセリフのテンポが遅くなって
2時間スペシャルを有効に使ったとは言えない出来。
でもまあ、こんなもんかな。結局、主人公がお天気お姉さんである理由はほとんどなかったし、
テレビ局という職場の人間関係もまったく有効に使えなかった。ただ、企画としては最初から
観月ありさ主演のシングルマザー物語をやりたかっただけだと思うし、
そういう意味では森迫永依という可愛いパートナーを得て
それなりのドラマは作ったと思う。最後にマッキー(井ノ原快彦)に会いに来た時の
花(観月ありさ)と実々なんて
最高にオシャレで可愛いママと娘だったしな。
ああいう映像が撮れればいいんだよ、
こういうドラマはきっと(笑)森迫永依は「流転の王妃・最後の皇弟」にもちょこっと出てたけど、
今期の新人賞と言える活躍だった。採点 6.0(10点満点平均6)
脚本 ★★☆☆☆
演出 ★★★☆☆
配役 ★★★★☆
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 6.35(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 第9話演出:金子文紀
脚本:吉田紀子ホームドラマだからと言ってしまえばそれまでだけど、
自分の番組に自分がリスナーのふりして出るってどうなんだ?いや、番組を盛り上げるために
そういう“演出”をすることはよくあるけど、
この場合は違うだろ。あと、結果はまだ分からないにしても、
あそこまで話が進んだ仕事を放り出して
辞表を書くってのもなあ。今回に限って言えば、
仕事をしている視聴者から反感を買いそうな描写が多かった。序盤の節子(加来千香子)夫婦の口げんかを
春子(深津絵里)と一郎(岡田准一)が
代わってするところは良かった。採点 6.0(10点満点平均6)
『ビギナー』 最終話演出:水田成英
脚本:水橋文美江最後の課題として出されたマグロの不当表示事件。
羽佐間(オダギリジョー)が大手弁護士事務所に出した起案。
桐原(堤真一)のプロポーズに対する森乃(松雪泰子)の返事。
そして8人それぞれの進路。
このすべてを最後の討論で絡めた脚本は見事だった。森乃の過去に関しては
裏社会から足を洗ったキッカケが自らの告発だったこと、
その後、勉強して司法試験を突破したことなどから
検察官に任命されるという展開に。この部分に関することだけでなく、
全体的に簡潔に描く傾向はあったので
多少、強引に展開する場面は確かにあった。でも、この「ビギナー」のトーンを守りながら
司法修習生として最後まで課題を議論し、
ひとりひとりのキャラクターを大事にした作りは
実に見ていて気持ちのいいものだった。森乃が自分の将来を決める過程で楓(ミムラ)が言った
“自分のことは自分で決めるべきです”
というセリフも効果的だったし。恋愛に関する要素も桐原と森乃に関しては
様々な経験をしてきた2人らしい大人の結論で決着。
楓と羽佐間に関しても今後を暗示させる程度で
キスシーンもなく終わらせた。
ドラマ全体で考えれば
このバランスも絶妙だったと言っていいだろう。物語の締めは、
今まで何度もやってきた課題の検証に沿って
「指紋は5年後も残っているか」という立証。
そのシーンを8人が確かに一緒に勉強したという証しに代えた。放送前はヒロイン・ミムラの売り出し方に
かなり穿った見方もされたこの作品。
でも、実際に完成したドラマは実にセンスの良い
賞賛に値する作品だった。採点 8.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★★
演出 ★★★★★
配役 ★★★★☆
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★★★
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★★☆☆平均採点 7.68(10点満点平均6)
『ライオン先生』 最終話監督:小田切正明
脚本:小田切正明呆れてモノも言えないくらい
ムチャクチャなドラマだった。もうどこが悪いとか挙げてられない。
ていうか、そういうことを挙げていくのもバカバカしいくらい
ある意味、伝説的にひどいドラマだった。最終回の視聴率は3.1%。
2%台まで落ちたら本当に伝説になったのに…。採点 3.0(10点満点平均6)
脚本 ☆☆☆☆☆
演出 ★☆☆☆☆
配役 ★★☆☆☆
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★☆☆☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★☆☆☆☆平均採点 4.45(10点満点平均6)
『夢見る葡萄〜本を読む女〜』 全11話制作統括:浅野加寿子
演出:大友啓史
脚本:鈴木聡
原作:林真理子「本を読む女」
音楽:渡辺俊幸
制作:NHK
出演:菊川怜、原沙知絵、山田純大、涼風真世、松方弘樹、的場浩司、
田村亮、丹波哲郎、赤木春恵、上原さくら、三浦理恵子、錦織一清、
森本レオ、松原智恵子、小橋めぐみ、星野有香、中村綾、斉藤奈々、
三浦春馬、葛山信吾、柳沢慎吾、東てる美、西岡徳馬、布施明、
水谷八重子、他個人的には中盤やや中だるみを感じてしまって
集中力を欠くこともあったんだけど、
出だしと後半が想像以上に良かった。昭和初期の物語は今の時代に非常にマッチする。
改めて今はもう戦後ではなく、戦前なんだなあと感じた。本を読むことは考えること。
考えることをやめてしまった平成の日本人は
再び葡萄を兵器にしてしまうのか。採点 7.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★☆☆
演出 ★★★☆☆
配役 ★★★☆☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★★★☆
話題性 ★★★☆☆
『俺たちの旅〜三十年目の運命〜』企画:酒井浩至
チーフプロデュース:梅原幹
プロデュース:倉田貴也、荒木功(ユニオン映画)、佐藤丈(ノアズ)
監督:齋藤光正
原作・脚本:鎌田敏夫
音楽:トランザム
音楽監督:鈴木清司
主題歌:「俺たちの旅」中村雅俊
制作協力:ノアズ
制作:日本テレビ、ユニオン映画
出演:中村雅俊、田中健、秋野太作、岡田奈々、東新良和、十朱幸代、
床嶋佳子、上村香子、森川正太、永島暎子、石井苗子、神田うの、
左時枝、森本レオ、根本はるみ、上田耕一、布施博、(金沢碧)、他テーマやメッセージは悪くなくても、
全体のクオリティーは…。
もう演出とか古いよね、さすがに(笑)上村香子はあんまりトシ取った感じはしなかったけど、
岡田奈々はちょっと哀しかったなあ。
まあ、連ドラの頃は17歳だったんだから仕方ないか。内容的にはやっぱり洋子(金沢碧)の死がすべて。
昔の映像をあそこまで使われたら泣くぞ、おじさんたちは。この「俺たちの旅」はピュアな意味でのフリーターという生き方を
初めて是とした作品でもあったと思う。
(もちろん当時はフリーターなんて言葉はなかった)その象徴であったカースケ(中村雅俊)を
非難しながらもずっと見守ってくれたのが洋子だった。
ドラマとしては決して美人のヒロインでも
派手な活躍をする脇役でもなかったけど、
いつもそばにいてくれた女性だった。そんなキャラクターの死というのは
どうしょうもなくせつない。
とくにカースケの背中を追って社会に出たような世代にとっては
やっぱり“線香をあげて済むような相手じゃない”から。洋子が死んで俺たちの青春は終わる。
それでも俺たちの旅は続く。採点 6.5(10点満点平均6)
脚本 ★★☆☆☆
演出 ★★☆☆☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★★★☆☆
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