タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第226話「“BJによろしく”のスペシャルは1月3日」
年末年始はスペシャルドラマが見逃せないけど、
「ブラックジャックによろしく」のスペシャルは1月3日。
今回は“涙のがん病棟編”が映像化される。ゲストは阿部寛、伊東美咲、石橋貴明、薬師丸ひろ子など。
国仲涼子、笑福亭鶴瓶も出る。正月早々、泣いとく?
『共犯者』 最終話演出:大谷太郎
脚本:秦建日子このドラマの生命線だったとも言える
時間軸をずらしたシーンから始まった最終回。木場(石橋蓮司)と希(加賀美早紀)が
冬川(浅野温子)のお骨を海に撒いていたけど、
第1話のオープニングシーンは
海に漂う死んだマサト(三上博史)の映像だった。このドラマは最近の連ドラでは異例の
大谷太郎ひとりが10話すべてを演出した作品だったけど、
最初から最後まで演出に筋が通っていたというのが
全体のクオリティーを上げた大きな要因と言えるだろう。サスペンスというスタイルを取っていたドラマにおいて
冬川=マサトという構図が是か非かという問題は確かにあると思う。
ちなみに個人的には普通だったら明らかに非と答える。ただ、そのことを認識させる描写がかなり序盤からあったこと、
マサトを生み出す心理にかなり納得ができたこと、
そして何よりドラマとしてのエンターテイメント性は
十分に確保していたことなどから、
この作品に限っては是だったと感じている。もちろん、どの段階でこの構図に気がついたかによって
この作品に対する評価は変わるだろう。
最終回まで気がつかなかった人は裏切られた気持ちになるだろうし、
安易なオチでごまかされたとも感じるに違いない。
でもこれは1話からそれを前提にかなり細かく演出されているので
機会があったら最初から見直してみるとまた考えが変わるかもしれない。冬川=マサトであることは分かっていたけど、
最終回はいくらなんでも説明不足、と感じた人もいただろう。
……それは確かに少し感じた(笑)ちなみに、病院で木場とマサトがすれ違ったシーンに関しては
秦建日子が自分のHPでミスだったことを認めている。
ミスじゃ説明のしようがないか。でも、社長(黒部進)の心理や
中尾常務(佐野史郎)の関わりについては
もう少し説明があってもよかったのになあ。あと30分、いや15分でもいいから延長していれば
もっとスッキリとできたかもしれないのに…。いずれにしても、ドラマを見るスタンスによって
大きく評価が割れる作品であったことは間違いない。個人的には、時効間際の殺人者の心理を描いたドラマとして、
そしてその心理の基本的な構造は誰にでも共通するのでは?
という部分を描いたドラマとして、
かなりよく出来た作品だったと評価したい。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★★
配役 ★★★★★
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 7.50(10点満点平均6)
『エ・アロール』 最終話演出:松田礼人
脚本:相沢友子ちょっと想像とは違ったけど
静かな良い最終回だったと思う。何か劇的なことが起きて
「エ・アロール」の経営が安定したわけじゃないけど、
立木(緒形拳)の家族を持ちたいという夢を
老人ホームの存在と絡めた描き方は納得ができた。来栖(豊川悦司)と麻子(木村佳乃)の関係も
最後まで丁寧に描いていた。
プロポーズに困惑する麻子に対して
“それがどうしたの?(エ・アロール)”
という言葉で締めたのもスッキリした構成だったし。この手のテーマの作品が
テレビドラマで人気を博すようになるにはまだ早い。
ただ、間違いなく日本も高齢者だらけの国になるわけで
そういう未来を具体的にイメージするという意味でも
十分に意義がある作品だったと思う。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★☆
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 6.82(10点満点平均6)
『マンハッタンラブストーリー』 A(表記は反対向き・笑)演出:土井裕泰
脚本:宮藤官九郎「マンハッタン」らしい最終回だった。
記念写真を撮ろうとレモンを持つ赤羽(小泉今日子)、
ベッシー(及川光博)との対峙に
武蔵と小次郎を連想する店長(松岡昌宏)、
“志村、後ろ!後ろ!”と30代のように叫ぶ江本(酒井若菜)、
赤羽の名前に隠された「共犯者」的アナグラム、
今日の店長(天気)に店長虫(テントウ虫)のサンバ、
ETC!と叫んで高速道路の料金所を走って通過する店長…。
小ネタ、大ネタ満載で笑わせてもらった。そしてその中で描かれた、
ある意味、王道とも言えるリアルなラブストーリー。結局、クドカンのドラマはココなんだよな。
笑いの中に隠されたリアルな部分に共鳴できた人は
ただ“面白い”ではなくて感動できるし、
そこに入り込めなかった人は
コントと同じような面白さだけしか感じられない。その笑いの質にまで共鳴できなかった人は、
まったくつまらないドタバタ劇としか思えない。
で、意外にそういう人は多くて視聴率にはつながらない。
…宿命かなあ。いずれにしても最初の企画通り、
きちんとクドカンのラブストーリーになっていたと思う。
展開にまで現れた照れ隠しの度合いまで含めて。まあ、とにかくイボリー(尾美としのり)が
幸せになれてよかった(笑)そして…
もういいよぉ、ベッシー(T_T)採点 8.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★★★
演出 ★★★★★
配役 ★★★★★
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★★★☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 7.41(10点満点平均6)
『トリック』 episode 5 最終回演出:堤幸彦
脚本:蒔田光治やっぱり裏番組の「北の国から」再放送に対して
“汚いぞ〜”と文句を言った(笑)
お約束だからね、これは。「笑っていいとも」は分かりにくかったかもしれないけど、
前回殺された省吾を演じていたのが
初代いいとも青年隊の久保田篤だったからだね。まあ、そんなことはどうでもよくて、
ついにプロポーズしたよ!
しかも第1シリーズと同じように
島に2人が残されるラストで。第1シリーズでは鬼束ちひろが出てきて
「月光」を歌ったんだよな。
また後ろに誰かいる!
と思ったら上田(阿部寛)だった。それにしてもすごいハッピーエンド。
あ、エンドかどうかは分からないか…。また習字で「本当に最終かい?」「らいねんあえるか」
とか書いてたから編成次第ではやるかもな。謎解きの部分はシリーズを追うごとに薄まっていったし、
笑いを取りに行く部分もどんどん滑っていったけど、
上田、山田(仲間由紀恵)という
最高のキャラクターを生み出した作品であることは確か。個人的にはこの2人の
微笑ましいツーショットで終わっただけで
十分に満足だった。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★☆☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★☆
主題歌 ★★★☆☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★★☆☆平均採点 6.65(10点満点平均6)
『独身3!!』 最終話演出:土方政人
脚本:福田雄一原作がどうであれ、
このドラマのラストはコレじゃないだろ。
唯一まともだったのは佐藤仁美なんだから
彼女を活かした終わり方にしないと…。いや、もちろん独身男3人の物語なんだから
そこを守って、という意図は分かる。
でも、その3人に魅力が出せたわけじゃないんだしな。うーん、まあいっか。
こんなもんだな、このドラマはきっと。採点 5.0(10点満点平均6)
脚本 ★☆☆☆☆
演出 ★☆☆☆☆
配役 ★☆☆☆☆
主題歌 ★★☆☆☆
音楽 ★★☆☆☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★☆☆☆☆平均採点 5.00(10点満点平均6)
『末っ子長男姉三人』 最終話演出:清弘誠
脚本:吉田紀子この手のドラマの最終回はこんなもんでしょう。
最後にまたみんなでワイワイ暮らしたり、
和子(原田知世)と山田(伊藤淳史)が
安易にくっついたりしないだけでもよかった。とくに見どころはなかったけど、
娘たちを見送っている時の
お母さん(岸惠子)の後ろ姿は良かった。
あそこだけだな。振り返ってみると、
やっぱり初回が一番面白かった。でもおそらく制作者が作りたかったのは
2話以降だと思うので、
そういう意味ではありふれた作品だったと言える。豪華な出演者というのが
最大のウリだったかもしれないけど、
コメディの部分でかなり足を引っ張られたので
そう考えると原田知世と小雪は
ミスキャストだったかもしれない。
まあ、汚点になるほど重要な作品でもないけどね(笑)日曜の夜はこういうタイプのドラマが見たい、
という人が多いのは分かる。
でも、そのクオリティーがこの程度では
ドラマの復権は遠いような気がする。採点 6.0(10点満点平均6)
脚本 ★★☆☆☆
演出 ★★☆☆☆
配役 ★★★☆☆
主題歌 ★★★★★
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★☆☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 6.30(10点満点平均6)
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