タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第229話「辻、加護、モー娘。を卒業(笑)」
新年一発目の大ニュースは
辻と加護のモー娘。卒業だった。冷静に考えるといい時期かもしれないなあ。
今なら卒業生で最も売れるタレントになることは
間違いないだろうし…。ちなみに辻と加護も出るNHK教育のドラマ
「ミニモニ。でブレーメンの音楽隊」は
1月10日から第1部がスタート。
(最初は高橋愛が主演)意外と侮れない土曜7時枠なので
余裕があったら見るよーに。
『ラストプレゼント』制作統括:加賀田透、木田幸紀
演出:中島由貴
作:大森美香
音楽:BANANA
主題歌:「GOOD BYE HELLO」安倍なつみ・石川梨華
共同製作:NHKエンタープライズ21
制作:NHK
出演:安倍なつみ、石川梨華、遠藤雅、小日向文世、嶋田久作、伊崎充則、
宮村優子、おかやまはじめ、大地泰仁、他さすが大森美香。
気の利いた面白いストーリーだった。イブに見せたかったものがツリーというのは
もちろん単純な展開なんだけど、
それはクリスマスのドラマなんだから問題なし。それよりも、
死んだ恋人のメッセージテープを受け取りに
もうひとりキョウコが現れてしまうという展開、
その若いキョウコのキャラクター、
夢を追っていた恋人への憧れと
夢をつかんでいる若いキョウコへの嫉妬、
そして気がつく自分の仕事に対しての誇りと
最後に笑って別れられなかったことの後悔。
そのすべてがうまく絡み合った見ごたえのある短編だった。石川梨華の演技力がもう少しあれば…、
という気持ちは確かにある。でも彼女の個性を活かした若いキョウコのキャラクターは
それはそれで許せる範囲だったのではないだろうか。この手の日常的な物語に関しては
今、大森美香が頭ひとつ抜けてる感じだな。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★★
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★☆
主題歌 ★★☆☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★★☆☆
『初恋.COM』 全四夜チーフプロデュース:梅原幹
プロデュース:櫨山裕子、内山雅博
原案:小原信治
演出:山崎貴
脚本:江頭美智留、小原信治(第三夜)
音楽:吉川慶
主題歌:「SILENT NIGHT」綾戸智絵
制作協力:オフィス・クレッシェンド
制作:日本テレビ
出演:加藤あい、市川実日子、大塚寧々、うじきつよし、金子統昭、
瑛太、大倉孝二、木村剛、八木橋修、他決して斬新なストーリーではなかったけど、
丁寧に作られた良いドラマだった。菜摘子(大塚寧々)、美咲(市川実日子)、
遥(加藤あい)という世代の違う3人の関係。
初恋の人との成就、初恋の人ではなく今の彼とのやり直し、
初恋の人は現れずニセモノだと思っていた人との再出発という
バランスの取れた3つのエピソード。他にも3人の初恋時代などで使われたモノクロ処理や
ウソをついてしまった本田(大倉孝二)と
自分を着飾ってしまった遥とのリンクなど、
細かい点でも丁寧に構成されていた。ただ、せつなくて泣けた第三夜までの展開に比べ、
最後のまとめ方はやや単純になりすぎた感じ。
クリスマスのドラマなのでハッピーエンドになるのはかまわない。
でも、もうちょっと三夜までのクオリティーを守って欲しかったな。
第四夜だけは惜しかった。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★★
主題歌 ★★★★★
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★★☆☆
話題性 ★★★☆☆
『川、いつか海へ 〜6つの愛の物語〜』 全6話制作統括:菅康弘
演出:黛りんたろう(第1話、第3話、第6話)
清水一彦(第2話、第4話)
堀切園健太郎(第5話)
作:野沢尚(第1話、第5話)
三谷幸喜(第2話、第4話)
倉本聰(第3話、第6話)
音楽:岩代太郎
制作:NHK
出演:浅丘ルリ子、森本レオ、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、志太未来、
渡辺謙、小林聡美、西田敏行、笹野高史、高橋克実、小泉今日子、
柳葉敏郎、椎名桔平、岡田慶太、塚本瑠子、春山幹介、光石研、江良潤、
田中要次、真実一路、佐藤仁哉、上田耕一、佐藤暁、山下容莉枝、江守徹、
観月ありさ、筒井道隆、香川照之、磯野貴理子、高瀬春奈、中尾彬、
森川正太、佐久間哲、渡辺哲、大倉孝二、山谷初男、豊嶋みのる、矢吹蓮、
大家睦子、奥田瑛二、井川比佐志、小沢昭一、江波杏子、石倉三郎、
高杉亘、中丸新将、広岡由里子、他NHKのテレビ放送50年記念ドラマ。
2001年夏に最初の打ち合わせがあり、
1年半かけて脚本が完成、
さらに1年かけて撮影された。テレビドラマ史の記念碑的作品になる、
と予想していたけど、
意外にこぢんまりした印象だった。3人の作家の共同作業というより
違った個性のぶつかり合いになったこと、
1話1時間で構成されていたことなどが
その原因だと思う。ただ逆に、作家の表現方法の違いという見方をすれば
かなり面白かった。導入部として物語の状況説明もしなくてはいけなかった
1話担当の野沢尚は、
5話と完全にリンクさせることで時間の少なさを解消。ここ数年、彼がずっと書いている夫婦をテーマに
もっとも筋が通った話にしていた。
全6話の中で5話が一番完成度が高かったと思う。テーマは必要なしと言い切った三谷幸喜は
完全に自分のフィールドで勝負。
劇中劇も絡めた4話は
“不思議な力を呼び起こす”という浮き球の特徴を
三谷幸喜らしく表現していて面白かった。ただ、2話は全6話の中で一番面白くなかったと思う。
個人的には渡辺謙がミスキャストだったと思うんだけど…。一番ドラマにメッセージを込めたのが
やっぱり倉本聰。このメッセージ部分に関しては
きちんと3話と6話をリンクさせていて、
全体の統一性も意識していた。人間そのものを描くという意味では
倉本聰のテクニックはずば抜けていて、
とくに3話は倉本聰らしくて印象深かった。テレビ放送開始50年を記念して
現代を代表する作家3人に
ガラスの浮き球をモチーフにしてドラマを書かせる、
という企画は悪くなかったと思う。ただそれが成功したかというとかなり疑問。
やっぱり倉本聰は倉本聰であり、
野沢尚は野沢尚であり、
三谷幸喜は三谷幸喜だった。どうせ年末に6時間の枠を取るなら
誰かひとりの作品を全6話で見たかった。採点 7.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★☆
音楽 ★★★★★
新鮮さ ★★★★☆
話題性 ★★☆☆☆
『向田邦子の恋文』プロデュース:三浦寛二
演出:久世光彦
脚本:大石静
原作:向田和子「向田邦子の恋人」
音楽:小林亜星
主題歌:「夢なかば」一青窈
制作:KANOX、TBS
出演:山口智子、石田ゆり子、田畑智子、岸部一徳、藤村志保、大口広司、
樹木希林、岸本加世子、森繁久彌四谷シモン、田中隆三、他やっぱりフケたなあ、山口智子。
でも「ロンバケ」の頃にはなかった色っぽさも出た。
そういう意味では7年半ぶりの地上波ドラマに
向田邦子を演じることを選んだのは
正解だったかもしれない。もうちょっと頬がこけてたら
ホントに向田邦子だったもんな。
ひとりの女優の生き方としては
非常に興味ある作品だった。で、全体としてはストーリーがどうこういう話ではないので、
昭和30年代の家族、その表と裏、
そして向田邦子という人の一途な生き方そのものが見どころだった。個人的には邦子(山口智子)と母親(藤村志保)が
一緒にお蕎麦を食べる場面と
それに続く洗濯物を取り込むシーンが印象的。妻子ある男性の元へ通う邦子と
旦那(岸部一徳)が“よそ見”をしている母親の、
対照的な、それでいて似ている関係が
象徴的に描かれていて面白かった。山口智子に多少ブランクを感じたのは事実。
でもやっぱりまた見てみたい女優であることは間違いなかった。採点 7.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★★
主題歌 ★★☆☆☆
音楽 ★★★☆☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★★★☆
『古畑任三郎』 すべて閣下の仕業企画:石原隆
プロデューサー:関口静夫、矢吹東
演出:河野圭太
脚本:三谷幸喜
音楽:本間勇輔
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:田村正和、松本幸四郎、津川雅彦、八嶋智人、三田和代、木村多江、
及川光博、浅野和之、田中要次、奈良崎まどか、他古畑らしい出来だったと思う。
古畑(田村正和)の助手的な役割には
過去の作品に何度も登場した花田(八嶋智人)が
大使館の臨時派遣員の立場として活躍。“赤い洗面器”の話と共に
このシリーズをずっと見てきた視聴者にとっては
楽しめる仕掛けだった。内容的にはスペイン語が達者ではない、
という部分がうまく使われていて、
閣下(松本幸四郎)の脅迫状を写した事によるミス、
ガルベス(田中要次)の料理の注文ミスあたりが
かなり効いていたと思う。2人の夫人、三田和代と木村多江が
いいキャラを作っていたのも印象的。
だからこそ事件解決後に
もうワンシーンだけ2人を登場させて欲しかった気もする。あとはラストシーンかな。
あのまま閣下をひとりにすれば
自殺する可能性があることは古畑にも分かっていたはずで、
(銃声を聞いてもそれほど驚かなかった)
その選択肢も閣下に与えたらしい部分が興味深かった。これはかなりシリアスな内容なので
描くならもう少し丁寧にやった方がよかった気もするけど、
たぶん、目の前にいたのが津川雅彦だったから
ああいうラストにしたんだろうなあ。連ドラ版パート3の津川雅彦がゲストだった回を見た人は
その関連性について分かると思う。もっと田村正和と松本幸四郎の
ピリピリとしたせめぎ合いを想像していたので
そういう意味では多少もの足りない気もした。
でもこれが古畑なんだよな。ちなみに今泉(西村雅彦)と西園寺(石井正則)と向島巡査(小林隆)、
そして花田の双子の兄弟(パーサーとして働いている)は、
深夜の10分間番組『今泉慎太郎』で登場。古畑を置いて日本へ帰る飛行機内の話で
本編とは関係ない今泉のマヌケっぷりを描いた内容だった。
まあ、そのマヌケっぷりが今泉の愛すべきキャラなんだけど(笑)次があるとしたら、
やっぱり今泉とのコンビで見せて欲しい。採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★★
音楽 ★★★★★
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★★★☆
『ブラックジャックによろしく』 涙のがん病棟編チーフプロデュース:貴島誠一郎
プロデュース:伊與田英徳
演出:平野俊一
脚本:後藤法子
原作:佐藤秀峰「ブラックジャックによろしく」
音楽:長谷部徹
主題歌:「LIFE is...〜another story〜」平井堅
制作:TBS、TBSエンターテイメント
出演:妻夫木聡、加藤浩次、薬師丸ひろ子、阿部寛、石橋貴明、梨本謙次郎、
伊東美咲、古谷一行、藤谷美紀、鈴木京香、国仲涼子、笑福亭鶴瓶、
松尾政寿、山本圭壱、他まだ連ドラから1年経っていないこともあって
違和感のないスペシャルだった。大学病院の役割や終末医療の問題など、
内容的には今までいろんな作品で取り上げられてきたものだったけど、
悩み続ける研修医と同じ悩みを乗り越えてきた医師の対比を
分かりやすく描いていた点が良かった。ラストシーンの薬師丸ひろ子が異常に美しくて、
あのシーンがあったからこそ
正解が見つからない問いに対しても
スッキリとした視聴後感があった。わずかな出演時間だったけど
今回も国仲涼子はいいアクセントに。
完全に医療現場に特化したドラマだから
プライベートで英一郎(妻夫木聡)と会うシーンが
やたらリアルに感じられるんだよな。英一郎と皆川(国仲涼子)の関係も含め
今後もスペシャルで見てみたい。採点 8.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★★★
演出 ★★★★★
配役 ★★★★☆
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★★☆☆
『老いてこそなお』演出:西谷真一
作:西荻弓絵
音楽:渡辺俊幸
出演:三國連太郎、渡辺美佐子、田中碧海、田中好子、塩見三省、他
制作:NHK名古屋「古畑」「BJによろしく」、
そのさらに裏で放送されたドラマ。
(BSでは03年11月末に放送済み)NHKらしい高齢者の生き方と
家族の愛情を描いた秀作だった。おばあちゃんにしがみついて寝ている子供の姿は
それだけで泣けてしまうから不思議。
ストーリーとは関係なく、
子供には絶対にじじばばと一緒に過ごす時期が必要だなあ、
とか思ってしまった。三國連太郎の脳梗塞の後遺症が残る棟梁っぷり、
渡辺美佐子の初期アルツハイマーの演技、
どちらも見事だった。とにかくこういう作品は作り続けるべき。
採点 7.5(10点満点平均6)
脚本 ★★★★☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★★
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆
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