タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第28話「この世にただのホームレスなんていねえんだよ」

4月からのTBS系金曜10時枠、
岡田惠和脚本の「夢のカリフォルニア」に
宮藤官九郎の出演が決まった。
主演の堂本剛のお兄さん役らしい。

クドカンは劇団・大人計画の所属なので、今までも
「おいしい関係」
「踊る大捜査線・秋の犯罪撲滅スペシャル」
「二千年の恋」
「コウノトリなぜ紅い」
「世にも奇妙な物語・ママ新発売」
など、かなり多くのドラマに
役者として出演している。

脚本家としてのクドカンもいいけど
あのひょうひょうとした演技もなかなかいい。


『婚外恋愛』 #7

演出:常廣丈太
脚本:浅野妙子

同じ事の繰り返しになるという
この手のドラマの最悪のパターン。
最後は話が進んだけど、
そっちに進むのかよ、って感じだし。

なんで居間で志津香(釈由美子)を押し倒してるのに
台所のテーブルから
ミネラルウォーターが落ちるんだよ、とか
なんで拓也(堺雅人)はいつも部屋に
カギをかけないんだよ、とか
ツッコミどころは満載。

真一郎(根津甚八)の心情が
やや垣間見られたのが唯一の収穫かな。

…今から収穫しても
もう遅いって感じもするんだけれども。

             採点  5.0(10点満点平均6)


『3年B組金八先生』 第18回

演出:福澤克雄
原作・脚本:小山内美江子

もう「金八」の範囲を越えてる感じ。
パート5はまだイジメや不登校の問題を
家庭環境とからめていたけど、
今回の政則(東新良和)の問題は
集団レイプ、殺人、その興味本位なマスコミ報道など
教室を飛び出した内容が多いからね。

もちろん、そういうことも
中学生のうちから考えなくてはいけない時代に
なってしまったんだろうけど…。

ただ、実際、中学生がこれを見た場合、
どう考えるのかは非常に興味深い。

金八は政則に
“生きてあいつを許すな”と諭したけど、
姉は集団レイプされて死に、
教師である父親は事件に関わる教え子を刺し殺した。
それでもマスコミは姉を不純女子高生と報道し、
犯人は週刊誌に嘘を話してのうのうと暮らしている。
そんな中学生を見て、
復讐もひとつの手段、と考えてしまうのではないか。

そう思わないようなまとめ方をするんだろうね、やっぱり。
アメリカが国をあげて復讐をしている
ニュース映像を見たばかりの中学生に対して…。

直(上戸彩)の問題も一緒に描いていることが
その方法論のひとつなのか。

今回の金八シリーズ。
登り始めた山は想像以上に険しい。

             採点  8.0(10点満点平均6)


『恋ノチカラ』 第7話

演出:若松節朗
脚本:相沢友子

壮吾(坂口憲二)が想い出のデートについて
語るシーンはなぜか泣けたなあ。
坂口憲二は本当に成長してる。

その後、壮吾が籐子(深津絵里)を
犬と同じ扱いで抱きしめ、
(籐子にワンワンとまで言わす・笑)
きちんと笑いを取るあたりが
このドラマのバランスのいいところ。

このシーンも含め、
籐子の貫井企画における存在を
他の3人にそれぞれ印象づける構成も見事だった。

ただ、もっと深く話に食い込んでくると思われた
香里(久我陽子)の描き方が淡泊で、
壮吾が一途になって当然と思える展開に
ならなかった点が不満。

それとやっぱり見せるしかなかった
貫井が作ったリゾート会社の最初のポスター案。
あれはダメでしょ。
沖縄の海の写真の下に
緑のぶっといライン入れちゃあ。

もちろん、ストリーとしては
どのみち却下される流れなんだけど、
貫井がトップクリエーターに思えない描写は
見ていてマイナスイメージだな。

とは言っても
全体的にはかなり上質な作り。
だからこそ惜しい部分が目につくだけで…

真季(猫背椿)にイジメられる春菜(矢田亜希子)が
恒例になりつつあるところもいい。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『木更津キャッアイ』 第6回

演出:片山修
脚本:宮藤官九郎

前回、オジー(古田新太)が
やけにしっかりしゃべるな、と思っていたけど、
その理由が明かにされながら進んだ前半。
もう泣きっぱなしだった。

オジーの遺体発見現場で
“この世にただのホームレスなんていねえんだよ!”
と野次馬にキレるバンビ(桜井翔)。

葬式のあと、マスター(佐藤隆太)の店で、
オジーとぶっさん(岡田准一)のことを考えながら
取り乱すアニ(塚本高史)。

“ぶっさんさあ…、モー子さあ…、オジーってさあ…”
というバンビの言葉に
“誰の話するの? ”
と言いながらマジ泣きするモー子(酒井若菜)。

オジーという愛すべきキャラクターを失ったのは
このドラマにとって大きな損失だけど、
ぶっさんが死をリアルに感じるためには
どうしても必要なエピソードだった。

“…死ぬのって恐えなあ。
 普通に恐いって思うよ、…今。
 …やっべえなあ。
 いなくなっちゃうんだぜ、…どうする?”
“………うん”
この父子の会話はせつなかったな。

後半はオジーの弔い合戦だったけど、
そこはいつものキャッツに戻って
スパイ大作戦テイストの宝石強奪劇。

袋とじの「なっち誘惑の裸身」が
岡本夏生だったとか、
ど音痴の歌手が
歌田光子だったりとか、
小ネタも挟み込みながら笑わせてくれた。

うっちー(岡田義徳)の活躍は
ちょっとだけだったけどね。

オジーがらみの5・6話は、
保存版の名作かもしれない。

             採点  9.0(10点満点平均6)


『トリック2』 第7話(episode 3)

演出:木村ひさし
脚本:太田愛

トリック自体にやや強引さはあったけど
それはいつものことだから許そう。

それよりラストシーンの雰囲気が良かった。
こういう終わり方で鬼束ちひろが流れると
やたらかっこいい。

最初は「月光」じゃなくてちょっと残念だったけど
今はもう「流星群」がしっくりきてる。

ちなみに「流星群」も入っている
鬼束ちひろのセカンドアルバムは
3月6日発売。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ナースマン』 no.6

演出:佐久間紀佳
脚本:寺田敏雄

看護婦(士)と医師の連携、
研修医の自立という
これまたお約束のネタ。
でもまあ、うまくまとめた方かも。

それにしても、
なっちは毎週同じ事の繰り返しだな。
とりあえず顔見せしてる程度。
忙しいんだろうな、やっぱり。

あと、松岡昌宏は
シリアスな場面になっても
依然として演技がわざとらしいまま。
ツライなあ。この松岡は…。

             採点  6.0(10点満点平均6)






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