タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第36話「最終回ウィークを walk on」


今週の連ドラはほとんどが最終回。
最終回が終わると新番組の予告が入るものだけど、
キムタク、明石家さんまの新月9の予告には
深津絵里だけでなく、
森下愛子、柴咲コウ、井川遙の映像も…
何でもアリのドラマみたい。


『サラリーマン金太郎3』 Final Fight

演出:倉貫健二郎
脚本:中園健司

まあ、最後に金太郎(高橋克典)が
ヤマトではない会社に入って、
日本のサラリーマン全体を応援する、
みたいな内容にしたのは良しとしよう。

ただ、それ以外は何なの?って感じ。
あれだけ信念があると言ってた大須賀(長門博之)は
金太郎に怒られただけで自殺しちゃうし、
宿命の対決みたいに煽っていた金太郎の父親(松方弘樹)は
結局、いてもいなくてもいい存在だったし…。

やっぱり冬美(森口瑤子)がいなくなってからは
ドラマとしての面白さも半減したな。

最後に See You Again とか出たけど、
頼むからもうやめて欲しい。

             採点  4.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★☆☆☆☆
                  演出  ★☆☆☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★☆☆☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  5.91(10点満点平均6)


『人にやさしく』 第11話

演出:澤田鎌作
原案:鈴木おさむ
脚本:いずみ吉紘

分かり切ってたことだけど、
恐ろしくオーソドックスな締め方(笑)

みんな自分の夢に向かって歩き出しましたとさ。
というオチはまあいいとして、
花子(小西真奈美)が今になって
やっぱり太朗(松岡充)が好きでしたっていうのはどうよ。
最後に体裁を整えただけじゃん(笑)

あと、このドラマの決定的なミスは
日向(陣内孝則)の存在と、
それに絡めた明(須賀健太)の父親の問題。
これがもう少しまともな作りだったら
まだ何とかカタチになったのになあ。

大量のエキストラを使ったいくつかのシーンは
前(香取慎吾)の人間性と、
友達の大切さ、仲間のありがたさを表す
具体的な描写として認めてはいるんだけどね。

それにしても…

視聴率は高いのに(平均21.35%)、
作品のクオリティーは高くないという
典型的なドラマになってしまった。

たまーにドラマを見る人がこういう作品を見て
ドラマってやっぱりくだらねえじゃん
とか思うんだろうなあ。
…ちょっと悲しい。

             採点  5.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★★★☆

           平均採点  6.41(10点満点平均6)


『初体験』 walk on 11

演出:木下高男
脚本:神山由美子

フサちゃん(藤木直人)のペルー行きの話が出た時、
神山由美子はずいぶん難しい道を選んだと思った。

前回、真智(水野美紀)が決断したように
すべてを捨てて一緒に行くのは
普通に考えればムリがある。
これを納得させるような展開にするのは難しい。

やっぱり残ることにする、という方が自然だけど、
そうなると展開としてはありきたり過ぎるので
このドラマの締めとしては弱くなる。

だから、フサちゃんが仕事の都合で長期間海外へ行く
というエピソードを入れること自体、
避けた方がよかったのだ。

ところが神山由美子はそれをした。
そして当然の事ながら後者を選んだ。

そんな最終回。
…やっぱり神山由美子はたいしたもんだ。

真智、由加里(篠原涼子)、琴美(坂井真紀)の3人の関係と、
フサちゃんと真智との関係をリンクさせて、
真智が残るという展開に説得力を持たせた。

実は一番さびしがり屋だった由加里が自殺未遂をした時に
真智がベッドで眠る由加里に言い聞かせる言葉。
琴美が旅立つ時に言った、3人の理想的な関係。

真智がフサちゃんのことで決めかねている答えが、
そういう真智が素直に理解できる所にある。
これは最後に取ってつけたようにやろうとすると
絶対に安っぽくなる展開だけど、
この作品は最初から3人の関係を
丁寧に描いてきたからそうならなかった。

もちろん、全体的に非の打ち所がなかったわけじゃない。
やっぱり女性3人の描き方に対して
フサちゃんの描き方は浅かったと言わざるを得ない。

ただこれに関しては、
あくまでも女性の初体験をモチーフにしているということで
どうしても絵に描いたような
男性像になってしまったんだろうと納得している。
(すべての女性にとって藤木直人が理想だとは思わないけど。
 ていうか、思いたくないけど・笑)

あと、喫茶店のマスターが
それほど深く物語に入ってこなかったのも残念だった。
大きくカットされた部分があったのかもしれないけど。

いずれにしてもこの作品は、
ストーリーを中心に見る人には
もの足りないドラマだったかもしれない。

ただ、ディテールに気を配った構成、
そこに肉付けされた繊細なセリフ、
意味を持たせた美しい演出、
どれも間違いなく上質の出来だったと思う。

こういう作品が
再放送などで評価されることを願うばかりだ。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.32(10点満点平均6)



『恋するトップレディー』 11

演出:河野圭太
脚本:小椋久雄

最後ぐらいうまく締めるのかな、
と思ってたけど、やっぱりダメだった(笑)

ちはる(中谷美紀)の不信任案が回避されるあたりの
議会のやり取りなんかは何のひねりもない。
ていうか、議員はみんなバカばっかりの巻、みたいな(笑)

ただ、ちはるが取り乱して
ずっとそばにいてよ、と
八潮(柳葉敏郎)に抱きついたシーンは良かった。
ああなると中谷美紀はスゴイ。

結局、ちはると八潮の関係を
前半からもっとウエイトおいて描いていれば
きちんと「恋するトップレディー」に
なったと思うんだけどね。

うーん、何とも中途半端な作品でした。

             採点  5.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★☆☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.23(10点満点平均6)





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