タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第42話「火曜日は頭からっぽ」

サッカーのチャンピオンズリーグが佳境には入って
火曜、水曜は仕事にもドラマにも集中できない感じ。

でも、ドラマはビデオを回し始めると
一瞬にしてトリップしちゃうんだけどね。
そうやっていつも現実逃避してるんだよなあ、オレは。

まあ、いっか。建設的現実逃避だから。
…いくない!


『天国への階段』 第一話

企画:近藤晋
チーフプロデュース:今村紀彦
プロデュース:堀口良則、代情昭彦(東北新社クリエイツ)
原作:白川道「天国の階段」(幻冬舎刊)
演出:鶴橋康夫
脚本:池端俊策
音楽:丸谷晴彦
エンディングテーマ:「Eternal Place」hiro
制作:よみうりテレビ、東北新社クリエイツ
出演:佐藤浩市、古手川裕子、風間杜夫、本上まなみ、津川雅彦、
   中村俊介、大塚寧々、加藤雅也、森本レオ、古尾谷雅人、
   黒谷友香、橋龍吾、宮本真希、本宮泰風、益岡徹、六平直征、他

トレンド好きな若い世代を完全に置き去りにした
思いっきり暗くて重い話だけど、
原作がしっかりしてるのでかなり見応えがあった。
ただ、この初回の90分は長かったかも。
もっとスリムにできたな、たぶん。

そうは言っても鶴橋演出はさすがにエッジが効いていた。
冒頭の線路脇倉庫での殺人シーンや、
若き日の達也(本宮泰風)が亜木子(宮本真希)を
値踏みするシーンなどは見事だった。

中心人物の3人、圭一、亜木子、達也を演じる
佐藤浩市、古手川裕子、風間杜夫の若い頃の映像に
橋龍吾(橋幸夫の息子)、
宮本真希(元宝塚、「ラブ&ファイト」のヒロインだった人)、
本宮泰風(松本明子の旦那)という
顔が売れてる役者を使ったことに最初は違和感があったけど、
最後の方には慣れてきた。

まあ、この若い頃のエピソードは重要なので、
どうでもいい役者を使うわけにはいかないしね。
慣れたからにはこれからも登場して欲しい。

あと、やっぱりレッド・ツェッペリンの
「天国への階段」が2度BGMとして登場。
今聴いても奇跡の名曲だなあ。
これを主題歌にしてもよかったのに。

ドラマ的にはこの第一話を見逃した人が、
この後ついていけるのかどうかが心配だ。
それくらい重要、かつ、
導入として十分魅力的な初回だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『整形美人。』 第1回

プロデュース:小岩井宏悦、高橋萬彦(共同テレビ)
演出:藤田明二
脚本:吉田智子
音楽:加羽沢美濃
主題歌:「アシンメトリー」スガシカオ
挿入歌:「Arcadia」SILVA
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:米倉涼子、椎名桔平、加藤晴彦、小西真奈美、虻川美穂子、菊池麻衣子、
   谷原章介、青田典子、柴田理恵、小倉久寛、市毛良枝、他

人工的に作られた整形美人と
自然を象徴する華道の家元を対比させながら
本当の美しさとは何か、
美しくなるというのはどういうことか、
を描いていく物語。

ほとんど期待はしていなかったけど、
思ったよりは良かった。
米倉涼子が演じる保奈美のキャラクターも
それなりに面白かったし。

やっぱり米倉涼子は
普通の役よりも特異なキャラの方がいい。
どこにでもいるような役をやると、
どこにもいねえよって反感買うしな、
なぜか米倉涼子は(笑)

ただ、連ドラの第一話として
これがいい滑り出しだったのかどうかは疑問。

保奈美の性格が
整形前と整形後でどれくらい変わったのか、
あるいは変わってないのか、
それが分かりにくかったからだ。

確かにこの回で描かれている保奈美は
本当の意味での美しさを手に入れてはいない。
でも、元々意外といいヤツなのではないか、
という印象があった。
整形をしなくても愛されるキャラクターだったのではないか、と。

もちろん、たとえそうでも
人は美しくなりたいと願う。
だから整形をした。
これは感情としては理解できる。

でもこの初回では
そこをきちんと描いていなかったので
保奈美への感情移入がしにくくなってしまったのだ。

せっかく双子という設定で
元の顔が分かる虻川美穂子を用意したんだから
もう少し整形前の菜穂子を描いてもよかったのにね。

まあ、次回以降、
昔を振り返る形で入れていくのかもしれないけど
連ドラは初回が重要だから
もっと保奈美を応援できる構成にするべきだったな。

全体としては小西真奈美が久々に重要な役っぽいので期待。
加藤晴彦はいつものポジションだけど、
むしろその方が安心する(笑)

“人は美人に生まれてくるんじゃないの。
 美人になるの。
 必至に頑張って努力して、
 自分の力で美人になるの”

という、かなりストレートなメッセージが
違和感なく伝わってくるか、
もう少し様子を見てみよう。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『春ランマン』 sharing 1

プロデュース:安藤和久、松井洋子(AVEC)
演出:中島悟(AVEC)
脚本:樫田正剛
主題歌:「アカシア」revenus
オープニングテーマ:「Try」LIV(押尾学)
制作:関西テレビ、AVEC
出演:押尾学、ともさかりえ、辺見えみり、北村一輝、宮迫博之、池田真紀、
   佐戸井けん太、西尾まり、山咲トオル、山崎銀之丞、山口あゆみ、春花、
   澄原佑佳、志村和香、小林且弥、他

ともさかりえのコメディー感覚は嫌いじゃないので
彼女がひとりで騒いでる部分はまあ面白かった。
でもそれ以外がなあ。

他のキャラクターに魅力を感じないので
個人的にはツライ1時間だった。

山咲トオルが予想外に良かったことと、
やっぱり西尾まりは見ていて安心するということを再確認。

主要6人のキャラにこちらが慣れて
話が転がっていくことを次回以降に期待しよう。

             採点  4.5(10点満点平均6)


『愛の手前 恋のとなり』 前編・後編

プロデュース:梅澤道彦、高城剛、和田倉和利
監督・脚本:辻仁成
原作:「目下の恋人」辻仁成(光文社刊)
制作:テレビ朝日、フューチャー・パイレーツ
出演:井川遥、萩原聖人、坂井真紀、杉本哲太、
   オダギリジョー、川島なお美、松尾怜央、他

辻仁成の原作・脚本・監督作品ということで
まったく期待しないで見たんだけど(笑)、
意外にいい出来だった。

簡単に言ってしまうと、
2人の男性の間で迷いながら
本当の愛を探していく女性の物語。

前編・後編というのは続きではなくて、
「木更津キャッアイ」の表・裏のように、
別の場所で起きていることを
同じ時間軸で描いたものだった。

つまり、前編が恋人(萩原聖人)との関係。
後編が不倫相手(杉本哲太)との関係。
この中心となるアカリという女性を、
女優本格デビューとなる井川遥が魅力的に演じていた。

新クールでは月9の「空から降る一億の星」にも出る井川遥が
どれほどのものかチェックしたいという気持ちが一番だったんだけど、
彼女は女優としてやっていけると思う。
もちろん、まだ動きがぎこちないところもあるんだけど、
センスは十分に感じられた。

物語全体としてはやっぱり辻仁成の作品なので
魂の入ってない、
デコレーションされた愛を提示されてるみたいで
さほど心に浸みるものではなかった。
でも、演出が予想以上に良かったこともあって
全体的にはかなり質の高いものになったという感じだ。

ただ、もしかしたら
前編と後編を逆にした方が
もっと良くなったのかもしれない。
もちろん、順番を逆に放送するだけでなく、
それなりの再構築は必要だろうけど。

井川遥のテレビ初主演作品としては
上出来だったと思う。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★☆☆☆☆
                  音楽  ★☆☆☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★☆☆☆





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