タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第46話「野島ドラマ、殿(しんがり)で登場」


20日の土曜日で
今期すべての連ドラが出揃った。

まあ、好みは人それぞれだろうけど、今のところ
シリアス派には
「天国への階段」「First Love」「夢のカリフォルニア」
お楽しみ派には
「ウエディングプランナー」「ごくせん」「ゴールデンボウル」
あたりがオススメ、って感じかな。

最初はちょっと心配したけど、
意外にバランスが取れたクールかも。

どれかしらお気に入りの作品が見つかりそうだぞ。


『眠れぬ夜を抱いて』 第2回:また家族が消えた。

演出:西谷弘
脚本:野沢尚

今回、消えたのは、筧利夫と秋本奈緒美。
これで予告通り、2話までに4人が消えた。

萌(渡辺由紀)が気にしていた
要士(田辺誠一)の元恋人のことを、
康平(筧利夫)も知っていたのでは…、
という君枝(秋本奈緒美)の言葉が
今回の大きな情報。

まあ、要士と康平が顔見知りだということは
前回の放送でも描かれていたけど、
12年前にオーストラリアで殺された女性は
本当に要士の元恋人なのか?
悠子(財前直見)が
夫にも警察にも隠していること、とは何なのか?
このあたりが当面の謎かな。

それにしてもテレ朝の番宣を見てると、
面白いでしょ?
ワクワクするでしょ?
という煽り方がしつこくて鼻につく。

野沢尚のミステリーが
最初は面白いことはみんな知ってるって。
そんで最後に何度も裏切られてるから心配なんだって!
これ以上煽ると、コケた時にまた非難ゴウゴウだぞ。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『しあわせのシッポ』 第2話

演出:佐々木章光
脚本:水橋文美江

雰囲気のあるドラマなんだけど
今ひとつスムーズに転がってない感じ。

20年間、離れていた父親。
本当は想いを寄せている幼なじみ。
家族のようで家族ではない、
微妙な人間関係を描いているので
スパッとした切り口を見つけにくいのが
原因なのかもしれない。

よそよそしい父娘の会話や、
ちぐはぐな美桜(水野美紀)と
西寺(小泉孝太郎)の会話などは楽しめる。

ただ、作品としての大きな流れが
この2話までに明確になってないところが
かなりのネックだろうな。

あと、原沙知絵ね。
普段から手話を使っているようには見えない。
妹の新山千春との会話をもっと増やして
姉妹ではスムーズな手話をしないと
画面をぎこちなくするだけだ。
これは早急に何とかして欲しい。

父親の八朗(長塚京三)は
おそらく病気か何かで
最後の数ヶ月を娘と過ごしたいと
思ったんだろうな。

この父娘関係をもっと太く描いて
早く作品としての芯を構築して欲しい。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『ビッグマネー!
 〜浮き世の沙汰は株しだい〜』 STOCK2

演出:西浦正記
脚本:林宏司

岡本綾、今回は意外と可愛かった。
もっと可愛かったのは松重豊。
(いつもナイフもってる辰美興業の幹部)
充ちる(岡本綾)にホレたな(笑)

で、ストーリーの方なんだけど、
株が上がった、下がった、
勝った、負けた、は単純な見せ方で
とにかく分かりやすさを重視してる。

ただ、それだけでは内容が浅すぎるので
今回の親子関係のような
人情話を絡めていく、という構成のようだ。
まあ、無難なところかな。

ちなみに医大を目指している息子を演じていたのは
『ロングラブレター』でも医者になると言っていた
鳥居紀彦(柳瀬俊介の役)だった。
よかったね、戻って来られて(笑)

それにしても今回、最後に白戸(長瀬智也)が
山崎(原田泰造)に仕返しのように言った
“聞かない方がいいんじゃないかなあ、素人は”
というセリフは的ハズレだなあ。
説得力なさすぎ。

植木等はいいとして、
長瀬智也、原田泰造をもっと魅力的に描いて欲しい。
脇の小日向文世や松重豊の方が
よっぽど魅力的に見えてしまうのは問題だ。

来週のゲストは京野ことみと木村多江か。
豪華だな、おい。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『夢のカリフォルニア』 2

演出:土井裕泰
脚本:岡田惠和

今回は国仲涼子が良かったなあ。
目標としていた大学の食堂で
涙を流しながらうどんをすすっていた姿は
終(堂本剛)でなくても
抱きしめたくなるシーンだった。

かといって、ただ可愛いだけでなく、
気の強いところや、
他の2人と同じように
現在の自分の生き方に悩んでる様子を
うまく演じていた。

重たい雰囲気の中で
終の家族のシーンはホッとできるポイント。
今回も落ち込んでいる終を慰めにいく
家族3人の姿は微笑ましかった。

脇役では野村宏伸の存在が
今後どう絡んでくるのか気になるところだ。
いいヤツなのか、悪いヤツなのか。

まあ、3人の近くにいる存在は、
中林(田辺誠一)にしても
春樹(海東健)にしても
みんな屈折してるから、
きっと宗石(野村宏伸)もそうなんだろうな。

前回もラストが衝撃的だったけど、
今回も3人がそれぞれの現実で
自殺した孝平(安居剣一郎)の
“この先、本当にいいことがあるのか”という問いに
心から答えられない姿を描いたシーンが印象的だった。

劇的なストーリーや
わくわくするような展開はないけど
なかなか精度の高いドラマだ。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『九龍で会いましょう』 second love

演出:六車俊治
脚本:野依美幸

工藤静香、そんだけかよ!

             採点  4.5(10点満点平均6)


『ゴールデンボウル』 1frame

チーフプロデューサー:増田一穂
統括:井上健
プロデューサー:伊藤響、北島和久
演出:猪股隆一
脚本:野島伸司
音楽:大坪直樹
テーマ曲:「YOU ARE MY DESTINY」ポール・アンカ
制作:日本テレビ、アァベエベエ
出演:金城武、黒木瞳、松本莉緒、大滝秀治、竹脇無我、瀬川瑛子、
   榎本加奈子、小川直也、出川哲朗、笑福亭鶴光、小木茂光、
   藤沢大悟、岩崎杏里、関口翔太、西川義郎、三波伸一、他

基本的に野島伸司の才能は認めているので
この新作を楽しみにしていた反面、
日テレ土曜9時という枠に
正直言って過剰な期待はしていなかった。
ところが、予想以上に面白いじゃん。

TBSで伊藤一尋プロデューサーと一緒に作った
「高校教師」や「未成年」のようなタイプの作品ではない。
かといって、同じ日テレ系で作った
「世紀末の詩」とも違う。

野島伸司が本当は「フードファイト」で
どういうものをイメージしていたかが分かる、
そんな作品に仕上がっているのだ。
(「フードファイト」は企画だけで、
 脚本は別の人が書いていた)

大きなストーリーとしては
つぶれかけたボーリング場を買い上げるために
地上げ屋が次々と送り込んでくる挑戦者を
毎回、芥川(金城武)と瞳(黒木瞳)がうち負かしていく、
というだけだと思う。

ただ、そこに関わる人たちの人生や恋愛を
コミカルに、メルヘンチックに描いていく感じ。
その方法が野島伸司らしくロジカルで
バランスがいいのだ。

音楽はテーマ曲でポール・アンカを使っているように
50'sの曲が頻繁に流れる。
これも画面の雰囲気と合っていて
なかなかよろしい。

キャストでは瀬川瑛子がかなり心配だったけど
意外に上出来だった。
まあ、普段もコミカルだしな、あの人は。

黒木瞳の旦那さん役は電話だけの出演だったけど、
声は篠田三郎だったような…。
出てくるのかな。

肝心のボーリングのシーンは
実際に役者が投げたものと、
プロが投げたボールをCGでつないだもの、
2種類が使われていた。
でもこれは金城武も黒木瞳もフォームがきれいなので
ほとんど違和感がなかったな。

唯一、気になったのは、
金城武がセリフの中で“汚名挽回”と言ったこと。
これはもちろん“汚名返上”か“名誉挽回”のはず。
脚本が間違っていたのか、あるいは
セリフを言い間違えたのに誰も気がつかなかったのか。
笑いを取るシーンではなかったので
やたら気になってしまった。

野球をモチーフにした「木更津〜」のように、
このドラマも1フレーム、2フレームと回が進んでいくようだけど、
全11話って発表されてるんだよなあ。
ボーリングは野球みたいに延長がないから、
最後はどうするつもりなんだろう。

いずれにしても、これが“当たり”なら
今期はかなり楽しめるな。

             採点  7.0(10点満点平均6)





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