タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第51話「連ドラにGWはなかった! その2」
ボーッとして、ドラマ見て
仕事して、ドラマ見て
仕事して、ドラマ見て
ゲームして、ドラマ見て…そんなGWの後半。
『眠れぬ夜を抱いて』 第4回:ぬくもりに潜むもの
演出:西谷弘
脚本:野沢尚うん、ここまでは初回で抱いた展開通り。
問題はここからだよな、野沢尚の場合。
納得できるどんでん返しならいいけど、
そんなのアリ?って展開だと困る。依然として謎なのは、
最近、影を潜めている葛井(古田新太)の存在と、
悠子(財前直見)が言っていた
夫にも警察にも隠している秘密が何なのか。結婚前のケバい映像が出てきた時は
てっきり悠子の秘密って
六本木のクラブ・パラダイスで働いてたこと?
と思ってしまったけど、
どうやらそうではないらしい(当たり前!)いずれにしても、
事件を解明しようとしている悠子に
秘密があるところがミソだよな。ところで今回、「天国への階段」とかいうセリフが
ほとんど不必要に出てきた。
意識してるのか?>野沢尚採点 7.5(10点満点平均6)
『しあわせのシッポ』 第4話
演出:藤尾隆
脚本:水橋文美江今回はバランスが良かった。
これくらい美桜(水野美紀)と八朗(長塚京三)の
関係にウエイトをおけば、
美桜と陸(坂口憲二)、笙子(原沙知絵)のシーンも
かえって活きてくる。ただ、こうなると宮崎あおいを
ムリに絡ませる必要もないんじゃないか、
という気もしてくるけど…。まあ、まだ序盤だしな。
それにこのドラマは、今期の他の作品とは
まったく違う大きなうねりで攻めてくる。長期戦の覚悟で見た方がいい。
採点 7.0(10点満点平均6)
『ビッグマネー!
〜浮き世の沙汰は株しだい〜』 STOCK4演出:木村達昭
脚本:林宏司このドラマの視聴率も
アクア製薬の株価並みに急降下をして
ひと桁台を抜け出せないでいるんだけど、
今回はこれまでの中では一番いい内容だった。リアリティは抜きにして
株価の上下をこれくらいスリリングに描けば面白いし、
人間を描く部分も、
デイトレードにハマっていた子供とその親との関係、
小塚(植木等)とテルコ(八千草薫)の関係をだぶらせながら、
最後になぜ小塚がアクア製薬の倒産を防いだかが
分かる展開も見事だった。まつば銀行側、今回はとくに香港勤務の
金子さやかの素人っぷりが相変わらず痛いけど、
敵役を無視してストーリーを進めるわけにはいかないので
ここはもう諦めるしかない。せめて全体の内容を今回ぐらい詰めていけば
ドラマの株価も上向きになるはずだ。採点 7.5(10点満点平均6)
『夢のカリフォルニア』 4
演出:平野俊一
脚本:岡田惠和前回がほんの少しだけ“世界は捨てたもんじゃない”と
思えるような内容だったので、
今回は終(堂本剛)にとってかなりキツイ展開になった。この手のドラマは
主人公よりも先に社会へ出た大人たちの中に
主人公が素直に憧れるようなタイプを出さないことが多い。挫折をしたり、歪んでしまったり、
古い考えに固執してしまったりしている大人たちを見て
主人公が自分で答えを見つけていくような構成にしていく。そういう過程を見せることによって
視聴者にも同じ苦悩、不満、怒り、喜びを
感じてもらうように作ってあるのだ。だからどこかのシーンのどこかのセリフに疑問を感じても
それでこのドラマ全体をつまらないと判断しない方がいい。かなり深く練られてるよ、この作品は。
ところで、始(宮藤官九郎)が思い出そうとしていた
時任三郎が出ていたドラマは、
もちろん「ふぞろいの林檎たち」ね。「ふぞろい〜」のオープニングシーンと同じ、
リンゴを投げ上げながら
何だったっけかなあ、と考えているあたり、
確信犯だったね。この手のドラマが何度も作られていることぐらい
岡田惠和だって分かってるんだから(笑)採点 7.5(10点満点平均6)
『九龍で会いましょう』 fourth love
演出:徳市敏之
脚本:野依美幸上三條の方が先輩社員だったのかよ!
(実年齢では石田ゆり子の方が河村隆一よりひとつ上)採点 4.5(10点満点平均6)
『ゴールデンボウル』 3frame
演出:猪股隆一
脚本:野島伸司やっぱり篠田三郎が登場。
ただ、とりあえず今回は
ホテルから出てくる映像もぼかして、
瞳(黒木瞳)の夫であることは伏せたままだった。…で、全体の内容なんだけど、
前回が「世紀末の詩」第7話でも扱った
愛する人が死んだ時、後を追うのが愛か、
心に留めて生きるのが愛か、
というテーマをさりげなく入れていたのに対して、
今回は感情的な部分が多く、
今ひとつパッとしない感じだった。今日だけは負けたくない、いう瞳の決意も
相手が若い女性ペアだったということはあるにしても
説得力に欠けるものだったしね。とはいえ、瞳が芥川(金城武)とみどり(榎本加奈子)に
夫が浮気をしていることを告白したのは、
作品全体の流れを考えればトピックだった。とくにトイレでみどりに言った
“(浮気している夫を)愛してるって言い続ける私は
頭がおかしくなる一歩手前なのよ”
というセリフはかなり訴えるものがあったし。全体的には軽いラブ・コメディーの体裁は保っているので
中身の恋愛論に関してはもう少しディープに描いて欲しい。採点 6.5(10点満点平均6)
『ヨイショの男』 第4話 社内恋愛禁止令
演出:福澤克雄
脚本:両沢和幸最後に孝太郎(稲垣吾郎)と
真紀子(浅野ゆう子)の関係を
ヨイショでまとめたのは良かったけど、
真紀子と津村(長谷川初範)の関係を
きちんと説明していなかったから
真紀子のキャラクターに関する描写が
すべて説得力に欠けた。細かい人物設定、
作品全体のプロットがしっかりしていないと
こういうことになる。孝太郎と尚美(矢田亜希子)、
白石(市川染五郎)に憧れる由紀江(畑野浩子)の
描き方なんかは微笑ましいんだけどね。それだけじゃ、しょうがないんだよなあ。
採点 5.0(10点満点平均6)
『空から降る一億の星』 4
脚本:北川悦吏子
演出:平野眞やっぱり25年前の事件で
完三(明石家さんま)は優子(深津絵里)を
引き取って育てていた。
ただ、幼かった優子はそのことを覚えていなくて
今でも本当の兄だと思っているらしい。そして25年前の事件の関係者の中に
小さな男の子もいたことが
琴子(森下愛子)のセリフで明らかになった。
その男の子は火傷も負っている。まあ、そうだろうね。
初回の女子大生殺人事件が
このドラマのすべてであるワケがないし…。ちなみに女子大生殺人事件では
“つけ爪の破片”という
取って付けたような証拠があることが
今になって明かされた(笑)この表面的な事件の捜査に関する描写は
やっぱりサスペンスが本職ではない北川悦吏子が書くと
かなり穴が多いね。あくまでも「サスペンス仕立て」であって
本格的な推理ドラマを書いているわけじゃないから
いいんだけど(笑)そしてラストシーンで
ついに由紀(柴咲コウ)が動いた。由紀は涼(木村拓哉)が
お金持ちのお嬢様とつき合っているのは知っている。
自分は何番目でもいいと思っている。
ただしそれは、
“涼は誰にも心を開かない
誰も彼には近づけない”
と思っているから。なのに、優子と一緒にいる涼を見かけてしまった。
他の女とは明らかに違う涼の心を感じてしまった。
だから優子が許せなくなって刺そうとした。
…というのが由紀の心理だろうな、たぶん。今後はもしかしたら、
この由紀の嫉妬心(?)が
涼と優子の関係を明らかにしていくのかもしれない。あと、サイドストーリーっぽいけど、
今回は優子と日下(八嶋智人)のデートシーンが良かった。
日下のキャラクターはやたらいい。
このドラマはクセあるの登場人物が多いので
大きなストーリーには関わってこなくても
わざとこういうキャラクターの役を作ったのかもしれない。
このへんはうまいね、北川悦吏子。話はだいぶ進んできて
それなりに面白くなってはきたんだけど、
エンディングのスタッフロールが流れる途中で
曲を代える格好悪さは何とかして欲しい。採点 7.0(10点満点平均6)
『天国への階段』 第五話
演出:岡本浩一
脚本:加藤正人ここまで怒濤の展開だっただけに、
ちょっとひと休みという感じ。
メイン演出の鶴橋康夫と
脚本の池端俊策もひと休み。演出家が代わったせいかどうか分からないけど
今回は大塚寧々がエロかったな(笑)
あと、津川雅彦が恐かった。まあ、主役クラスは問題ないんだけど、
やっぱり本上まなみかなあ。圭一(佐藤浩市)が、
亜木子(古手川祐子)の娘であり
絵笛の写真を撮った未央(本上まなみ)に
ひかれていくのは分かるけど、
未央が圭一にひかれていく描写が少し弱い感じ。だから本上まなみだけの責任とも言えないけど
ここが弱いと今後は少し心配な気がする採点 7.0(10点満点平均6)
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