タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第53話「終のすみか、じゃなくって、終の家族」

水曜日と木曜日の3本立てもキツイけどさあ、
金曜日に「夢カリ」見たあと
「九龍」見るのもツラくない?

国仲涼子と柴咲コウ!
石田ゆり子のとこ行って、
あんたの行動はヘン!と言ってやれ!


『眠れぬ夜を抱いて』 第5回:夫の身上調査

演出:村上正典
脚本:野沢尚

面白くなってきた!
新藤一家(田辺誠一・渡辺由紀)と
山路一家(筧利夫・秋本奈緒美)は
山中に隠れていた。

それを手引きしたのは
葛井(古田新太)のようだ。

葛井のセリフの中に
“警察も中河欧太(仲村トオル)も
 まだ気づいていない”
という言葉もあったので、
それが本当だとすれば
中河の指示ではないことになる。

少なくとも新藤と山路は、
自分たちの居所が
警察や中河に知られたくない様子だった。

もうこうなると、
12年間にオーストラリアで起きた事件に
新藤と山路が関係していることは明らか。

むしろ、この元澄リゾートの事件は、
誰が犯人か、というよりも、
まだ事件が起きていない、ということなのか…。

いや、それともやっぱり、
葛井は中河の指示の元に動いているのか?
うーん、いい感じ。

でも、田辺誠一の元に水や食料を運んで来るのは、
やっぱりラビット運輸でバイトする
堂本剛であって欲しかったね(笑)

             採点  7.5(10点満点平均6)


『しあわせのシッポ』 第5話

演出:佐々木章光
脚本:水橋文美江

萌(宮崎あおい)に関しては
どう絡めていくのがまだ分からないけど、
それ以外の部分はやっとまとまってきた感じ。

八朗(長塚京三)の、
自分が生きているうちに早く美桜(水野美紀)に
結婚して欲しいという気持ちと、
美桜が本当に好きな陸(坂口憲二)との関係を
応援する気持ちが入り乱れているところが微笑ましい。

こうなってくると、
美桜と八朗との関係、
美桜と陸との関係がリンクしてくるので
見ている方も分かりやすい。

終わってみると
結構、心に残るドラマになりそうな気がする。

あ、でも原沙知絵と新山千春の手話は依然としてダメ。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ビッグマネー!
 〜浮き世の沙汰は株しだい〜』 STOCK5

演出:西浦正記
脚本:林宏司

「金八」の本田先生(高畑淳子)が
たとえ動物病院でも医者に質問してる絵はヘンだな。
もう養護の先生というイメージが完全についてる。

ま、そんなことより今回はインサイダー取引の話。
裏ではインサイダーで儲けている山崎(原田泰造)と、
結局はそれをしない白戸(長瀬智也)の関係は、
ありきたりだけど、まあ許そう。

ただ、白戸が情報を持っていることを
まつば銀行側が知るエピソードがくだらなかった。
コーヒーこぼしてライターを落とすって…。
このあたりをもう少し丁寧に作ってくれないと。

我が道を行く充ちる(岡本綾)、
小塚(植木等)とテルコ(八千草薫)の関係、
辰美興業の辰美(小日向文世)と蒔田(松重豊)、
このあたりの描き方は安定していい。

とくに今回は充ちるの“50年は長かった?”という問いに、
小塚が“楽しかった”と答えるところなんか良かったな。

いい部分はいろいろあるから
そこを活かすような作りに徹して欲しい。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『夢のカリフォルニア』 5

演出:土井裕泰
脚本:岡田惠和

序盤の病院シーンで、始(宮藤官九郎)が
終(堂本剛)、恵子(国仲涼子)、琴美(柴咲コウ)の
3人で話をさせてあげる場面は良かった。

ただ、その後のシーンでも
終の家族が、ある意味、
いい人過ぎる集まりに感じられてしまったのは
ちょっとマイナスの印象だった。

終の家族は好きなんだけどね。
この家族のシーンがないと
ドラマ全体として救われない気がするのも分かる。

ただ、そういえば「ふぞろいの林檎たち」の
仲手川(中井貴一)の実家にはおばあちゃんもいて、
嫁姑問題も起きてたなあ、なんて思ったら
感慨深い気持ちになった。

幸せじゃん、最近の子供は。
ああ、そういう最も小さな単位の社会、
家族の問題にも慣れてないから
外の社会へ出た時に打たれ弱いのか。
…なんてね。

いや、ドラマとして考えるなら
あの終の家族は、
あくまでも雰囲気を和らげるアクセントという
意味だけで使った方がいいのでは、
と思ったわけ。

外でヘコまされて
あの家族に癒されてたんじゃ、
終、お前が甘っちょろいんだよ!
という印象になってしまう。

少なくとも終は
恵子や琴美との関係、
中林(田辺誠一)との関係、
そして家族とは
リストラされてしまった父(岸部一徳)の姿、
フリーターを続ける始の姿を見ることにおいて
答えを見つけていって欲しい。

で、この5話全体の感想としては
恵子と琴美の寝顔が本当に可愛かった。
(そんな感想かよ!)

ていうか、
3人の日常に嫌気が差すエピソードが
少しありきたり過ぎたんだよね。

ハードな回のあとに
微笑ましい回、というパターンも
すでに2度目だし。

もう少し全体のうねりを
大きくしてもいいのかもしれない。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『九龍で会いましょう』 fifth love

演出:六車俊治
脚本:野依美幸

…言葉も出ないくらい
バカバカしいラストシーンだな(笑)

そんなことはもうどうでもいいけど、
温泉に来て2人で青竹を踏む
薫(石田ゆり子)と上三条(河村隆一)。
バランスをくずして布団に倒れ込み、見つめ合う2人。

なんちゅー演出やねん!

             採点  4.0(10点満点平均6)



『ゴールデンボウル』 4frame

演出:吉野洋
脚本:野島伸司

今回は、芥川(金城武)が、
瞳(黒木瞳)の夫(篠田三郎)の愛人(梅宮万紗子)に
会って話を聞いてくる、
というエピソードに絡めながら、
芥川と瞳の距離がぐっと縮まった
かなりロマンチックな回だった。

篠田三郎を徐々に出していたところや
愛人のキャラクターをあんな風にしたところが
全体の構成としては効果を発揮している。

愛人のキャラクターに関しては
これから変わる可能性もあるけど、
とりあえず今回は瞳の感情が愛人に向かわず、
自分自身の葛藤と
キスによって生じた芥川への揺れに
的を絞れたところに作品としての精度の高さがある。

あと、瞳と芥川が2人して同じような曲線で
盛り上がっていかないところもいい。

ラストで描写されていたように
キスのことはもちろん芥川も覚えている。
でも芥川はそれをことさら意識しないようにしている。
そのあたりのバランスもいい感じだ。

たぶん、最終回までには
芥川の死んだ恋人に似た女も出てくるだろうな。
対戦相手として。

偽ウルトラマンとか、偽仮面ライダーみたいに
対決モノの常套手段でもあるし、
そこを乗り切らないと
芥川に未来もないし…。

今回はディープな恋愛論ではなかったけど、
すべてにバランスがいい回だった。

             採点  7.5(10点満点平均6)






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