タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第55話「意外と凝っていたサッカードラマ」

W杯メンバー発表直前に放送された
「青に恋して!」というサッカーを題材にしたドラマ。
途中で入るCMは、
当然のようにW杯の公式スポンサーが中心で
内容もサッカーを扱ったものが多かった。

その中で何度も流れた
中村俊輔が登場するアディダスのCMは、
今思うと、もの悲しい。

ドラマを作ってる側も
スポンサー側も
きっと俊輔は入ると思ってたんだろうなあ。



『ウエディングプランナー』 6

演出:羽住英一郎
脚本:福田靖
脚本協力:高橋美幸、川嶋澄乃

今回は、結婚を扱うドラマならあって然るべき
母と娘の関係を描いた内容。
ゲストもいしだあゆみと大路恵美をキャスティングして
かなり力を入れていた。

もうストーリーは思いっきり普通。
でも最後にいしだあゆみが泣き崩れるところ見て
一緒に泣いちゃったりして(笑)
いいの、いいの、これはこれで。

美咲(木村佳乃)の結婚話は
すでにつとむ(温水洋一)の離婚は成立していて
普通に結婚式の段取りも進んでいた。
ところがラストでやっぱり
前妻とやり直すかも…、という展開に。

これならいっか。
美咲のカップルが何事もなく結婚するんじゃ
まったく意味がなかったしね。

そして、ついにきた!
年上の女の子から手を握られてしまうという
神木隆之介のラブシーン(笑)
取り乱す加奈子(飯島直子)は面白かった。

この神木隆之介の恋物語は
来週も引っ張るらしい。
かなり楽しみだ。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『First Love』  第5話

演出:松原浩
脚本:大石静

直(渡部篤郎)と夏澄(深田恭子)の関係に
だいぶウエイトをかけてきた感じ。
これが本来の姿とも言えるわけだけど。

そして今回のトピックは
やっぱり直が朋子(和久井映見)に
婚約破棄を申し出たことだ。
ただ、そこまで至る経過に
さほど新しいニュースはなかった。

教師時代、直は夏澄のことが好きだった。
ただ、17歳の少女の将来を
自分のために束縛してはならないと思った。
それが愛だと思おうとした。
でも、本当は自分が傷つきたくないだけだった。
それで逃げた。

この内容は予想された通りで、
しかも誰かに対するセリフではなく、
直自身のナレーションで語られたので
もうここに裏はないと思う。

出生に絡んだ家族の中での自分の立場、
あるいは自分に注がれている愛情に対して、
屈折してしまっている朋子の感情の描き方も
先週と変わらない。

これでカードが全部開いている、
ってことはないよなあ。
やっぱり朋子がここまでの行動を起こした
直接的な動機、もしくはキッカケが語られないと…。

ちなみに、
個人的に今回一番印象に残ったのは、
朋子が前回、出版社の担当に話した小説のネタを、
“つまんないハッピーエンドになっちゃいそうなのよ”
という理由で出版しないようにしていたこと。

朋子の小説のネタは
まさしくこのドラマの設定と同じだったわけだけど、
この話は無難にまとめたら
絶対につまらないハッピーエンドになる。
そんなことは大石静が一番よく分かってる。
だから朋子にこのセリフを言わせたところが面白かった。

別の言い方をすれば
これでこのドラマのラストが興味深くなった。
大石静自身が、このドラマを無難に終わらせ、
つまらないハッピーエンドにしたくないと思っているから
この段階でエクスキューズを入れておいた、
とも考えられるからだ。

仮に衝撃的なラストになったとして、
「え〜っ、やっぱりドラマはハッピーエンドがいいのに〜」
とか視聴者に言われたとしても、
そんなことは十分に吟味した、
その上でこのラストを選択した、
という証明にもなるわけだしね。

もちろん、朋子はその後、
「初戀物語」というタイトルで
小説を書き始めている。

まあ、ドラマのラストがどうなるかは別にしても、
この小説ネタに絡めた一連のエピソードは
かなりテクニカルなものだった。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ごくせん』 第五話

演出:佐藤東弥
脚本:横田理恵

脚本が3話と同じ横田理恵だったけど、
今回は良かった。

ストーリーとしては準主役の沢田(松本潤)が
久美子(仲間由紀恵)の秘密を知ってしまう展開。
ただ、ここまでの久美子の行動を
じっくり観察していた沢田なので、
当然、誰にも言わない。
そこは自然だった。

久美子の祖父(宇津井健)が
沢田をひとりの男として認めた上で、
黙ってくれるようにお願いしたシーンも良かったしね。

あと、今回はクマ(脇知弘)が大活躍。
最後に土手を歩きながら、みんなで
“クマさんが、言うことにゃ、お嬢さん、お逃げなさい”
と歌ったのには笑った。

篠原(沢村一樹)にモジモジする久美子。
髪留めとメガネを取って変身する久美子。
ケンカのやり方も分かってない生徒たちの前で
啖呵を切る久美子。
そして、暴力とケンカの違いを
身を持って教える久美子。

このドラマであって欲しい要素がすべて詰まった
かなり上質の回だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『眠れぬ夜を抱いて』 第6回:真相

演出:西谷弘
脚本:野沢尚

タイトルに“真相”とつけたからには
おそらく今回描かれたことが事実なんだと思う。
つまり、葛井(古田新太)も
中河欧太(仲村トオル)の指示では動いていない?

まあ、自衛隊の演習で
葛井が仲間を殺していることが伏線になっているわけだけど、
これは中河欧太だけが知ってることでもないしなあ。

弱みを握られている葛井が中河欧太を殺す、
というところに少し説得力を欠くかも。
もうひとつ裏があるとすればここか。

で、12年前にオーストラリアで起きた事件に
深く関与しているのは支店長だった。
初回から流れているニュース映像にも登場して、
しかも配役が中丸新将だったからね。
あれっきり、ってことないのは分かってたんだけども(笑)

物語のポイントとしては、
逃げている新藤一家(田辺誠一・渡辺由紀)、
山路一家(筧利夫・秋本奈緒美)にも、
夫婦の絆、家族の絆があったということ。

壮大な復讐を実行している中河欧太にも
その夫婦の絆、家族の絆はあるのか。
そこに注目だ。

そうなると家族を持たない葛井が
いちばん恐いんだよなあ。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『しあわせのシッポ』 第6話

演出:藤尾隆
脚本:水橋文美江

ついに八朗(長塚京三)が倒れてしまった。
その前の美桜(水野美紀)と八朗の雰囲気が良かっただけに、
見ている側もかなりショックだ。

ただ、依然として萌(宮崎あおい)や
陸(坂口憲二)と笙子(原沙知絵)の関係が、
うまく本筋に絡んでこないところが残念。
それぞれの描写がおざなりというわけじゃないんだけどね。

美桜と八朗の描き方はじわーっとした良い感じなので
このドラマ好きなんだけど、
自信持ってオススメできないところがツライ。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ビッグマネー!
 〜浮き世の沙汰は株しだい〜』 STOCK6

演出:木村達昭
脚本:林宏司

やっと最大の焦点、相続保険の問題に
すべてがつながってきた。

そもそも山崎(原田泰造)が
香港から日本に呼び返されたのは
相続保険の問題を解決するためだったけど、
前回の最後、山崎の前で自殺を図ろうとしたのは
相続保険の被害者(真鍋かをり)だった。

そして、小塚(植木等)がずっと思いを寄せている
テルコ(八千草薫)が最初に倒れた原因も相続保険。
だから小塚はまつば銀行を
本気で潰そうとしているのだった。

この大きな軸がハッキリしてくると
ドラマ全体もかなり面白くなってくる。

今回は信用取引という
ハイリスク・ハイリターンの商品がテーマで、
これをクリアした白戸(長瀬智也)は
小塚から完全に信用される形に。

小塚、白戸、山崎の関係が明確になってきた次回以降、
かなり盛り上がってきそうだ。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『夢のカリフォルニア』 5

演出:土井裕泰
脚本:岡田惠和

今回の琴美(柴咲コウ)は
かなりコメディータッチの描き方。
出だしがあまりにも暗かったから
多少は違和感があるんだけど、
これくらいの描写はあってもいいだろうな。

とくに終(堂本剛)の家がシリアスになったりしたら
他でやわらかい場面は作った方がいいし。

終の家と言えば、
始(宮藤官九郎)が放浪の旅へ出てしまった。
しばらくは出てこないような雰囲気。
今、本多劇場で「大人計画」の公演をやっていて、
作・演出を宮藤官九郎が担当してるから
その準備に出かけたんだろうな(笑)

今回は琴美の恋人、春樹(海東健)の内面が
垣間見られるシーンもあった。
琴美へのプロポーズは結局自分本位なんだけど、
自分が抱える不安を少しみせたのは
琴美が何かを考えるキッカケになるかも。

全然関係ないけど、
琴美のマンションの大家は
また大島蓉子だったね。
(「トリック」など最近は頻繁に大家で登場)
そこら中で家賃を回収してるな、彼女は(笑)

終の父親(岸部一徳)が
会社を辞めたことを家族に告げたシーンが
今回の山場のひとつだった。

早期退職願いを出した理由や
言い出せなかったことを謝る父親の姿、
それに対する家族の反応なんかも良かったんだけど、
個人的には、岸部一徳が声を荒げたあと、自分で
“…迫力ないね、お父さんが怒鳴っても”
と言ったところで泣けてしまった。

年齢を重ねていくと、
自分がどういう人間か痛いほど分かってしまうからね。
それはつまり、自分の限界を知っていく作業でもあるわけで…。
なんかすごくせつなかった。

そして最後に
恵子(国仲涼子)の離婚届が提出されていないことが発覚。
これはかなり尾を引きそうな問題なので
今後、元旦那役も登場するかも。

小橋健児だったりして(笑)
(「ちゅらさん」で旦那役だった人)

             採点  7.0(10点満点平均6)


『九龍で会いましょう』 sixth love

演出:石川剛
脚本:野依美幸

薫(石田ゆり子)の男を選ぶ基準。
──信用できる人。

お前が一番信用できない!

             採点  4.5(10点満点平均6)


『ゴールデンボウル』 5frame

演出:吉野洋
脚本:野島伸司

多少、マンネリ感が出てきたところで舞台を温泉に。
芸者ボウラー(ひとりは木村多江!)との
対戦を絡めたコメディー部分も十分に笑えたけど、
今回はそれ以外にもかなり見応えがあった。

まず、前回までは瞳(黒木瞳)の旦那(篠田三郎)が
実は浮気をしていないという可能性も残っていたけど、
今回で浮気は確定的になった。

そしてその愛人(梅宮万紗子)は、
ずっと自分が旦那につきまとわれている、
と瞳に電話で話しておきながら、
実は瞳に離婚を決意させ、
旦那を自分のものにするための策略を練っていたのだった。

ところが、旦那は瞳と離婚する気がない。
愛人はホテルのバスルームで手首を切り…。
なんと愛人はリストカット症候群だったというわけだ。

この愛人問題は、当然まだまだ先がある。
まったく考え方の違う愛情表現を
今後どうやって描いていくのか。

中心となる芥川(金城武)と瞳との関係も
複雑な感情がゲーム中に語られた。

前回は唐突なキスに対する
瞳側の感情が中心に描かれたけど、
今回は芥川からの感情だ。

芥川が瞳とキスしたことを惚けたのは
瞳が人妻だったからでも、
昔の恋人に対する罪悪感からでもない。
(もちろん、多少はあったが…)
キスしたあと、瞳が旦那に離婚を言い出したので
ビビったわけでもない。

“恋人や夫婦は別れてしまうことがある。
 でも友達なら離れることはあっても別れることはない”
だから芥川はその方がいいと思った。
“たとえこれから、僕がどれほどあなたに惹かれたとしても”
友達の方がいいと。

それでキスしたことを惚けてしまおうと思った。
これは、恋人を永遠に別れてしまった過去を持つ芥川なりの
瞳に対する感情の持っていき方だ。

芥川にいつも大胆に迫る晶(松本莉緒)が
部屋にゴリ(小川直也)を待機させていて
“そりゃイザとなると恐いからさ”
という何とも可愛い描写。

温泉ボウリングのストライクなら相手が脱ぐ、というルールで、
脱げない芥川・瞳組は、芥川が顔にスミを塗られていたけど、
最後は瞳がストッキングを脱ぐというサービスカット付き。

そんな見どころもみせながら
今回もかなり込み入った脚本を書いてきた野島伸司だった。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『青に恋して!
  〜サッカー通と4人のビジョン物語〜』 全4夜

企画:立松嗣章
プロデュース:澤田鎌作、原田冬彦、
       小竹実千代(イースト)、下山潤(イースト)
演出:澤田鎌作
脚本:小山薫堂(1、2、3、4)、小野沢美暁(1、2)、
   もりしげる(3)、後藤法子(4)
制作:フジテレビ、イースト
出演:香取慎吾、稲森いずみ、内山理名、京野ことみ、上原多香子、他

ワールドカップ日本代表メンバーが
発表される直前の13日から16日まで、
4夜連続で放送されたドラマスペシャル。
全然期待しないで見たら意外と面白かった。

サッカー関係のドラマと言えば、
Jリーグが開幕した93年に放送された
「もうひとつのJリーグ」と
「オレたちのオーレ!」が思い出される。

どちらもお粗末な内容で、前者は全11回が5回に、
後者は半年の予定が3ヶ月で打ち切りになった。
日本のサッカードラマの功績といえば、
「オレたちのオーレ!」で共演した
大鶴義丹とマルシアが結婚し、
今でも離婚してないことぐらいなのだ。

だからワールドカップブームに乗った
サッカードラマなんて、
全然期待してなかった。

ところが、さすが「踊る大捜査線」や
「リップスティック」「HERO」
「ラブコンプレックス」など、
多くのヒット作を手掛けてきた澤田鎌作。
コメディータッチではあるけど、
いい切り口でサッカーを描いていた。

4つの話はすべて独立したもので、
香取慎吾がコック、刑事、医者、タクシー運転手
という4つの職業につくサッカー通を演じ、
サッカーに詳しくない、あるいは好きではない女性に
サッカーの魅力を伝えていくという構成。

その魅力を伝えるエピソードが
有名な伝説だったり、興味あるデータだったり、
面白い裏話だったり、
なかなかいいチョイスだったのだ。

実はサッカーに詳しい人の方が面白く感じたのでは…、
という根本的な疑問もあるけど、
サッカーを扱いながらここまで仕上げたんだから
十分頑張ったと思う。

ただ、全話を通して決めゼリフとなっていた
名前や素性を聞かれて香取慎吾が答えた
「ただのサッカー通です」
という言葉が全然効果的じゃなかったのが残念だった。

             採点  7.0(10点満点平均6)





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