タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第57話「脇役がいてこその主役」
伊藤俊人さんが金曜日に急死した。
享年、40歳。「古畑任三郎」の科学技官、
「王様のレストラン」の従業員、
「ニュースの女」の運転手、
「ショムニ」の人事部課長、
「お水の花道」の加藤チーフなど、
どれも印象に残る役ばかり。西村雅彦、近藤芳正、相島一之、梶原善などを擁した
三谷幸喜主催の「東京サンシャインボーイズ」出身で、
現在のドラマ界では欠かすことのできない
貴重なバイプレイヤーだった。7月からは「ショムニ」の新シリーズ放送が決まっていて、
亡くなったのはクランクインの直前。名脇役がいない「ショムニ」が
どんなに寂しいものになるか。
きっと我々は7月に思い知ることになる。
『春ランマン』 sharing 7
演出:中嶋悟
脚本:樫田正剛このドラマって
アドリブが多いのかもしれないけど、
セリフの語尾が曖昧。
ていうか、
不必要に挟む言葉が多くて
伝えるべきセリフに力を無くしている感じ。確かに日常的に使われる会話は
意外とメチャクチャな文法で
しゃべってるものだけど、
それにも限度があるからなあ。演技力はもちろん、役者の基礎会話力って
伝えたいことを伝えるという意味で
かなり大事だな、
なんて思う今日この頃。採点 5.5(10点満点平均6)
『ウエディングプランナー』 7
演出:七高剛
脚本:福田靖
脚本協力:川嶋澄乃、高橋美幸前回、つとむ(温水洋一)が結婚式に現れない
というシリアスな終わり方だったけど、
今回の出だしはとりあえずその後の混乱は省略して
コメディータッチでのスタート。
このあたりの構成はうまかった。そして話は美咲(木村佳乃)の失恋、
愛情に対する不信、仕事に対する迷いと、
拓(神木隆之介)の初恋を絡めながら進むという展開に。はるかちゃん(塚本璃子)の母親(山下容莉枝)のキャラは
ありきたり過ぎてつまらなかったけど、
2つのエピソードの絡め方は
王道に徹していて良かった。ありきたりと王道。
似てるようで違うんだなあ。
このあたりが難しい。トオル(ユースケ)の父親(志賀廣太郎)が
響子先生(高橋ひとみ)のクリニックに
顔を出したのも余計だった。前も書いたけど、
トオルの実家と新白金クリニックは
完全に独立した世界で描いた方が面白い。このドラマはベースが安定してるんだから、
ヘンに小細工しない方がいいんだよな。
そのあたりは徹底して欲しい。とはいっても、
全体的には全然OK(笑)拓!
お前なら今から結婚相手決めなくても、
よりどりみどりだぞ!(笑)採点 7.0(10点満点平均6)
『First Love』 第6話
演出:生野慈朗
脚本:大石静朋子(和久井映見)が病室にいる両親の前で、
夏澄(深田恭子)に直(渡部篤郎)を取られたこと、
それでも夏澄との関係は今まで通りの姉妹でいたいこと、
を告白した時、
これが朋子の目的なのか?とも考えた。つまり、血のつながっていない両親からの愛情を
これからも継続させていく方法。
より深く自分に愛情を注がせる方法。直との仲を認めれば
夏澄からもずっと本当の姉のように
慕われるかもしれない。でも、朋子の書く「初戀物語」はまだ続くんだよなあ。
“愛は時に命を生み、愛は時に命を奪う”と。朋子の最終的な目的は何なのか。
…これはさすがに引っ張るよな。この段階で分からないことだらけになると
見ている方もツライんだけど、
直は自分の気持ちに正直になることを
朋子にも、夏澄にも告げた。ここで軸がひとつできるので、
今度は夏澄の気持ちを迷わせたりしても
作品全体としてそんなにとっちらかったりしない。うまいな、このあたりの構成は。
さて、朋子が
“愛は時に命を奪う”
と書いた真意とは…。採点 7.5(10点満点平均6)
『ごくせん』 第六話
演出:大谷太郎
脚本:松田裕子クマ(脇知弘)、
「さよなら、小津先生」で
田村正和に習ったバスケの基本をみんな忘れる、の巻。まあ、最後に不登校の生徒が来るのも
クマたちと仲直りするのもお約束なんだから、
そのあたりを楽しまないとね(笑)今回も悪くはなかったけど、
微妙に切れ味が悪かったな。演出家と脚本家でちょっとしたテイストが変わる。
このドラマはそこを比べるのも面白い。採点 6.5(10点満点平均6)
『眠れぬ夜を抱いて』 第7回:襲撃の日
演出:西谷弘
脚本:野沢尚葛井(古田新太)は撃つのか、
撃つとしたら誰に向かって…、
という興味を残こしつつ、
ドラマは12年前の事件の真相を
細かく描いていく。
この構成はやっぱりかなりいいんじゃないかな。2時間ドラマもそうだけど、
ミステリーものって
謎解きが始まると実はもうつまらないんだよね。完璧なトリックなんてそうそう作れるものじゃないから
どこかに必ずムリが出てくる。
それを最後に「これが正解です!」って見せられても
なかなかいい印象は残らない。でも、この作品みたいに
謎解きに時間をかけてドラマにするのはいい。
コロンボだって、古畑任三郎だって
基本的にはそのやり方がウケたわけだし。強いて言えば
今回みたいな回でも、
もう少し主人公の悠子(財前直見)や欧太(仲村トオル)を
絡める作りにして欲しかったな、という感じ。刑事の熱田(大杉漣)はもう2回続けて出てきてない。
このへんがちょっと残念かな。採点 7.5(10点満点平均6)
『しあわせのシッポ』 第7話
演出:佐々木章光
脚本:水橋文美江林田(田中実)が美桜(水野美紀)に
“もっとずるくていいのに”
と言ったシーンは良かった。ただ、それに美桜は甘えてしまうのか…。
そして陸(坂口憲二)は笙子(原沙知絵)に
一緒に暮らそうと言ってしまうのか…。いや、美桜と陸が必ずしも
うまくいく必要はないんだけどね。うーん、どこが悪いんだろう。
この手のドラマは
最後まで見ないときちんと評価できないな。採点 6.5(10点満点平均6)
『ビッグマネー!
〜浮き世の沙汰は株しだい〜』 STOCK7演出:西浦正記
脚本:林宏司きたーーーーっ(笑)
連ドラはさあ、
毎回、面白くないと次を見てもらえない、
という構造的リスクがあるんだけど、
いつも途中で見捨ててしまう人は、
今回みたいな、きたーーーーって感覚は
永遠に味わえないんだろうな。今回だけ見た人と、
最初から見ていた人では、
明らかに感じ方が違うはずだから。いや、別にこのドラマが
恐ろしくすばらしい作品だったなんて
言ってるわけじゃないよ(笑)ただ、毎回コツコツと
積み重ねてきた小さなパーツが、
最後の方になって繋がる感覚は、
やっぱりカタルシスなんだよね。それで長谷川京子をキャスティングしてたのか、とか
そうなると岡本綾の存在が活きてくるな、とか
そんなことを考えてたら
ちょっとうれしくなっちゃっただけ。そこまで期待してなかったからね。
この作品に関しては(笑)でも、ホントに長谷川京子で大丈夫なのかなあ。
まつば銀行側、最初から負けてるしな。まあ、次回以降を期待してみましょ。
採点 7.5(10点満点平均6)
『夢のカリフォルニア』 6
演出:三城真一
脚本:岡田惠和いつも他人のせいにして逃げてばかりいた、
という恵子(国仲涼子)の感情は理解できるけど、
離婚届が提出されていなかった、
というエピソードからのリンクが
今ひとつ効果的でなかった感じ。ラストで終(堂本剛)と琴美(柴咲コウ)が
抱き合っているところを目撃してしまうシーンは、
別に恋愛感情に発展するものではないと思うけど、
いずれにしても今回の恵子の感情の揺れは
少し分かりにくかった。今回、一番印象に残ったのは、
やっぱり終が父親(岸部一徳)と一緒に働くことになって
大きな荷物を抱える父を見て泣きそうになるシーンだな。
あれはせつなかった。父親が働く姿って、
再就職かどうかは関係なく、
ある意味、残酷なんだよな。
子供はそれを見ておくべきなんだけれども。採点 7.0(10点満点平均6)
『九龍で会いましょう』 seventh love
演出:石川剛
脚本:野依美幸東郷(東幹久)、
とりあえず車を売ろうよ!採点 4.0(10点満点平均6)
『真夜中は別の顔』 全32回
制作統括:内藤愼介、菅康弘
演出:松岡孝治、遠藤理史、中村高志
脚本:ジェームス三木
原作:シドニィ・シェルダン
主題歌:「微笑みのひと」今井美樹
音楽:菅野よう子
制作:NHK
出演:瀬戸朝香、吉川晃司、小雪、細川俊之、玉山鉄二、上野未来、
黒田アーサー、麿赤兒、高畑淳子、津嘉山正種、田中要次、
エド山口、かとうかずこ、磯部勉、矢島健一、他4月から新設されたNHKの23時枠。
その第一シリーズが終わった。ストーリーそのものは
原作がシドニィ・シェルダンだから
まあ面白かったんだけど、
脚本の言葉づかいも、演出も、
そして瀬戸朝香と吉川晃司の演技も、
最後までよくはならなかった。ハッキリ言って制作側のミス。
現代の日本とは一致しない設定を
そのまま“物語”としてやるなら、
主役をもっと吟味するべきだった。
あるいは、役者の演技力が追いつかなければ
演出方法を変えるべきだった。脚本家が語尾を変えてはいけないとこだわっても
それで出来上がったものがお粗末なら意味がない。もっと大胆にアレンジするべきだったんだよな。
そうすれば瀬戸朝香も多少は救われたかもしれないのに。吉川晃司はドラマだとおそらくこれが限界。
もっと時間をかけて作れる映画や芝居なら
もう少し何とかなるんだろうけど。次回作は7月1日から始まる
岡田惠和脚本の「恋セヨ乙女」だ。
真中瞳が主役らしいのでちょっと心配だけどね。
これで失敗したらこの枠もあまり長くない。採点 5.0(10点満点平均6)
[ロビー田中の自己紹介]
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