タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第78話「綾部貴子がサリーという名の娼婦になって」

ご存じだとは思いますが、
「傷だらけの天使」は今、
WOWOWで再放送されてます。
念のため。


『太陽の季節』 第2回

演出:吉田健
脚本:渡邊睦月

おいおい、またアパートの管理人が大島蓉子だよ。
独占だな、この役は(笑)

オレが初めて大島蓉子を認識したのは
11年前の「ふぞろいの林檎たち」パート3だった。
石原真理子(現在は石原真理絵)が
金持ち(柄本明)と結婚していて、
その家のボディーガードのような役だった。

確かテロップには“屈強の女”とか書いてあったんだよな。
一緒にボディーガードしていたのはキラーカーンで
とにかくデカイというイメージだった。

それが今はアパートの管理人か…。
時代の流れを感じるな。

そんなことはどうでもいいんだけど、
この第2回、相変わらず全体の雰囲気は悪くなかった。
ただ、依然、状況説明が終わらないので
なかなか物語に引き込まれる感じがしない。

たださえ感情移入がしにくい設定なので
人間関係の裏側はもったいぶらず
早めに説明した方がいいかもしれない。

個人的にはブルジョワグループの会話に
もう少しスムーズさが欲しいところ。
キャラとして吉彦(新井浩文)と笙子(石橋けい)に
頑張ってもらいたい。

あとはセリフかな。
今回、ラストで竜哉(滝沢秀明)が
英子(池脇千鶴)を迎えに来た時、
英子の最初のセリフが
“ごめんなさい”だったのは良かった。
英子の人間性がよく現れている。

こういうセリフが多くなれば、
もっと物語に引き込まれていくような気がする。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『ランチの女王』 第3話

演出:唐木希浩
脚本:武田樹里、大森美香

惜しいなあ。
兄弟のキャラがハッキリしてきて
すごく面白くなってきたのに、
各エピソードの前振りが弱いというか、
構成が今ひとつで感動が薄い。
やっぱり最初からひとりの脚本家に書いてもらいたかった。

でも十分に次が見たいと思わせる内容なので
良しとしよう。

なつみ(竹内結子)の背景はまだ謎が多いけど、
竹内結子自体はかなり魅力的。
このままマドンナ役をやり遂げて欲しい。

細かいことだけど、
今回、なつみがちょっとだけ肉体労働をするシーンで、
そういう現場でも
ランチを楽しみにしてる人達がいる
という描写を入れたのは良かったな。

メインテーマではなくても、
美味しいランチが食べられれば
少しぐらいツライことも乗り越えていける、
というのはこのドラマの背骨なので
今後もしっかりと押さえていって欲しい。

あと、エンディングの映像が
毎回少しずつ違ってていい。
主にメイキング的なものが挟まれるんだけど、
主題歌と合っていて楽しめる。

さて次回、勇二郎(江口洋介)たちは
健一郎(堤真一)を捕まえられるのか?

まあ、戻ってくるのは早すぎるよな。
もう少しなつみが健一郎の婚約者で居続けないと…。

この基本設定が
ただの兄弟の恋愛バトルではなくて面白い。

             採点  7.0(10点満点平均6)


『私立探偵、濱マイク』  第3話 どこまでも遠くへ

監督:萩生田宏治
脚本:川崎慎三、井土紀州
ゲスト:武田真治、岡あゆみ、ピエール瀧、LA-PPISCH、
    岸田今日子、小野愛、安藤盟、他

全体のトーンも話のテーマも
ノスタルジックな雰囲気だった。

マイク(永瀬正敏)が
娼婦役で登場した綾部さん(岸田今日子)に
認められるシーンなんか、
制作者サイドの「傷だらけの天使」に対する
強烈なリスペクトが感じられたし。

そしてラストカットは
岸田今日子の“おかえり”か。

もうここだけで泣けてくるんだけどね。
僕らが“どこまでも遠くへ”行っても、
必ず綾部さんはそこにいて、
“おかえり”と言ってくれそうな気がして。

ある意味、古き良きTVドラマに対する
オマージュのような作品でした。

…とまあ、個人的に今回の主役は
「金八先生」のちはる(岡あゆみ)ではなくて
「傷だらけの天使」の綾部さんだと思うので
全然OKなんだけど、
なんであそこに岸田今日子?
という世代の人にとっては、
少し脚本の練り方が足りないと感じられる作品に
なっていたかもしれない。

確かに今回はレギュラー陣の
キャラクターが掘り下げられた分、
メインストーリーとなる
岡あゆみと武田真治のエピソードが
浅くなってしまった感じはするしね。

でも、自分探しという普遍的なテーマに関しては
かなり分かりやすく描けていたんじゃないかな。

あ、そうそう、
1回目は手と口、2回目は横顔が映った小泉今日子は
3回目にしてついに目も映った。
最後にはしゃべるんだろうな、たぶん。

次回はいよいよ行定勲の監督作品。
期待してみよう。

             採点  7.5(10点満点平均6)





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