タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第99話「そっちの方がチョー素敵!」

今週から最終回を迎える作品がちらほら。
(「東京家付き一戸建て」はさらりと無視)

その先陣、MLCがいい感じで終了した。
スペシャル作って!
その方が素敵。


『太陽の季節』 第10回

演出:吉田健
脚本:渡邊睦月

竜哉(滝沢秀明)が響子(松坂慶子)に
強引にキスをし、胸までまさぐった。
ムチャするなあ。

まあ、竜哉が若さ故の愚かな行為を繰り返すのはかまわない。
その行動のネックに父親の死を介在させたのも
現代にアレンジする上で必要だったのかもしれない。

ただ、響子が英子(池脇千鶴)の曲を
自分の作品のように作り続けていたり、
そのことを知ったと思われる英子が
何の嫌悪感も抱かなかったりする描写は、
作品全体の中でどうにも浮いている気がする。

折原(遠藤憲一)は結局、
小宮山不動産の社長を陥れるために
竜哉を利用しただけだった。

これで竜哉が打ちのめされた事実は
作品のテーマの中でさほど違和感を感じないけど、
折原の行動そのものはどうなんだろうか…。

このあたりは最終回を見て、
全体を振り返ってからだな。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『ランチの女王』 第11話

演出:川村泰祐
脚本:大森美香

あれ?
お墓まであったということは、
本当になつみ(竹内結子)の父親は死んでるの?
柏木(上田耕一)は本当に父親の友達なの?

いや、ストーリーとしては全然それでかまわないし、
今回、なつみと勇二郎(江口洋介)の
お墓参りデートの中で語られた
なつみのオムライスに関する想い出、
その後の2人のキスシーン、
みんな良かった。

ただ前回、警察の人間が
“なに? 麦田なつみの父親が?”
って電話に向かって確かに言ってるんだよね。

どこからか連絡が入ったというシチュエーションだったけど、
死んだのはだいぶ前だからその連絡というのもヘンだし、
てっきり店に現れた、という意味だと思ったんだけど。

まあいいか。
今回はそんなことも気にならないくらいいい出来だった。

なつみのオムライスに関する想い出も
3〜4話で描かれた親子のエピソードに絡んでいて、
意外な事実ではなかったけど丁寧に語られたし、
なつみを巡る恋愛バトルも
センスのいいラブコメディーに仕上がっていた。

ミノル(山田孝之)のトマト(伊東美咲)に対する恋心も
“好きです! …先週くらいからずっと”
“…短いね”
のシーンに代表されるように、
いいアクセントになっていたし。

最終回は90分スペシャル。
どういう結末を選択するのか分からないけど、
このトーンのまま締めれば
十分に楽しめるような気がする。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『私立探偵、濱マイク』  第11話 女と男、男と女。

監督・脚本:Alex Cox
ゲスト:田口トモロウ、石橋蓮司、杉本哲太、塚本晋也、
    金山一彦、片桐はいり、田中要次、他

マイク(永瀬正敏)を取り巻く「家族」の話は
ほとんどホームドラマだった。
ま、個人的には嫌いじゃないけど、
もう少し新しい切り口があってもよかったのに。

銃撃戦のシーンは
アレはアレで面白かった。
ただ、編集による間が
とにかくテレビ的じゃなかったのが致命的。

内容は今までの中で
一番分かりやすかったかもしれない。
でも、こういう分かりやすさを「濱マイク」でやると
思いっきり浮くよな。

リサ(小泉今日子)の正体についてのフリがあったから
最終回はそこに期待して見ようか。

             採点  6.5(10点満点平均6)


『ナースのお仕事4』 第11話

演出:両沢和幸
脚本:金子ありさ

いずみ(観月ありさ)と健太郎(藤木直人)の仲直りと、
翔子(松下由樹)が看護現場に戻りたがるキッカケを描いた今回。

まあ、いつものような感じ。
本当に庶民的な作品だなあ。

             採点  6.0(10点満点平均6)


『天体観測』 第11話

演出:都築淳一
脚本:秦建日子
脚本協力:渡辺千穂

本当にひとり死なせちゃったよ。
ここまでやるとかえって潔いなあ(笑)

結局、ストーリーは何の意外性もないまま
最終回を迎えるわけだけど、
最後まで役者の演技には注目していこう。
今回もオダギリジョーや小西真奈美の演技は良かったしね。

このドラマから学ばなければいけないこと:
 ・病院内は静かに!
 ・患者が急変したらすぐにナースコールを!

             採点  6.5(10点満点平均6)


『ショムニ FINAL』 第11話

演出:村上正典
脚本:成田良美

右京(石黒賢)がメインの話。
プライドの高い右京が
仕事でミスをするというエピソードに沿って、
ミスした時の対処法、仲間との信頼関係などを描いた。

仕事がらみのネタだったので
ショムニらしさは出ていたかな。
20年前のゲームのハードとソフトを
1万円出して買う人間は絶対にいないと思うけど(笑)

そして今回も最後のオチは甘かった。

最後が締まればずいぶん印象が違ったんだろうになあ。
もう作ってる方が飽きてきてるんじゃない?

             採点  6.5(10点満点平均6)


『マイ リトル シェフ』 最終話

演出:源孝志
脚本:後藤法子

うん、やっぱり源孝志が演出した時の
やさしい空気感は最高だ。
当然、矢田亜希子の役作りの功績も
大きかったわけだけど。

結局、さな子(高橋恵子)がオーナーとなって
プティエトワールは那須で再興。
ストーリー的な驚きはないけど、
丁寧な描き方でいい最終回だった。

この最終回の山場は、
もちろん、さな子と瀬理(矢田亜希子)の
20年ぶりの再会。

父親(羽場裕一)がさな子のために
レシピを残していたわけだけど、
瀬理が自分の料理を作った展開は良かった。

20年間の自分を知ってもらおうと、
スプーンを集めるのが好きだったこと、
運動会の50m走で一番だったこと、
初めて好きになった男の子は
高橋クンだったことなどを話ながら、
5つのスプーンに乗せた料理を作る瀬理。

一度は話を遮ろうとするさな子も
実はずっと瀬理を忘れたことがなくて、
渡す宛てのないまま
世界中のスプーンを集めていたと告げる。

この一連のシーンは
演出もセリフも、そして料理も
実に丁寧に感動的に描いていたと思う。

お馴染みの決めゼリフは、
序盤に名津菜(上戸彩)が
“そっちの方がチョー素敵!”

最後は瀬理が締めると思わせておいて
考えてるうちにウトウトしてしまうという
ほのぼのとしたオチに使われた。

この決めゼリフに限らず、
とにかくこのドラマは瀬理のキャラクター、
それを演じた矢田亜希子が見事だった。

中には多少雑な回もあったけど、
この瀬理のキャラクターを活かした
やさしい作品のトーンは
他のドラマとの差別化にもつながっていて、
価値のある作品になったと思う。

プティエトワールは再興されたので、
スペシャルで帰ってくることも可能。
最後に初めて目を開き、
カメラに向かって微笑むことができた瀬理の料理を
スペシャルで見られたらうれしい。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.15(10点満点平均6)


『サトラレ』 最終話

演出:高丸雅隆
脚本:吉田玲子

結局、最後は健一(オダギリジョー)が、
自分がサトラレであることを知る展開に。
表面的にはハッピーエンドだけど、
かえって軽い話にしてしまった感じだ。

サトラレだと知るキッカケも、
子供がうっかり言ってしまうという
その程度なら今までだってあっただろう、
みたいなエピソード。

全員で無人島に行くと言い出した時には
思わず「おいおい」とマジメに突っ込んでしまった。

でもまあ、これがテレビ版サトラレなんだろうな。
最後まで学芸会をやってた神田うのなんかを見ていても、
そんなに高級なものを求めてもなあ…、
という気になってきたし。

母親役の風吹ジュンだけじゃなく、
主役のオダギリジョーも鶴田真由も
それなりにオリジナリティーを出して頑張ったと思う。

そう思うと残念だけど、
ま、テレ朝らしいと言えばテレ朝らしいドラマだった。

             採点  6.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★☆☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.55(10点満点平均6)


『恋愛偏差値』 第三章 彼女の嫌いな彼女  第三話

演出:佐藤祐市
脚本:坂元裕二

少なくともここまでは
冴木(柏原崇)が川原(財前直見)に近づいたのは
極秘資料を盗むためのようなので、
ストーリーの意外性はない。
ただ、今回はすごく作りが丁寧だった。

最初に川原が心理ゲームの答えを馬(仕事)と答えたシーンは
わざとそう答えた雰囲気があったけど、
本当の答えが千絵(柴咲コウ)と同じ羊(愛)ではなくて
猿(友達)だった展開がまず良かった。

そのすぐあとのシーンで
川原は冴木の申し出を断るわけだけど、
何もセリフに注釈をつけなくても
川原が千絵の気持ちを考えていることが
痛いほど分かった。

そして間違えて千絵のポストに入っていた
川原の電話料金の明細(¥22,847)。
これも前振りがきちんとしてあったので
川原の描いていない日常と寂しさを端的に表す
見事なアイテムだった。

細かいところだけど、
川原を捜しに来た千絵に
森川(つんく)が1人で来ていたのか2人で来ていたのか、
すぐに答えない描写も良かった。

結局は状況を察して教えたんだと思う。
でも、バーテンダーはそんなにクチが軽くない。
そのことを何気なくリアルに表現していたシーンで、
非常に好感が持てた。

ストーリーとしては、
冴木の念入りな準備で川原は撃沈。
部外秘の資料をコピーされてしまった。

この大きな流れは手垢がついた展開で
面白くも何ともないんだけど、
今回ぐらい丁寧に作ってくれると
見ていて面白い。

最終回に期待しよう。

             採点  7.5(10点満点平均6)


『ぼくが地球を救う』 最終回

演出:片山修
脚本:中園ミホ、相内美生

前回ちょっと期待したオレがバカだった。
もう最悪。

プロデューサーは「木更津キャッアイ」の
磯山晶だったけど、
「木更津〜」が100点だとしたら、
これは2点くらい。

こういうノリが面白いと思う人がいるのは認める。
でも逆にこういう作品を作るから
ドラマはくだらないって言われるんだよなあ。

泣きたい気分。

             採点  3.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★☆☆☆
                  演出  ★★☆☆☆
                  配役  ★☆☆☆☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  5.59(10点満点平均6)






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