タイトル■処女的衝撃 〜初体験はドッキドキ。〜
書き手 ■杉浦ぱっとん

大人になって、たいがいのことは経験済みに
なったら、一番ドキドキするのは、新しい人、
新しい感性、新しいものの見方に出会うこと。
だからこそ、あんなことや、こんなこと…、
過去や現在の初体験について書いてみたい!
あなたの「初体験」も思い出してみて下さい。

>>これまでの処女的衝撃


第5回「はじめての“ひとり旅”その3 ハロー・ニューヨーク!」

1月2日 朝

目覚ましをかけたわけじゃないのに
7時30分に起きた。
ニューヨーク、初めての朝。

私を知っている人からしたら
嘘みたいな時間だよね。
7時30分まで起きていることはあっても、
7時30分に目を覚ますことは、まずない。
時差ボケが、いい具合に働いたみたいだ。

さて、私がひとり旅の行き先を
ニューヨークにしたわけを
ここで話さないと。

理由
(1)ひとりでリゾートはツライよな
(2)英語圏以外はディスコミュニケーション!
(3)退屈をしない都市じゃないとね

そうなると、ニューヨークかロンドン、
ということになった。

閑話休題

何かを選ぶ、決める、というときに
だいたい3つくらいの「これだけはゆずれない」
という、事項が発生するはず。

それは、つきあう異性に求めることも同じだったりしませんか?

例えば

(1)ルックスがよい人
(2)私の友達とも仲良くやれる人
(3)怒らない人

これは、ぱっとんが異性に求めるもの3つ
と言われて出したものですが、
みなさんも考えてみてください。
あなたが異性に求めるもの3つ、
それは何ですか?

考えましたか?考えましたね?

それでは(1)〜(3)を同じように満たす
異性が2人現れたとします。
その2人のうちどちらかを、ステディにしなければいけない
というときに、1人にしぼるための比較事項として、

(4)番目の「異性に求めるもの」を挙げてください。

考えましたか?考えましたね?

ハイ、
実は、(4)こそ、あなたが異性に求めるものとして
一番大事だと思っていることなのです。
とあるバーのマスターに教えてもらった
プチ心理学でした。

あ、ちなみに、ぱっとんは
(4)として「セックスの相性がよいこと」
なんて答えてしまいました。
オイオイ。おもしろすぎる。

えー、話が逸れました。
つまり、何かことを決めるときには
4番目に出てくる理由が実は一番大事なこと
だと言うわけ。

そしてつまり
私がニューヨークに決めた4つ目の理由、
これがやはり決定的だった。

(4)ニューヨークには知り合いがいる!

しょーもない理由ですみません。
でも大事でしょ?

しかし、ニューヨークに行くと決めてすぐに
メールを出したものの、返事が返ってこなくて
ひょっとして、日本に帰ってきちゃってるのかも…
なんて状態だった。
結局、連絡が取れないまま
私は旅立ってしまったのだ。

というわけで、朝起きて、前日の不機嫌を
そのまま引きずりながらも
「今日は美術館に行くのよ〜」なんて
独り言をつぶやきながら、出かける準備。
とにかく自分で自分の気分を盛り上げなきゃいけない。
ガイドマップで住所を確認しながら
今日1日の行動予定を立てる。

ニューヨークには、例えば
「新橋」だとか「新宿」だとかの
“地名”はほとんどない。
だいたいが、アベニューとストリートの
数字の組み合わせで所在地を示す。
わかりやすい。
超がつくほど方向音痴の私でも
数字さえ把握しておけば、「あと1ブロック先」とか
余裕で歩ける街なのだ。これはいい。
ひとり旅でガイドブック片手に歩く、なんて
やっぱイヤだものー。

「メトロポリタン美術館」
「ホイットニー美術館」

今日はこの2つをまわることに決めて
いざ出発! と思いながらも
まだ気分は沈み気味。大丈夫かなあ、
という心配が先立ってしまうのだ。

とにかく外に出る。
ニューヨークの朝を歩いてみる。
まだ1月も2日だと言うのに、
すべてが平常通りに機能している。
皆、普通に出勤している。

目指すべき場所が決まっているので
私もステステと歩く。
赤信号だって、ニューヨーカー気取りで渡ってみたり。

途中、公衆電話から、
連絡が取れていない知り合い、
カメラマンのTさんに電話をかけてみようと思った。
コインを入れる、番号を押す、オペレーターの声、
つながらない、なぜ?
受話器を置く、コインは戻ってこない、なぜ?

あきらめて歩き出した。
またしてもヘコみながら信号待ちをしていると
トラックが「プップー!」とクラクションを鳴らした。

へっ? と顔を上げると
アメリカ映画に出てきそうな、ホントに気の良さそうな
おじちゃんが、ベリーキュートな笑顔で
私に手を振ってきた。

突然のことに驚きながらも
私も笑顔で手を振り返した。
すると信号が変わって、トラックのおじちゃんは
「うんうん」とうなずきながら走り去っていった。

どういうつもりだったのか、私が子供に見えたのか
それは今でもよくわかんないんだけど、
このほんの些細なやりとりが、
突然に私の気持ちを明るくさせたのね!

「ハロー・ニューヨーク!」

今日1日が、うまくいくための呪文みたいに、
心で叫んでいた。
顔を上げてみた。ニューヨークなんだよ、ここ!
ホラ、建物なんか東京と全然違う!
あーそうそう、湯気が出てるよマンホールから!

自分でもオカシイくらいに単純。
でも人の笑顔は誰かを幸せにする。
私にとっては魔法みたいだった。
全然知らないおじちゃん、サンキュー!

そしてホントにこの事件を境に
私のニューヨーク旅は、どんどんいい方に
転がり始めていったのだ。

(つづく)

※ホントは1回につき、1日分の内容って
 思ってたんだけど、非常に長くなってしまったので。
 次回もまだ、2日目のお話です。
 いったい、何話続くのかしら…
 





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