タイトル■処女的衝撃 〜初体験はドッキドキ。〜
書き手 ■杉浦ぱっとん

大人になって、たいがいのことは経験済みに
なったら、一番ドキドキするのは、新しい人、
新しい感性、新しいものの見方に出会うこと。
だからこそ、あんなことや、こんなこと…、
過去や現在の初体験について書いてみたい!
あなたの「初体験」も思い出してみて下さい。

>>これまでの処女的衝撃


第6回「はじめての“ひとり旅”その4 日本の美術館も見習え〜の巻」

1月2日 まだ朝の続き…

偶然の、なんでもないけどハッピーな出来事で
すっかり足取りも軽くなった私は、
街の景色を楽しむ余裕がでてきた。

メトロポリタン美術館へ向かうには
セントラルパークの脇道を北へと
歩いていくわけだけど、
「あぁ、もったいない、せっかくだから
セントラルパークの中を歩けばいいんじゃん」
と、今さらのように思いついたのだった。

私は2年前東京に出てくるまで、
約10年を名古屋の街で過ごした。
名古屋の栄という繁華街、そのシンボル
テレビ塔の近辺は公園になっていて
ズバリその名も「セントラルパーク」と言うのであった。
地元じゃ若者が「センパ」とか、
わけのわからん略称で呼びやがる。

似て……なくもないかな?
いや、まったく別物だろ、
だいたいニューヨークで名古屋の「センパ」を
思い出すなんて、私もまだまだ
赤味噌くさいでかんわな(名古屋弁)。

平日の、まだ朝も9時過ぎなので
公園の中は、時おり犬を散歩させる人を
見かける程度である。
静かだ。春になったら、きっと
もっとたくさんの人たちが公園でくつろぐんだろうな。
なんて思っていると、突然

ガサガサガサッ

と音がした。
ハッと振り返ると、木立の中で
何かが動く気配がする。
鳥か?ホームレスか?
いや、リス!
リスがたくさんいる。
こんなに間近でリスを見るのは初めて。
しまった。ナッツか何かを買っておけばよかった。
しばらく眺める。
持ってきたカメラのシャッターもここで初めて切った。

リスの姿に足を止めつつ進んでいくと
たどりつきました、ようやく。
メトロポリンタン・ミュージアム!

そもそも外観からしてイカしてる。
シャッターを切る。
もうすでに「観光客だ、文句あるかバカヤロー」的な
開き直りも出てきたので迷いもない。
だから、誰もアンタのことなんか気にしてないっつーのね。

中に入ると、入場券を買う前に
クロークでコートを預けることになっている。
これは素晴らしいシステム。
重いコートは脱いで、じっくり楽しんでってよ
ってことなんだろうね。
クロークのおじさんの笑顔の「Hi!」
ぱっとんのハッピー指数はまたまた上昇。

入場料は10ドル。
朝イチを目指してやってきた甲斐もあり
まだ混雑は始まっていない。
館内の案内図もちゃんと日本語版があって、
それを手に取ると、インフォメーションの中にいた
日本人スタッフ(上品なおばさま、といった風情)が
「日本の方ですか?」と声をかけてくれた。

「今日は何か見たいものは決まってますか?」
親切にも、見取り図にペンで書き込みをしながら、
私が見たいと思ってるものがどこにあるのか、
細かく説明してくれたのだ。
カフェの場所やスーベニアショップの場所も。
最後に「ゆっくり楽しんでいってくださいね」の一言。
素晴らしい!
日本の美術館に、こんなホスピタリティはないよね。

この時点で、今日1日は
できすぎなぐいらいにいい滑り出し。
日本で朝のテレビとか見てたら
絶対今日の占いは蠍座が1位だ!って思った。
(ぱっとんは蠍座)

さて、ようやく(読んでいる人にとっても、ですね)
美術館の中へ。
とにかく広い!なんなんだココ。
ロンドンの大英博物館もすごいけど、
ちょっと、ここ1日かけても回れないんじゃないの?
って感じ。
最初はひとつずつ見て行こうと思ったけれど
どう考えても時間が足りないので
気になるところを先に見てしまうことにした。

やっぱ絵画。
近代絵画、いわゆるモダンアート。
特にどの作品が展示されている、とか
予備知識もなしに行ったので
突然に、「あ、ゴッホ」とか
「あ、ゴーギャン」とか、街で偶然に見つけたみたいな
カジュアルな雰囲気で楽しめる。
日本の美術館みたいな物々しい警備もない。
冊もロープもないから、極端な話、触れる!
もちろん堂々と触ってたら怒られるんでしょうが。

※美術館は、同じ日と翌日にも
計3館見てまわったのだけど、
そこでの感想は、これまた長くなりそうなので、
全部まとめて、違う回に書くことにします。

さて、とにかくいろいろな展示物に
いたく感激しながらも、気がついたら午後2時。
あっという間に時間が過ぎる。
美術館内のカフェで、ビールとベーグルサンドを食べ
名残りは惜しいが、後ろ髪ひかれ隊な気分で
次の目的地ホイットニー美術館へ。

<果てしなく、つづく…たかだか3泊5日の旅なのに…>





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