タイトル■処女的衝撃 〜初体験はドッキドキ。〜
書き手 ■杉浦ぱっとん
大人になって、たいがいのことは経験済みに
なったら、一番ドキドキするのは、新しい人、
新しい感性、新しいものの見方に出会うこと。
だからこそ、あんなことや、こんなこと…、
過去や現在の初体験について書いてみたい!
あなたの「初体験」も思い出してみて下さい。
>>これまでの処女的衝撃
第7回「はじめての“ひとり旅”その5 ハッピーは続く の巻」
1月2日 昼過ぎ
すっかりメトロポリタン美術館でハッピー指数を上げ、
勢いに乗って、その足で第2の目的地
「ホイットニー美術館」へ。なんだかもうすっかりアグレッシブなんである。
美術館でもさらにパワーをもらった感じで
歩く姿勢も、普段より2度は前傾姿勢っていうか、
ドラムたたかせたら(たたけませんが)、
かなりリズムが走りぎみだったでしょうな、この日の私。あ、すっかり連載の間隔があいてしまったので
忘れている人にも自分のためにも
ここでちょっとおさらい。この旅日記は私のニューヨークへの
初めてのひとり旅を、振り返るというもので
シリーズ5回目ではありますが
実はまだ、旅2日目の昼さがり、ということになってます。さて、メトロポリタンからホイットニーへは
徒歩ですぐ近くの距離。
でも、その道すがらには魅力的なブティックが立ち並び、
折しもセールの時期ときた。何もアメリカで入らなくても……とは思ったものの
「アニエスベー」のショップを発見し
「セールだし…」と入ってみることに。店のドアを開け、開ける、あれ?
押してだめなら引いてみな?
引き、いや、開かないよ。休み?実は他の店にもよくあるシステムなのだが
ショップのドアには常時ロックがかかっている。
強盗とか、セキュリティの関係なのでしょう。
店員が訪問者の姿を確認してからロックを解除する。そんなこと、まったく知らない私は
何度もガチャガチャと押したり引いたりを
繰り返していた(かなり頭悪そうだったでしょうな)。
店員さんが笑いながら開けにきてくれて
ちょっと恥ずかしい。
1人なので照れ隠しもできないし。「あなたにはこれがよく似合うと思うわ」
「ほんとだ、かわいい」
「試着してみてもいいですよ」
「う〜ん(値札チラッ)」
「そうそう、こっちのは今日届いたばかりなの」
「へー、そういえばこのプリントは日本でも見たことないっす」
「でしょう?新作なのよ」
「かわい〜(値札チラッ)」というような会話をした(つもり)。
英語が通じてる(つもり)のが嬉しくて
(たぶん)めちゃくちゃな英語で会話を続ける。友達とか誰かと一緒だったら
たぶんこんなに頑張って会話しないと思う。
自分のへたくそな英語を聞かれるのは恥ずかしい。
Rの発音とかTHの発音とか
誰かに聞かれてたら、ここまできっちりやれないもの。
でも1人だとそんなこと、カッコつけてる場合じゃない。
とにかく伝えるのに必死だからね。
うん、これも1人旅のいいところだ。というわけですすめられるままにTシャツを買ってしまった。
って、これセール品じゃないじゃーん!
しょうがない、
もともとセール時に「セール除外品」を買うのが好きなんだもん。
だからこんなオンシーズンに海外に行くんだもん。
金のかかる女です。 よって貯金ゼロ。さて、寄り道をしつつも
「ホイットニー美術館」に到着した頃には
すでに日が傾きかけていた。
メトロポリタンが全世界のアートを展示しているのとは違って
ホイットニーはアメリカの近代〜現代のアートにこだわっている。
ここでも非常におもしろいものを
見せてもらったのだが、こちらの感想は
またあとで。うふふ。カフェで一息ついたあと
今日1日の楽しい出来事を思い出しながら
一旦ホテルに戻ることにした。もう外はすっかり暗い。
途中、憧れの「バーニーズ ニューヨーク」に寄り
セールにも関わらずやっぱり高いってことで
ガシガシ買い物してるセレブ(?)を
うらやまし気に眺めるだけにして、
さて、問題は今晩の夕食。疲れたし、またデリで買えばいいかな、とか
でもビール飲みたいのよね、とか
あれこれ考えながら部屋へ。はぁ〜充実した1日だったよぉぉぉー
コートとブーツを脱いで
タバコに火を着ける。するとおっ?
留守電のメッセージが入っていることを示す
ランプが光っている。
ホテルの人からの伝言かしら?
なんてボタンを押すと……Welcome to New York!
の懐かしい声!
そう、ずっと連絡が取れずにいた
知り合いのTさんからだった。ハッピー続きの旅2日目は
まだまだ終わらなかったのである。
まったく、なんて1日!<つづく そしてまだまだ旅2日目>
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