タイトル■処女的衝撃 〜初体験はドッキドキ。〜
書き手 ■杉浦ぱっとん

大人になって、たいがいのことは経験済みに
なったら、一番ドキドキするのは、新しい人、
新しい感性、新しいものの見方に出会うこと。
だからこそ、あんなことや、こんなこと…、
過去や現在の初体験について書いてみたい!
あなたの「初体験」も思い出してみて下さい。

>>これまでの処女的衝撃


第10回「はじめての“ひとり旅”」その8
楽しいお買い物 の巻

1月3日 昼下がり

さて、旅の目的は人それぞれですが
(はて、今回の旅の1番の目的はなんだっけな?)
どこに旅行に行こうとも、杉浦的には
『お買い物』という要素が少なからず
組み込まれているわけです。
ミーハーだけど、やっぱり免税店も大好きだったりして。

そもそもが、金銭感覚のぶっとんでるタイプの人間で
非日常な場所に出かけると
ことさら消費に走る傾向にある。

その昔、東京ディズニーランドに
出かけたときは(当時は愛知県在住)、
おみやげだ自分用だと、合計5万円くらいの
グッズを買った記憶がある。
たいしてディズニー好きでもないくせに。
そして案の定、それらは今いずこ。

これを逃すと今度はもう買えない!なんて
強迫観念に近いかも。
つくづくバカ。
まあ、最近では随分オトナになったんですがね。

で、ニューヨークでお買い物、
といったらやっぱりソーホーでございましょう。
ガイドブックにそう書いてありました。

街に降り立つ。こっそり地図を見る。
すでに目当てのショップには
赤ペンで◯してあるし。

金銭感覚がぶっとんでると言っても
別に高級ブランド指向ってわけじゃない。
だから、グッチだとかヴィトンだとか
そういう店に行きたいわけではなく。
目指したのは『ナイン・ウエスト』という靴屋さん。

私が知る限り、ニューヨーク(アメリカ?)にしかない
靴屋さんで、わりと履きやすそうな、
それでいてそこそこにスタイリッシュで、
値段も手が出る範囲に収まる、という
買い物心に火がつくショップ。

しーかーもー、セールなので
3割ほどお安くなってますのよ。

さりげなく地図を見ながら目標発見。
それほど広くない店内に、すでにあれやこれやと
試し履きしているお客さんがいっぱい。
店員さんも忙しそうよ。
うーん、万国共通、人類皆セール好き。

忙しい店員さんたちは、誰もかまっちゃくれないので
気に入った靴は、こちらからどんどん
サイズがあるかどうかを尋ねる。
忙しいから持ってきてくれるまでに5分ほど
待たされる。でも、その間に
バッグやアクセサリーなどを物色するので
ノー・プロブレムだもーん。

やっぱりショッピングは楽しいなあ。
どれを買おうか悩んでると、知らないうちに
いくつもバッグを抱えてたりする。
オイオイ、こんなに買ってどうするよ?
と、セルフつっこみ・イン・マイ・ヘッド。

相談する相手もいない、
もちろん店員さんに「どっちが似合うかな?」
なんて聞く会話力もないから
ひたすら鏡に何度も何度も何度も何度も……
バッグを持つ自分を映す。

入り口の警備のおじちゃんと目が合って
微笑まれてしまった。
いやね、ずっと見られてたの?
そろそろ決めなきゃ。

というわけで、結局
セール価格で77ドルの
かわいいヒールのパンプスと、
29ドルの、革に鋲打ちの小さなバッグを購入。
ん〜、1時間は滞在したね。

店を出て、今度はどこに行こうかなと
またまた地図をさりげなく見ながら歩く。
セールだけあって、通りを歩く人たちは
大きな袋をいくつも持ってる。
観光客もたくさんいるんだろうけど、
私には誰が観光客で、誰がネイティブかなんて
さっぱりわかんない。
でも、みんな幸せそうだったよ。

私自身も、この瞬間は
ニューヨークにあんなテロが起こったなんてこと
すっかり忘れてたもの。

そしてドルチェ&ガッバーナ、アナ・スイなど
一応のぞいてみたものの、
幸か不幸か、グッとくるものに出会わなかったので
(まあ、所持金との折り合いがつかなかったってのもありますが)
そこそこにして店を出る。

おっと、いけない。もうこんなじか〜ん!
Tさんに電話をかけなくちゃ。
(電話をかけるのが少々遅れたのは、こんな理由からでした。
ごめんなさい、Tさん)

実はこの日は、TさんにWTCの跡地に
連れていってもらうことになっていた。
正直、行ってどうするの?私、って考えたりもしたけど、
「あえて行かない」ってのも、ヘンな話。
やはり…見ておきたい。
好奇心がまったくない、なんて言えません。
でも、このへんの自分の気持ちの持ち様って難しいよね。
さっきまで、ショッピングではしゃいでた自分が
そのままのテンションで行くべきところじゃないとは
重々承知の上だし。

そろそろ日も暮れかけたソーホーを後にして
Tさんと待ち合わせの、地下鉄駅へと向かった。

ニューヨーク、最後の夜の始まり。

<つづく>

※1回の連載で、時間が2〜3時間しか経たないんですけど…。
 でももう開き直ってます。
 しかし更新はもう少しマメにしよう、と毎度、思うんだがなあ…。





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