タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

>>これまでの記録


<20> 1月12日(土)

■■ ゴジラ+もろもろ ■■

やっと「ゴジラ モスラ キングギドラ/大怪獣総攻撃」を見に行く。
平成ガメラ・シリーズの金子修介監督による注目の作品だ。

平成ガメラ・シリーズは、3本とも
「こんな怪獣映画を見たかったんだー!」と
心から拍手を送りたくなる大傑作シリーズだった。

なぜ怪獣は現れるのか?なぜ怪獣は日本ばかり襲うのか?
もし怪獣が本当に現れたら社会はどうなるのか?
本物の街が破壊される、もっとリアルな映像が見たい!…などなど
子供の頃からの疑問や不満や夢を次々に、
そして高いレベルで実現してくれた、革命的な怪獣映画だった。

ロボットアニメが「ガンダム」によって、
それまでの「お子様ランチ」という社会的認識を変えたように、
「ガメラ」は怪獣映画における「ガンダム」だったと思う。

そんな「平成ガメラ」を作った金子監督による「ゴジラ」である。
見ないわけにはいくまいて!

…と気合いを入れまくって見る大人はやはり少ないのか、
劇場内は子連ればかり。とゆーか、100%子連れ客だった。
大人だけで来たのは、我々二人だけ。…ありゃ?

予告編でやっていた「ドラえもん」に大歓声があがる。
やっぱ今でも人気あるんだなぁ…。

先に、同時上映の「とっとこハム太郎」が始まる。
子供に大人気ということは知ってたけど、初めて見た。

なんと監督は出崎統だった。
「あしたのジャー」や「ベルばら」など
スタイリッシュでかっこいい作風のアニメを作っていた
あの監督じゃないか?ちょっとびっくりだ。
しかも、スタッフクレジットには、樋口真嗣の名前も。
ハム太郎じゃなくてゴジラに参加して欲しかったよ…。

で、「ハム太郎」だけど、
やたら目がキラキラしてる
キャラクターデザインが苦手だったけど、
けっこう楽しめてしまった。
一緒に行った人は爆眠してたけど、俺的にはOK。
むしろ結構ワクワクして見ていた。
「ミニハムズって何?」とカウンダウンTVとか見て
思ってたけど、これだったのね。

さて、本命のゴジラである。
結論からいうと、「惜しい!」

この作品、第1作のゴジラの50年後の事件
という設定になっていて、それまでにあった無数の
「ゴジラシリーズ」は、なかったことになっている。
それは別にかまわない。

「悪くて強くて怖い」ゴジラの復活、
という監督が語っていた狙いは、それなりに実現できたと思う。
黒目のない、白目だけのゴジラは
確かに客の感情移入を拒否していて、悪くなかった。

キングギドラもモスラも、もちろんバラゴンも
「弱すぎるよぉ!」と思えるくらいに
ゴジラが圧倒してしまう。強いぞゴジラ!である。

「数年前にアメリカでゴジラらしき怪獣が目撃されている。
 だが、日本の科学者は“あれはゴジラではない”と発言している」
とか、笑える(泣ける?)セリフもいくつかあり、楽しめた。

防衛軍は、実は怪獣に勝てる軍事力がなかったにも関わらず、
予算を確保するために、そのことを隠蔽していた、
という設定も、なかなかリアルだ。

そして、防衛軍の人々が語る
「今まで一度も出動したことがないのが誇りでした」
というセリフは、現在の社会状況を考えると、しみた。

けど、最初に聞いた時は「おっ!」と思った
「ゴジラは、大平洋戦争で死んでいった人間たちの残留思念の集合体」
という肝となる設定は、結局なにも生かされず。

脚本がまずいのか、
ストーリー的にいろいろ不自然な点が多かった。

主演の新山千春がマイナーテレビ局のスタッフという設定も、
そういう人間が主役である必然性がなく無理があったよなー。
あ、アメリカ版ゴジラもそういえばそうだったな。
あの映画へのアンサーソング(挑発?)だったのかな?

でも、静岡から横浜まで軽く自転車で来てしまったり、
笑えるけどムチャだよ!という場面が多すぎ。

ガメラファンへのサービス(?)だったのか、
「ガメラ」に登場した役者がやたらに登場するのも
いかがなもんだったんだろう?
逆に「ガメラ」を連想して比較してしまうことになり、
マイナス効果だったんじゃないかなぁ?

でも一番の問題点は、映像的な迫力だ。
圧倒的にビジュアルインパクトがあったガメラと
比較してしまうと、どう考えても迫力不足。

都市の破壊シーンこそが怪獣映画の醍醐味だと思うので、
そのへんの描写が遠慮がちだった本作には、不満が残った。
でも、9.11テロの影響があったんだろうなぁ…。

脚本と特撮シーンに大いに不満が残った、
…と、文句が多くなってしまったけど、
「怪獣映画に理屈やリアルな設定なんかいらない。
 怪獣同士の戦いがたっぷり見られれば、それでいい」
という人には、決して悪い映画じゃないと思う。

怪獣の出番が少なく、人間ドラマ主体だった
「ガメラ」よりは、子供には楽しめる作品だったと思う。
現に退屈して騒ぎだす子供は少なかった。
なにしろゴジラがずっと出ずっぱりだったから。
そういう意味では、もっと思いきって、
ガメラと差別化しちゃってもよかったのかも。

家に帰り、録りためていたビデオをいろいろ見る。

●「恋のチカラ」
本筋とは関係ないけど、森田芳光映画の主演俳優大集合だ。
深津(ハル)、堤(刑法39条)、西村(黒い家)。
会社を辞めた人間がどうやって生き延びていくのか?
自分的には共感して見ていける物語。次も見よう。

●「婚外恋愛」
ズバリ苦手なタイプのドロドロ・ドラマ。
見てるだけで不快になるんだけども、
旦那に浮気をオススメする妻の心境とはいかに?
という部分で、少しだけ興味を持った。
でも次も見るかは微妙。

●「プリティガール」
お寒い展開、セリフの連打で、いきなり凍りつく。
女優殺し?と言いたくなるほど、
人気女優達の本来の魅力を消しまくっていく
脚本と演出に恐ろしさすら感じた。
しかし、慣れていくうちに
「もっと寒いセリフを聞きたい!
 もっと凍らせてくれー」と思い始めるからフシギ。
大映ドラマ的魅力?次も見ちゃうかも。

●「内田春菊の連続女優殺人事件」
深夜ドラマらしい、変わった作りのドラマ。
すごく面白いわけではないけど、結構好きな路線。
次も見てみよう。

●「プロジェクトX あさま山荘・衝撃の鉄玉作戦」
「あさま山荘事件」の際に、
警察に協力して戦った村人たちのドキュメント。
「懸命」とはこういうことを言うのだな、
と身が引き締まる思い。見ごたえ抜群。

今度は、連合赤軍側からこの事件を知りたい、
と思い、明日「光の雨」を見に行こうと決意。

(つづく)







[トップへ]