タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

>>これまでの記録


<39> 2月2日(土)&2月3日(日)

■■ ホームレス作家 ■■


妻がカゼをひいたこともあり
ほとんど家から出ず、ビデオを
見たり本を読んですごす。

「ホームレス作家」(松井計/幻冬社)
という本を読んだ。

ホームレスになってしまった作家の
ノンフィクション。

著者の松井さんは
公団住宅の家賃滞納が原因で家を失い、
奥さんと子供を福士施設にあずけ
宿なし生活を送ることになる。

その一部始終を
正直に書き綴っている。

読んでいて思ったのは
全然遠い世界の出来事ではない、
ということだった。

まったく他人事ではない。

似たような仕事で
(もちろん作家とライターは違う職業だが)
生計をたてていることもあるけど、
同じような経験が
若い頃にあったからだった。

俺も一文無しになったことがある。

けど、まだ若かったこともあり、
日雇いのバイトに行けばなんとなかった。
家賃も払えた。
だからホームレスにはならずにすんだ。
妻子もいなかったし。

松井さんが経験されたいくかのことは
自分の身にも覚えがあるので
実にリアルな体験として読めてしまった。

印象的なのは、
ホームレスになってしまった
松井さんだが、路上では寝ないことを
自分に課していたそうだ。
これは少し意外だった。
付け加えておくと、
残飯を漁ることも禁止していたそうだ。

俺は20才前後の頃、
飲んでて終電を逃すと
しょっちゅう夜中の公園で寝ていた。
(バイト先の赤坂が多かった)
金はないけど、眠気はガマンできなかったのだ。
今考えるとよく無事だったな…。

もちろんボロアパートではあっても
家はあったので
朝までの辛抱にすぎなかったし、
冬はさすがに自殺行為なのでしなかったけど。

そう考えると
自分の場合はもしホームレス
になってしまったら
どっぷりその生活につかってしまう
タイプなんだろう。

あの体験が毎日になり
半永久的に続くとしたら…
と考えるとやはり怖い。

で、
「ちゃんと稼ぎつづけないといかんな」
と至極普通の感想を最後に思った。

貧乏なのはいいとしても
「家」をなくすと
社会生活がほとんど不可能になる。

それと
「自分はやはり“作家”気質ではないな」
とも。

それほど生活に困れば
俺はたぶん別の仕事をするだろう。

それはいいことなのか
そうではないのかわからないけど。

※最近読んだ雑誌によると
 松井さんは今は住まいが借りられ
 執筆活動に専念できるように
 なったらしい。
 他人事ながら、よかった。

(つづく)





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