タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

>>これまでの記録


<56> 2月25日(月)

■■ 最高の嘘 ■■

オリンピックでの
不正や薬物使用などが
話題になっているようだ。

新聞をちらっと読んだだけなので
詳しくは知らないんだけど、
ふと猿岩石のヤラセ騒動を
思い出した。

貧乏ヒッチハイクかと思いきや
実際には飛行機に乗って
移動などもしていたとかいう問題。

思い出したものの、特に関連性はない。

ただ、
「だまされた!」とか「インチキだ!」と
ヒステリックに騒ぎたてている点が
似ているような気がして
思い出したのかもしれない。

信じていたものが裏切られた!
だから許せない!
不正は罰せねばならない!

当たり前のことなので
それ自体に異義を唱えるつもりはないんだけど、
こういう問題がおきても
あんまり関心がわかない。

レベルもあるので
一概にはいえないけど、
たとえば「ヤラセ」といわれる問題で
よく思うのは、
「そんなにテレビ(マスコミ)を信じている人がいるんだ!」
という驚きだ。

俺は基本
「騙される方が悪い」と思っている。
信じきることはステキだけど、
なら騙されたからって文句言うな、
と思う。
騙すような人を信じた自分の責任なのだ。

もちろん騙した方も
バレた時は、罰せられて当然だけど。

で、唐突だけど
もっとみんなプロレスを見ればいいのに、
とよく思う。

プロレスというのは
基本すべてがインチキの世界である。
インチキ、というと語弊があるか。
フィクションである。

ただ、完全なフィクションでもないのが
プロレスのユニークな点で、
「他に比類なきジャンル」と言われる所以だ。
平凡な言い方になるけど
虚実が入り混じった世界。

全てが「嘘」という前提から、
いかに「本当」を見い出すかが
プロレスを見る醍醐味。

要するに、なんでもかんでも
疑って見るものなのである。

そしてどんなに仮説を並べたところで
決して「真実」という答は明かされない世界でもある。

当時者が暴露本を書いたところで、
それも「断片」にすぎない。

真実は常に薮の中。

だから無限に答を
探しつづけることができて
面白い。

プロレスは
答のない推理小説みたいなもの。

そういう意味で
プロレスラーとプロレスファンは
常に知恵比べというか、
犯人と名探偵のような関係なのだ。

記録という「事実」を最上位概念に置く、
普通のスポーツを理数系と考えるなら
プロレスは明らかに文系のジャンル。

プロレスにおいては
「事実」はさほど重要なものではない。

プロレスファンは
「最高の嘘」を求めてプロレスを見る。

だから「事実」は
最高の嘘をクリエイトするための
ヒントのひとつにすぎない。

で、嘘にも
面白い嘘・つまらない嘘というのがあるので、
それが面白い嘘、
つまり、こちらが本当に気持ちよく
騙された嘘には、心から拍手を送るし、
つまらない嘘、あまりにチンケな嘘には
ブーイングを送る。

素晴らしいプロレスラーとは
観客を手の平にのせ、
最高の嘘を演じきり
疑いの目で見ている人間達をも、
感動させてしまう人のことである。

最高の嘘で騙されることが
プロレスファンの喜びなのだ。

そういった「プロレス」
というものを見続けていると、
すべてに対して
深読み・裏読みが基本になる。

表面に見えている事実だけでは
物事は判断しなくなり、
その裏に隠されている真実を憶測する、
のが当たり前の物の見方になってしまう。

で、これはプロレスの世界に
限ったことではなく
この世界そのものを「プロレス」
として見るようになってくる。

世の中=プロレス

世の中は常に理不尽だし
虚実が入り混じっている。
真実なんて決してわからないし、
(真実と事実は違う)
人のやることには必ず思惑や演出がある。
だから物事を、
人のやることをそのまま鵜呑みにせず、
裏側を想像することが大切になる。

恋愛だって、同じだと思う。

だからみんな
プロレスを見ればいいのに、
と思う。

別にプロレスを見たからといって、
頭脳明晰で思慮深い人間になって
人生万事うまくいく、
とかいいたいわけじゃない。
さすがにそこまであつかましくはない。

ただ
日頃、考える訓練だけは
することにはなる。

騙され慣れて、タフにもなる。

それで少しは寛大にも
なれるかもしれない。
(いい加減、ともいえるかもしれないけど)

これって生きていく上で
結構大事なことだと思うんだよなぁ。

とはいえ、そんな
プロレスの世界も変化が起きていて、
最高の嘘を演じきれるレスラーも、
騙されて気持ちよくなれる試合も
めっきりなくなってきた。

嘘のレベルが
とても低くなってきてしまったのだ。
想像力の低下というか。

その代わりに、
「K-1」や「PRIDE」という
「事実」をそのまま見せるジャンルが
「プロレス」に取って代わろうとしている。

つまらない嘘よりは
すごい事実の方が
確かに面白い。

でもそれより
最高の嘘の方が
絶対に面白いし、気持ちいいんだよなぁ。

…あれ、何の話だったっけ。

「面白いプロレスが見たいなぁ」
ただそれだけを言いたかったのかな。
「最高に気持ちよく騙されたい」というか。

まあ、そんなわけで
オリンピックで話題になっている不正ってのは、
レベルの低い、つまらないインチキだと思えるので、
あまり興味がわかない。

もともと理数系の「スポーツ」には
興味がないだけかもしれないけど。



うっ、いま読み返してみたら
ちょっと支離滅裂になっちゃった気がするなぁ。
考えがまとまってなかった模様。
でも今日はこのままアップしちゃいます。

あ、薬物使用については
また別に思うことがあるんだけど、
それはまた別の機会に。


(つづく)





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