タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

>>これまでの記録


<58> 2月27日(水)

■■ 4年 ■■

昨日に引き続き、小沢健二の話。

今回発表された「Eclectic」は
約4年ぶりの新作だった。

この4年間、小沢は沈黙を守り続けた。
ニューヨークにいるということだったが、
一切マスコミに露出しなかった。

今も新譜を出したにも関わらず
プロモーションために受けた取材は
「東京ウォーカー」と「ぴあ」だけの様子。
どちらも電話取材だし、
私的な部分は一切語ろうとしてない。

これは過剰露出が基本の
日本的な音楽プロモーションの仕方としては
異常の部類だろう。

それがいいなぁ、と思う。

その理由については、オフィシャルウェブサイト
http://www.toshiba-emi.co.jp/ozawa/
で自分の言葉で語っていて
「ガイドブックなしで知らない街に降り立つ方が楽しいよね」
ということのよう。

よくわかる話だ。

マスコミの過当競争やインターネットの発達で
情報過剰気味の今だからこそ、この姿勢は光る。

だからこそ、この新作は謎めいていて
想像力を働かせて聴くことができる。
こういう楽しみ方は貴重だと思う。

それにしても、
4年かけて、たったひとつの作品を
作るというのは
いったいどんな感覚なんだろう。

このアルバムを聴きながら
一番考えたことはそれだった。

ほぼ毎日何かを書いたり、
締切りに追われながら、
週刊サイクルで仕事をしてきた人間には
想像の域を超えてる時間だ。

4年!

しかも、その4年かけた作品は
確かに4年は必要だったんだろうな、
と納得させられる出来に
ちゃんとなっているのがスゴイ。

小沢健二は変化し続けるアーティストだ。

アルバムを発表するたびに、
まるで別人にように
音楽スタイルも、キャラクターも
変貌を遂げ続けている。

だから、毎作品ごとに賛否両論が分かれる。
今回の新作もそうだろう。

なんとも羨ましい。

人には変身願望がある。
自分とはまったく違う別人になりたいなぁ、
という気持ちは誰にでもあるだろう。

けど、それはたやすいことじゃない。
いや、まずできないのが普通だ。

せいぜい髪型やファッション、
表面的な部分を変化させる程度のことしかできない。

内面的な部分や、
自分がためてきた
人間関係、持ち味などの「貯金」を
やすやすと手放すなんて
怖すぎて、まずムリだろう。

そんな願望でしかないことを
彼は鮮やかにやり遂げ続けている
ように見える。

で、今回の変身に必要だった
「溜め」の時間は
4年、ということなんだろう。

そして、その謎解きをさせないための
「沈黙」なんだろう。

「芸術家」だからこそ
成せる技なんだろうなぁ。

そんな風にじっくり何かを作ってみたいけど
日銭を稼ぎ続けないと生活していけない
市井の人間にはとてもじゃないけど
ムリ!(意志も弱いし、飽きっぽいし)

日々暮らしながら、働きながら、
小さな目標を見つけながら、
地道に何かを「溜め」ていく
しかないんだろうなぁ。

ほぼ毎日、一応何かを書き、
それを晒すという、
全く対照的なことをしているため
なんだか考えてしまった。

まあ、これはこれで
ひとつの方法論だと
思うことにしておこう…

(つづく)





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