タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

>>これまでの記録


<67> 3月11日(月)

■■ 1・2・3 ■■

昨年の大晦日決戦
「猪木軍vsK-1最強軍」で
ジェロム・レ・バンナから大金星をあげ、
紅白歌合戦の裏番組として
史上最高の視聴率を叩き出した立役者、
“闘う人生劇場”&“癒し系ファイター”
こと、安田忠夫選手を取材。

ギャンブルによる莫大な借金、
それによる妻子との別れ、
低迷したプロレスラー人生…

すべての負の要素を帳消しにする
一発逆転サヨナラ満塁ホームランの
ようなこの試合は、
まさに究極の人生ドラマ、ある意味、
理想のプロレスのひとつだった。

興味深い話をいろいろ
聞かせていただいたのだけど、
この試合の勝利に関する
話は特に興味深いものだった。

英語が大の苦手にも関わらず、
ナマクラな自分に決別するため
単身渡米して、特訓で身につけたのは、
「1・2・3」だそうだ。

「1・2・3」とは「ダーッ」ではなく
勝つための方程式。

1 前に出て相手をコーナーに押し込む
2 倒す
3 極める

相撲出身の安田選手が勝つ方法として
コーチのブライアン・ジョンストンが
考えてくれたこの戦法を、
繰り返し繰り返し練習したそうだ。

が、練習と実戦はやはり違い、
バーリトゥード第1戦となった佐竹戦では
「1」しかできず、判定勝ちはしたものの
納得できない結果に。

さらに特訓を重ねて臨んだ
Kー1との対抗戦、レネ・ローゼとの試合では
「1」「2」までは出来たものの、
ハイキックを食らってしまい、KO負け。

そして大晦日。
まさか誰も勝てるとは思ってなかった
K-1最強戦士ジェロム・レ・バンナ戦。
けれど本人は「1・2・3」ができれば
勝てるはずだ、と信じていたという。

そして、「1・2・3」で本当に勝った!

あの3試合は3部作のドラマだったのだ。
点と点が繋がり、バンナ戦の勝利で線になった。
そう考えるとあの試合は非常に合点がいく。
確かに「1・2・3」で勝った!

昨年のこの3試合を通じて
安田選手が学んだことは、
「結果はすぐに出るものじゃない」
ということだったそうだ。

だからこそ
目先の結果、損得に目を奪われず
ひとつのことを信じ続け努力していれば、
結果はいつか後からついてくる、
そう信じられるようになったと。

だから練習するしかない。そう言っていた。
もうナマクラと呼ばれた人の面影はなかった。

1年間で人生を大逆転し
今ではIWGPチャンピオンに
なってしまった人の話だけに
説得力バツグン。感動したなぁ。

心のメモにしっかりと
記しておきたい。

このインタビュー記事は
3月28日・4月4日発売のフロム・エー関東版に
掲載予定。

ちなみにチャンピオンになった今でも
家賃7万円のワンルームマンションに
住んでいるそうです。

(つづく)






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