タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎

はガガーリン空港へ行く」を主宰している
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。

>>これまでの記録


<75> 3月21日(木)

■■ 自殺サークル ■■

なまあたたかく、強い風が
吹き荒れる嵐のような休日。

夜、レイトショー上映の
「自殺サークル」を見に新宿へ。
21時すぎの上映にもかかわらず
かなり人が集まっていた。

上映前には園子温監督、
ノベライズの作者、
倉本美津留によるトークイベントがあった。

映画は、新宿駅の
プラットホームから
54人の女子高生が
集団飛び降り自殺する
衝撃的なシーンから始まる。

そして次々と起こる
ミステリアスな連続自殺事件…
謎の自殺サイト、自殺クラブ、
人気のアイドルグループ、
この背後にあるものは…?

…というプロット自体は
なかなか面白そうなんだけど、
正直、好きになれない映画だった。

謎自体がすべて放り出されたまま
終わってしまい、
かといってその謎にそれほど
求心力を感じられないので、
残虐な場面ばかりが
印象に残ってしまったのが大きな理由。

恐怖と笑いは紙一重
ということを表現しているのかも
しれないけど、過剰な血しぶき、
過剰にグロテスクなシーンは、
あまりに悪趣味すぎて気が滅入る。
つーかホラーだったのかな?

一言でまとめてしまうと
「品がないんですよォォォォォ!!」

たとえば同じように
謎はすべてほったらかしのままだった
「マルホランド・ドライブ」は
それでもリンチの高貴な美意識(?)、
ユーモアなどによって十分魅力的だった。
比較するのもナンだけど…

ただ、もしかしたら
この映画はこれだけを
言いたかったのかな?と思える部分、
「私が私であることの意味」
を問いかける言葉の数々は、
考えさせられるものではあった。

それにしても
最近見たり読んだりしているものは
偶然の一致なのか、
そういう作品が増えているからなのか、
あるいは自分が好きだからか
「感情なき死」というか
「殺意なき殺人」というか
快楽的でさえない理由なき殺人というか…
そんなテーマのものばかりだなぁ。

「地獄の黙示録」「マルホランド・ドライブ」
「模倣犯」「MONSTER」「自殺サークル」…
時代性なのか、それぞれ微妙に違うものの、
どこか共通するものを感じる。
ああ、マルホはちょっと違うか。

サーフィンしたいがために爆撃し
ベコトン大虐殺するキルゴア、
「自殺しまーす!」「あ、私も〜。」
なんて軽いノリで飛び降りする高校生。
ヨハン、ピース…
どれもその根底にあるのは
生に対する希薄な意識?

「そもそも何のために
 生きなくちゃいけないんだっけ?」
そんな最も単純で、最も難解なテーマに
いろんな人がいろんな形で
答を見つけようとしているんだろう。
だから俺も見に行くんだろう。

そう考えると、少し前だけど
「もののけ姫」のキャッチコピー
「生きろ。」は
さすがと思える時代性を感じるわ。
問答無用だもんな。

でもそれへのアンサー(?)だった
「ブレンパワード」のキャッチコピー
「頼まれなくたって生きてやる」
は、もっとすごいな。

話がまとまらなくなってきたので、
今日はこのへんで。


(つづく)





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