タイトル■狼男の記録
書き手 ■谷田俊太郎
「狼はガガーリン空港へ行く」を主宰している男
の書いた制作記録でがんす。略して「狼男の記録」。
狼男といえば、「ウォーでがんすのオオカミ男♪」
でおなじみの「がんす」でがんす。でも面倒くさい
ので、本文では「がんす」は省略するでがんす。
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＜98＞ 4月16日（火）
■■ 白い米に飢えた狼の叫び ■■
し、しろいコメが食いてえだ〜〜！
狂おしいほどの情熱！
白い米に飢えた狼の叫びが聞こえる！
嵐のごとく強烈な今日の風のように
俺の心に白い米への欲望が吹き荒れていた。
…なんなんだ、この気持ちは？
振り返ってここ数日の食生活を検証してみる。
金曜 昼 電車の中でサンドウィッチとアンパン
金曜 夜 しゃぶしゃぶ風鍋や「からあげくん」など。米はなし。
土曜 昼 半チャンラーメン。米は食ったがチャーハンだから白くない。
土曜 夜 もつ煮と焼肉など。米はなし。
日曜 昼 ざる蕎麦
日曜 夜 ビビンバ（米だけど、いろいろ混ざってる）
月曜 昼 打ち合わせしながらサンドウィッチ
月曜 夜 焼肉チャーハン。近所のお好み焼き屋のお持ち帰り品。
なんと！約４日間も純粋無垢な
白いメシにありついてない！
で、今日の昼は
「フォルクス」でハンバーグランチを食べたのだけど
皿にもってあるやつで、どうもイマイチ。
そう、わしは茶碗で味噌汁と一緒に白い米を食べたかったのだよ〜。
夜、家人からメールが届き
「遅くなるので、蕎麦はどうか？」
と提案される。
悪いけど、その案は却下！
わしは白い米が食いてえんですだ〜！
激しく、とても激しく。
アルプスの少女ハイジに出てくる
おばあさんが白いパンを渇望したように
私はいま心から白いコメを求めている。
そもそも自分はわりかしパン党でありまして、
純粋な和食志向の方々には異端視されるほどです。
海外旅行でパンばっかりの生活でもあまり苦にならない。
もちろん米も好きですが
それほど特殊な思い入れはないような気がしてた。
だから、この発狂せんばかりの気持ちは自分でも意外。
砂漠でオアシスを求める旅人のようだ。
で、米については
プレーンな状態で食べるのを好みます。
つまりフリカケとか丼とか炒めたとか混ぜごはんとか
そういう工夫はあまり好みません。
厚化粧は論外として
ナチュラルメイクも不要で
スッピン好みといいますか。
変化球なしの剛球一直線！
男どアホウ藤村甲子園といいますか。
米は米！
そのままの君が好き。
というわけで
結構シゴトがテンパってる状態の中
ハリケーンのような突風に吹かれながら、
おかずを求めて夜1０時半頃に西友へ。
納豆や卵などを買ってくる。
いつもより思い入れたっぷりに
丁寧に米をとぎ、ばんめしに備える。
深夜１時近く、家人帰宅。
彼女がジャガイモとベーコンを炒めたものを作り
俺がベーコンエッグを作る。
自慢しますが、目玉焼きだけは得意料理です。
なぜなら「ファーストキッチン」でバイトしていた頃、
ベーコンエッグバーガー用の目玉焼きを
毎日何年間も、何百、何千、何万個と作り続けたからです。
華麗なフォームで２個同時に割り、
軽やかにフライパンに投入。
ジリジリとベーコンが騒ぎだし
黄金の目玉を白いベールが包みます。
フライパンにそっと蓋をし、
少しだけ水で潤いを与えます。
待つこと数分、よしもういいだろう。
今日は特にうまくできたぞ。
米もほかほかのふんわりで
ベストと言い切れる炊き具合。
深夜１時半、遂に
念願の白い米にありつくことができました！
がつがつ
むしゃむしゃ
もぐもぐもぐもぐ
んまい！
半熟の黄身と白い米が
口の中でブレンドされると最高！
至福の瞬間。
天使も笑ってらぁ。
凶暴なまでの欲望の風は止んだ。
荒れ狂っていた魂の水面にも
静かな波がかえってきた。
平和な世界に戻りハッピーエンド。
小鳥のさえずりが聞こえる。
飢えは人を詩人にさせる。
でも、まだ外の強風は止んでない。
何かを求めて、飢えているのだろうか。
早く満たされ静まることを祈ります。
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