タイトル■突刊マット
書き手 ■谷田俊太郎


マット界(プロレス・格闘技界)に関する
読み物企画です。書き手も内容もいろいろ!

>バックナンバー




<2002.3.4>
マット界の明るい未来は見えたか?


マット界、怒涛の興行ラッシュが終わったので、
メモのつもりで雑感を書きとめておきたいと思います。

あくまでも個人的な見方に終始してますので
御了承ください。

* * *
僕にとっては、2.15リングス解散以降、
自分の新しい軸となるものは見つかるのか?
これがメインテーマでした。

まずは、リングスに直接リンクする
2.24プライド19、田村vsシウバ。
結果は田村の惨敗。

田村の敗北そのものよりも、
「プライド」という「場」に対する失望を感じました。
失望=希望を失うこと。
(詳しくは「狼男の記録」に)

SRSDX誌は、表紙で
「田村完敗… 
 僕らにはPRIDEの明るい未来が見えません!
 見つけろっテメエで!」
というコピーで表現していましたが、
明るい未来は、PRIDEでは見つからない、
そんな気がして仕方がありません。

ニュートンvsペレや
ノゲイラvsヒーリングだけで
満足できる人達には
明るい未来だらけかもしれませんが…。

僕としては、桜庭、田村の逆襲だけが
唯一の希望だけれど、しかし…。

個人的に見たいカードはもう
ノゲイラvsヒョードル
のリングス王者対決だけかな?

その同日に行われた
新生・全日本プロレス第一弾。
旧プロレスに未来はあるか?
これがこの日のテーマでした。

武藤、小島、カシンの加入により、
全日本プロレスという
興行会社自体の未来は感じたけれど
旧プロレスというジャンル自体の
未来は見えなかったというのが、
率直な感想。

川田が三冠王者に返り咲いたことで
武藤、天龍と、当分は
内輪のベルト争奪を繰り広げることが
想像できてしまい、興醒め。

事情は想像できるけれど、
ここはやはり武藤が
ベルトを死守すべきだったように思います。

旧プロレスに不可欠なのは
絶対的なエースの存在。
武藤はそれに見合う素材のはず。
複数スター制は
すでに新日本が失敗してきた
歴史があるじゃないですか。

武藤を日本の“ロック様”にするくらいの
つもりで改革しないと、
本当の意味で“新生”にはならないでしょう。

長与という絶対的エースを中心に、
イキのいい若手+ベテラン・スター選手を多用し
ストーリー重視のプロレス、
というガイア・ジャパンこそ
全日本の将来的なモデルになりうると思えます。

スーパースター武藤を中心に
天龍、川田、
それに新日本に居場所を失った、
長州も引き抜いて三冠戦線に加え、
外人はゴールドバーグ、スティングら(今どこへ…?)
旧WCW勢を参入させられれば、かなり充実するはず。
それが王道プロレスなのでは?

小川がこれに加わったら
かなり面白くなるんだけど、
可能性は低いだろうなぁ。

個人的に今、最も見たいカードは
武藤vs小川。
小川にプロレスの奧深さを叩き込み、
大恥をかかせることができるのは
究極のナルシスト・武藤だけのような気がします。
猪木にさえも、いいところを出させなかった
武藤のエゴの強さや表現力に触れることが、
小川が本当の意味で「プロレスラー」に
なれる第一歩なのでは…?
(ムタvs小川戦は実に面白かった)

そんな武藤を中心としたトップ戦線に加え、
中堅勢は、小島を軸に
長井、ケア、さらには冬木や安生、ハヤブサ、
あとできたら、大谷や田中も加えられれば、
全日本はかなり面白くなるんじゃないかな?
あとは馳が若手を育成することも重要。

とにもかくにも
プアーすぎる前座をどうにかすることが
全日本の急務でしょう。

あれはお金を取って
見せるべきレベルじゃないよ。

この少し前に行われた、小橋復帰の
ノア武道館大会は見てないし、興味もないので省略。
それにしても、秋山を永田と同格の存在にして
しまったことは、ノアにとって最大のミステイク。
僕はそれで、秋山に興味を失ってしまいました。

昨年のZERO-ONE旗揚げで生まれた
秋山vs藤田のアングルこそ、生かすべきものでした。
あれは、新時代の予感を感じさせてくれた。
三沢にせよ、小川との対戦以外に興味を持てません。

で、そのZERO-ONE旗揚げ一周年記念大会。
(その前日に行われたWWFもまだ見てないので省略)

実を言うと、この興行が最も未来を感じさせてくれました。

話題に乏しく、ネームバリューに乏しい選手ばかりの
さびしい大会だっただけに、自分でも少々以外だけど。

最高とは言わないけれど、
往年の新日本プロレスの開幕戦くらいの(微妙な表現)
面白さは十分味わえた。
このメンバーでこの面白さなら、
面子次第では、蔵前クラスになることも
可能なんじゃないでしょうか?

小笠原vs崔のような試合は
総合格闘技には出せない興奮があったし、
橋本vs田中のシゴキ的な面白さも
プロレスならではの魅力。
負けた田中も十分光っていたように思う。

全員とはさすがにいかないまでも、
出場選手のモチベーションは総じて高く、
B級外人選手でもそれなりに光ってしまう
ZERO-ONEという場は、実に不思議。

何が起こってもおかしくない空気は
間違いなくあり、
プロレスの魅力を改めて
いろいろと思い出すことがきました。

これは、橋本の人徳なのでしょうか?
考えてみれば、いま世界で
唯一小川を使いこなせてる(?)
プロモーターが橋本なんですよね。

橋本のアバウトで実直な性格が
実は非常にプロレス向きで、
それによって選手達も生き生きと
自分の個性を発揮できている?

もしかすると
日本のプロレス界をたばねることが
できるのは、橋本なのでは…?
そんな気さえししてまいました。
買いかぶりすぎかな?

ただ、そんな橋本采配があったにせよ、
小川はまだ迷走中という思いは強いです。
もっと大谷と正面から向き合うくらいの
器量はやはり欲しかった気がします。

田中相手にあれだけの試合を
することができた橋本と比較すると、
試合自体でそれを表現することができなかった
小川の差は明白。

村上との抗争というアングルを
加えることでしかメインらしい試合を
作れなかった小川は表現者としては
発想が貧困すぎる。

新日本での試合よりは、
プロレスらしい試合だったけれど、
期待の大きさからすると
全然物足りない。
今後に大きな課題を残しました。

最後にK-1。

ハントvsミルコは間違いなく
総合も含めた世界最強決定戦の一環。
これにノゲイラ、シウバを加えた
4人が、今のリアル世界最強なのでしょう。

見ごたえのある試合だったし、
文句のつけようのない内容だったけれど
記憶に残る試合ではなかったです。
個人的にはドンvsケンの方が感動した。

やがて実現するかもしれない
ミルコvsシウバ、あるいはノゲイラ、
もちろん見たいけれど、
だから何なの?という気がしないでもない。
そこに日本人が絡んでいないから?

こうして考えると
結局、マット界の今後の
すべての鍵を握っているのは、
どことでもリンクできる可能性のある
唯一の人物
小川直也なのかもなぁ…。

やっぱ村上と争ってる場合じゃないよ。
目ヲ覚マシテ下サ〜イ!

で、冒頭の問題提起。
自分の新しい軸となるテーマは見つかったのか?

ZERO-ONEに予兆は感じたものの、
残念ながら、否!

探索の旅、続行ーッ!!






[トップへ]