タイトル■がんばれ!ピンク映画
書き手 ■カタリョウ・アユミ

これは、ピンク映画をとりまく人たちの
愛と青春の、そして貧乏の物語です。
でも書いているのは、フツーのOL(会社員?)。
彼女が垣間見たのは、一体どんな世界なのか?
なんだか興味シンシンなのです!

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第5回 お金がない!

準備の遅れから、
撮影の延期・再延期にみまわれた女池組も
ついに撮影に入りました。

今回の現場は、ここまでが本当に大変だった…。

実は、前回のコラムを書いた直後、
出演が決まっていたブラジル人さん(素人さん)に
キャンセルされちゃったんです。
撮影開始当日も現場でトラブルが起きて、再々延期。
ほんとうに災難続きだったのです。

普段めったに感情的になったり、
泣きごとを言ったりすることのないひろしくんが
「もう、だめかも」
と言って電話をかけてきたことでも、
大変さが伝わってきました。
「鼻水がたれてるのにも気がつかなかった」(本人談)
くらい動揺したんだそうです。

極度の睡眠不足と疲労もあったでしょうが、
精神的にかなり追いつめられていたのでしょう。

いつも、大変だとかなんだかんだ言っても
わりと無事に撮影が始まるので、
「準備の時に騒ぐのはお約束」
なんて思っていたのだけど、
ホント、映画をつくるというのは、大変な仕事。
たくさんの人の力が集まって
初めてできるものなのだなあ、と
改めて思った次第です。

それに、もうめいっぱい頑張ってる人にむかって、
「がんばって!」と言うのも
なんだか意味がないような気がして、
人を励ますのは本当に難しい、とも思いました。

励まし下手のわたしとしては、
あとは、事故やトラブルなく無事に撮影が終わり、
公開日を迎えられるように祈るだけです。

っていうか、
祈るだけですめばいいけど。

今回は、エキストラ出演あり、か?!なのです。
その時は、現場レポートをお送りしたいと思います。

さて、今回は、ピンク映画とお金の話を少し。

ピンク映画の世界は、
監督プロデューサー制といいましょうか、
制作費ほぼまるごとが、監督にポンっと渡されて、
「それを元手に1本撮ってください。」
と、なります。
制作費とひきかえにフィルムを1本納めるんですね。

監督のギャラは…
監督次第です。

俳優さんやスタッフのギャラも…
監督次第。
いや、チーフ助監督次第、かな。

そもそもピンク映画の制作費はいくらか、というと、
大体300万〜350万円がスタンダードです。
(制作会社によって多少違うらしい)
で、この金額は、
草創期の60年代から変わっていない、と言われています。

60年代、といえば
1ドルは360円だし、
チキンラーメンは25円。
うちのママ(現在、52歳)なんて、まだ高校生!

そのころから同じなんだそうですよ。
しぇー!(←60年代のギャグ?)ですよね。

ビデオ化が決まっていたり、とか
もともとのバジェットが大きい場合は
もう少し予算がつくこともあるけど、
邦画、それも商業映画全体で見れば、
ぶっちぎりの超・低予算であることは疑いようもありません。

一般的に低予算といわれる映画や
最近流行りのデジタルビデオ映画や、自主制作映画だって、
1000万円から数千万円はかけている。
ぴあフィルムフェスティバルで優勝した後に
もらえる制作費も、確か2000万円だったし。

詳しいデータとかがないので根拠はありませんが、
邦画(商業映画)全体の制作費の平均は
2、3億円くらいと思います。
一般映画は2時間ものがフツウだから、
その半分だとしても(ピンク映画は1時間がフツウ)
1億ですよ、1億。

ちなみに、ハリウッドでは
制作費の平均は約65億円くらいだそうですよ。
有名どころでは
『タイタニック』は約260億円!!
『パールハーバー』は約200億円!!
日韓合作が話題の『ソウル』だって約10億円というから、
ハリウッドっていうヤツはすごいんですねぇ。

ところで
映画の制作費ってなんでそんなにかかるのよ、と
なかなか理解できないところもあるかもしれませんが。
わたしが学生時代に自主制作していたものでさえ、
300万円くらいはかかってたんですよ。

脚本を書くための準備・打合せをし、
ロケをするための準備・打合せをし、
カメラや特機(クレーンとか)を借りて、
役者さん(の卵)にお礼程度のギャラを払い、
テープを買って、
機材車を用意し、
現場でのスタッフの足・宿・ごはんを賄い、
編集室を借り、
作品を上映→ビデオにダビングする。

フィルムに比べてテープも編集室も安価なビデオで、
撮影場所を無料で貸してもらって、
衣裳、小道具は自前で用意し、
スタッフがノーギャラだったりしても、です。

そんなわけで、300万円でできることは
とっても限られているので、
足りない分は監督が
「持ち出し」=自腹を切って制作費を工面する
ことになります。

つまり、撮れば撮るほど借金が増える、という
フシギな現象が珍しくないのです。
コワイですね〜。

それでも、
みなさん、借金については
あんまり深刻な感じじゃない(ように見える)のは、
やっぱり、映画が撮れる、という
チャンスや喜びにはかえられないからなんでしょう。

ただ、今回のようにロケがトラブると、
 →日程が延びる
 →機材、役者さんを拘束しなくてはいけない
 →ただでさえ足りない制作費が足りなくなる
 →スタッフのギャラを減らして補填する

んー。
今回は、ひろしくんから借金の申し込みがありそうです。


(つづく)




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