タイトル■がんばれ!ピンク映画
書き手 ■カタリョウ・アユミ
これは、ピンク映画をとりまく人たちの
愛と青春の、そして貧乏の物語です。
でも書いているのは、フツーのOL(会社員?)。
彼女が垣間見たのは、一体どんな世界なのか?
なんだか興味シンシンなのです!
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第11回 チャンピオンカーニバルを楽しもう!
〜その3 “P−1グランプリ”のはじまり〜
中野で行われている
P−1グランプリ チャンピオンカーニバルも
いよいよあと1週間。そこで、これから見に行く方も、
今回は行かれない方も、予備知識をば。「世代闘争」といえば
格闘技の世界ではお馴染みのストーリー。
世代闘争を繰り返しながら、
ニューヒーローが誕生していますよね。そんな世代闘争の嵐が
今、ピンク映画の世界でも巻き起こっているのです。しかけたのは、
90年代後半にデビューした若手監督を中心とする、
その名も、誰が言ったか「七福神」!
上野俊哉、今岡信治、鎌田義孝、榎本敏郎
田尻祐司、女池 充、坂本 礼迎え撃つのは、
90年代初頭にピンク映画のニューウェーブをつくり、
現在は円熟期を迎えつつある「四天王」!
佐藤寿保、佐野和宏、瀬々敬久、サトウトシキ世代闘争勃発のきっかけは
ピンク映画のアカデミー賞、ピンク映画大賞の
99年の授賞式でした。この年、作品賞の第一位に輝いたのは
『OLの愛汁・ラブジュース』(新東宝/99)
監督:田尻裕司 脚本::武田浩介
出演:久保田あづみ、佐藤幹雄、林由美香
28歳のトモミは、6年付き合った男に突然振られた夜、
終電を乗り過ごしてしまい、20歳のタカオと出会う。
クールぶって他人との距離を置きたがるタカオを
なんとなく受け入れてしまうトモミ。
でも、2人の気持ちは微妙にすれ違って…。この映画は、ピンク映画です。
でも、ピンク映画として成立させるために、
本当は無くてもいい性描写が
「おまけ」のようにたくんさんある、
という映画では決してありません。性描写そのものが、
2人の距離や心の中を表現するための
重要な要素になっているので、
とても純粋で、普遍的な、“ラブストーリー”として
素直に楽しめる作品です。そのために、一般映画に混じって賞をとったり、
海外の映画祭に招待されたり、
ピンク映画の枠を超えて、高く評価されました。いい意味でピンク映画っぽくないから、
女の人にも、ぜひ見てほしい!新宿TSUTAYAでは、
アダルトコーナーでなく邦画コーナーに置いてあるので
女性でも借りられますよ。(わたしも借りた)
ただ、タイトルが、
『はたらくお姉さま アフター5は我慢できない』
と、ちょっと恥ずかしいので
すばやく棚から離れるのがベターでしょう。というわけで、
リアルなシナリオと丁寧な演出が高く評価されての
新世代・田尻監督の堂々の受賞に、
すわ世代交代か、という空気が高まりました。それに異を唱えたのが
四天王の一人で、ヒゲの強面・瀬々敬久監督!同年ピンク映画大賞第2位という
辛酸をなめた瀬々監督は、
「こんなやつに、ワシが負けるわけないんじゃ!」
と、受賞イベントの舞台上で
田尻監督にローキック一閃!!
乱闘騒ぎに発展してしまいました。(←実話)そして、そして!
「こうなったら、誰が一番強いのか、
ガチンコ勝負じゃ!」
と、この前代未聞の映画バトル
“P−1グランプリ”の開催が決定したのでした。はじめのうちは、
「映画で勝負をするなんてナンセンス」とか
異議や違和感をもつ関係者の方も
いらしたように聞きました。でも、とにかく
フツウの映画館で、
1度にたくさんの(それも上質の)、
ピンク映画が見られる!となれば、
ピンク映画の存在をアピールする、
絶好の機会には違いありません。かくして、
“七福神”の若い監督さんたち自らが実行委員となり、
2000年7月22日〜28日
中野武蔵野ホールにて
「P−1グランプリ」は開催されたのでした。
※参加監督と作品は一番下に前にも書いたとおり、ルールは簡単。
1回の上映で、対抗する2作品がかかります。
で、どちらが強いか(=面白かったか)を観客が投票し、
たくさん票を集めた方がトーナメントを勝ち進む、
というわけです。ワタシは、会場スタッフとして参加した
ひろしくんにくっついていって、
初日の2戦
サトウトシキ VS 坂本礼
佐藤寿保 VS 今岡信治
を観戦→投票。なんと、偶然にも
佐藤監督作品以外の3本に
ひろしくんが助監督として参加。
わたし的には、ひろしくんの仕事の成果を見る
よい機会となりました。上映後には、
リングにみたてた特設ステージで
監督同士のトークバトルが行われました。
観客を目の前にしてのトークバトルは
作品同様、もしくはそれ以上に
投票に影響を与えます。ところが、新世代の監督は、
かつて自分が助監督としてついて
苦楽をともにした作品と対抗しているわけで・・・。
加えて自己主張のうまい四天王に、
苦戦を強いられているように見えました。でも、トーナメントに波乱はつきもの。
世代闘争の火付け役、瀬々監督が
新世代の国沢実監督に初戦で敗れる番狂わせあり。もう一人の火付け役、田尻監督も
準決勝で負けてしまい、
「優勝できなかったら坊主になる!」という
事前の宣言通り、坊主にされてしまいました。注目の決勝戦は、
サトウトシキ VS 今岡信治 !!今岡監督の『愛欲みだれ妻』には、
キムタク・松たか子主演の怪物ドラマ『HERO』に
謎の「あるよ」のバーテン役でプチブレイク!
する前の、
俳優・田中要次さんが出演しています。田中要次さんは、
今岡監督の応援にかけつけてくれて
トークバトルにも参戦。
リングに上がるときには、ロープにひっかかって
ナチュラルにコケてしまったお茶目な方でした。この時の今岡さんは、
アテネフランセの「新・作家主義列伝」で特集上映されて
アテネの観客動員記録を塗り替えた直後。
四天王打破の最右翼、と期待されていました。当時、ひろしくんが今岡監督と
一緒に住んでいたこともあって
わたしも応援していたのですが…。サトウトシキ監督が初代チャンピオンに輝きました。
でも、この2本はどちらも面白いので
わたしも、もし決勝戦を見に行っていたら
どっちに投票するか、本当に迷ったと思う。というわけで、
結局、一番の目標であった世代交代、
ニューリーダーの誕生、
には至らなかったわけですが。夏休み、ということに加えて、
乱一世を送りこんでの
“トゥナイト2”の取材効果もあって
連日、たくさんのお客さんがきてくれたり。加えて、連日たくさんの女優さん、俳優さんが
応援に駆けつけてくれたり。暑い、夏の大会にも関わらず燕尾服を着て司会をし、
お客さんにお礼を言う女池充監督。
初めてのHPづくりに悪戦苦闘していた坂本監督。
俳優なのに、なぜか“P1Tシャツ”(手作り)を売り、
対戦結果をHPで報告する、川瀬陽太さん。
その他、たくさんのスタッフの方々の努力には
大変なものがありました。世代闘争から始まったP−1は、
ピンク映画を盛り上げよう!という想いのつまった、
楽しいお祭りとなって幕を閉じたのでした。
(つづく)*******************************************
“P−1 GRAND PRIX 2000”参加作品
(第1回戦組合せ)アナーキー・イン・じゃぱんすけ 見られてイク女(瀬々敬久)
女子プロ志願 乳固め卍くずし(国沢実)女痴漢捜査官3 恥情のテクニック(渡邊元嗣)
OLの愛汁 ラブジュース(田尻裕司)熟女のはらわた 真紅の裂け目(佐野和宏)
不倫妻 情炎(女池充)したがる兄嫁2 淫らな戯れ(上野俊哉)
あぶない情事 獣のしたたり(鎌田義孝)超いんらん 姉妹どんぶり(池島ゆたか)
悶絶大回転 ひと晩に何度でも(榎本敏郎)すけべ妻 夫の留守に(佐藤寿保)
愛欲みだれ妻(今岡信治)エクスタシーの涙 恥淫(大木裕之)
発情娘 糸ひき生下着(吉行由実)団地妻 不倫でラブラブ(サトウトシキ)
セックスフレンド 濡れざかり(坂本礼)
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