タイトル■がんばれ!ピンク映画
書き手 ■カタリョウ・アユミ

これは、ピンク映画をとりまく人たちの
愛と青春の、そして貧乏の物語です。
でも書いているのは、フツーのOL(会社員?)。
彼女が垣間見たのは、一体どんな世界なのか?
なんだか興味シンシンなのです!

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第14回 仕事は寝て待て?!

人事異動のおかげか、
4月に入ってから、
フレッシュ気分のわたしに比べて
ひろしくんは、
だらだら〜っとした毎日を送っていました。

やっと、今は、
2002年2本目のお仕事、
今岡信治監督のVシネマ作品に
助監督としてついています。
キャスティング(オーディション)したり、
スケジュールをたてたり、と
毎日スタッフルームに通って
比較的忙しくしているようです。

そして、
4月20日から撮影が開始されるので、
週末から来週の中ごろまでは、
ほとんど相手にしてもらえない日々となります。

わたしはサラリーマンなので、
ひろしが暇にしていても
平日は相手をしてあげられないし、
昼夜逆転した生活のせいで
週末の日中、ずっと寝ていられるのも困るので
もっと普通に仕事をしていてほしいのですが、
なかなかそうもいきません。

季節労働者のようだね、とか
付き合うのが大変そう、とか
友達には言われます。
でもまあ、
会えない時期がある、というのは
新鮮な気分が保てるし、
自分の時間ももてるし、
慣れてしまえばなかなかよいものです。

さて、前回の仕事、
女池監督の『ぶーやん』が終わってから
今回の仕事が決まるまで1ヶ月以上が
経過してしまいました。

その間のひろしは、というと、
毎日おうちでダラダラっとしながら、
いつくるともわからないオファーを待つ日々。

そもそも、仕事を「待っていた」のかすら、
アヤシイほどのダラケぶりでした。
ひろしは、もともと社交的な方ではないので
自分から営業して
(つまり電話をかけたり、出向いていったりして)
仕事を見つけてきたりすることは
まずありません。

それでも、
どこからともなく仕事が舞いこんでくるから
フリーの世界は不思議です。

プロデューサーさんや監督さんたちと
飲みに行ったり
顔をあわせたりすることが、
情報交換になっているんでしょうかねー。

今回のオファーは、
今岡さんが脚本を書いていた3月ごろから
なんとなくあったみたい。

数々の名作の脚本が生み出されたジョナサンで
新作の脚本を書いている、という今岡さんを
二人で激励に行ったり。
(「才能が枯渇しているぅ〜」と苦悶していた)

兄妹の話を書きたいので
モチーフになるお話を探している、というので
村上春樹の『ファミリー・アフェア』を紹介したり。

最終的に参考にされているかは知らないけど、
今岡さんは『神の子どもたちははみな踊る』を
気に入っていたので。
ちなみにわたしは、ハルキ好きです。

そうこうしているうちに、
今岡さん 「お前ヒマなの?」
ひろし   「まあ・・・」
今岡さん 「じゃあ、やる?」
ひろし   「はあ・・・」

というわけで、
撮るときは(助監督として)ついてね、
ということになったようです。

仕事を選べるほど、ビックじゃないだろ?
「はあ・・・」ってなんだよ?!
仕事がいつでもむこうから
笑顔で手を振ってやってくるのならいいけれど。
と思いつつ。
仕事を選ばないで受けるのも
やっぱり。ねえ。

どんな作品でも現場は大変なわけだから
どうせやるなら、いい作品、
自分がやりたいと思える作品を、
と考えるのは、
決して特別なことではないと思うし。

普通のサラリーマンであるわたしからすると、
好きなことをやってる人たちには
そういうこだわりは、捨ててほしくない。
なんて思ってしまうのです。

わたしは今岡さんを勝手に信頼しているので
結果的にはいい選択だったと思います。

ただ、「やる」ということは早々に決まったものの
インする日が決まらなかったので、
わたし的には、かなりやきもきしました。

生活費も底をついていたし、
もっと条件のいい仕事が入ってくるとも
限らないわけですし。

でも、一貫して「焦らず・騒がず」のひろし。

助監督に必要なのは、
仕事を選ぶ選球眼と
仕事を寝て待つ余裕?!
なのかもしれません。



(つづく)






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