タイトル■がんばれ!ピンク映画
書き手 ■カタリョウ・アユミ

これは、ピンク映画をとりまく人たちの
愛と青春の、そして貧乏の物語です。
でも書いているのは、フツーのOL(会社員?)。
彼女が垣間見たのは、一体どんな世界なのか?
なんだか興味シンシンなのです!

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第15回  上映会に行きました 
      〜その1「今、幸せかい?」〜

4/18(木)にアップリンクファクトリーで行われた
DVDリリース記念の上映会に行ってきました。

以下、レポートです!

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アップリンクのビルの狭いEVホールの前で、
女池監督とばったり会った。
一緒に会場に入ると、
今日の主役、今岡、田尻両監督の他に
坂本監督、俳優・川瀬陽太さん、
今日上映される2本を制作した会社・国映の
プロデューサー朝倉大介氏の姿が。

みなさんにご挨拶すると、
坂本くん 「律儀やな〜」
朝倉氏  「一人で来たのかい?・・・ばかだねぇ」
と呆れられた。

会場は、ほぼ満席。
男女比は5:5くらいか、やや男性が多いかな。
年齢層は、20代後半から30代後半くらいを中心に
学生風の人やおじさんもいました。

わたしは、アップリンクは初めてだったんですが
狼男さんのいうように、
おしゃれなカフェ風、というかサロン風?
感じのいい場所でした。
渋谷の中でも、神南の静かなところにあるのもいいですよね。
わたし的には、椅子がギシギシして座りにくかったのが
難点といえば難点か、と・・・

1本目は 『姉妹OL 抱きしめたい』(01/新東宝)
      監督:田尻裕司  脚本:西田直子
       出演:金井悦子、中川真緒、足立建夫、乱孝寿

姉・葉子は、チャットで知り合った相手たちと、
割り切った付き合いを繰り返し、
仕事人間で定年間近の父親とも
キッチンドランカーの母親とも、
好きな仕事をし、幸せな結婚生活を送っている妹・香とも、
疎遠な毎日をすごしている。

母親が、突然家出をした朝から物語が始まり、
それぞれの悩みや迷いを乗り越えて
家族が新しい一歩を踏み出すまでの物語。

葉子は、「家族」や「愛情」を信じてないのか、
相手の顔を見てセックスしようとしない。
相手の名前も聞かないし、
自分の名前を教えることもない。

多分、すごく寂しいのに
他人とつながろうとしない、葉子の姿が
なんだか切ない。

酔っ払って怪我をした母親を迎えに
病院に駆けつける父親。
黙って家出をし、アル中であることを知ったにも関わらず、
「生きていてよかった」と喜んで
優しく母親を抱き寄せる。

不仲のように見えていたのに、
深いところでつながっている両親の姿。
そんな両親に
「おまえ、いま、幸せなのかい?」と
語りかけれられて、
切ない表情のまま
ただ、小さくうなずくことしかできない葉子・・・

このシーンで、
わたしは、ピンク映画で初めて
泣いてしまいました。

妹の香は、幸せな夫婦生活を送ってるように見えて
夫が突然、仕事を辞めて農家をやりたい、
と言い始めて、戸惑う。
仕事を辞めてついていくのか・・・?

結果的に、葉子に重点がおかれてしまって、
香が最後の決断に至るまでの葛藤が
あっさりしてしまったのが残念だったかなー。

母親が家に戻ってきた後の
両親のセックスシーンも、いいシーン。
「できるかしら?」と不安がる妻に
「ゆっくりやっていけばいいさ」と語りかける夫。
それは、ふたりの人生についても言っているようで。

なんか、両親のセックスをのぞき見てしまったような
気まずさなんかよりも、
年老いてなお、寄り添える夫婦になりたい。
そんな風に思わずにいられない、
じんわり感動するシーンでした。

母親役の乱孝寿さんという女優さんは、
1960年代に若松孝次監督の作品に
出演していた方なんだそうです。
今は女優をしていない上に、
性描写、裸のシーンのある役柄だったので、
出演の承諾を得るまでは、大変だったそうです。

田尻監督は、
自身もあまり家族と仲がよくなかったそう。
久しぶりに上京してきて
身の回りの世話をしてくれた母上に、
「今、幸せかい?」
と聞かれて
うまく答えられなかったことが、
この作品を作るきっかけになった、と言ってました。

今岡監督は、後のトークで
「東芝日曜劇場みたいな話やなー、と思った」
と評してましたが、
すごくいい脚本であった、とのこと。
「オレもああいういいホンがありゃ、なあ?」
と言っていました。
ちなみに今岡監督は、自分で脚本を書いてます・・・。



(つづく)






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