タイトル■定義は最高!
話し手 ■ターザン山本 

元週刊プロレスのカリスマ編集長、
プロレスファン以外には「未知の強豪」、
そして自画自賛大王のターザン山本さんが
世の中の様々な言葉をズバッと定義!
言葉を定義すると、現実はより鮮明に、
より豊かになるのだ!定義は最高!!

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■■ 第1章 愛 ■■

<05> 女の人が男の人を好きになるのがベストな状態!

山本  「好き」は
    「女」と「子」とも読めるから
    視覚的なイメージとしても
    オレは「愛」よりもはるかに好きだねぇ!

    「愛」には視覚的イメージがないもん、あの字には。

谷田   確かに何を意味してるのか
     字からは読みとれませんね。

山本   わかんないよ!
     「好き」というのはシンプルだもん、
     漢字そのものが。

     で、「愛」というのは音読み、
     「好き」というのは、訓読みでしょ?
     オレは音読みより、訓読みの方が
     好きなんだよね。

     それに「好き」には「き」という
     平仮名がついてるでしょ?
     語感的にも好きなんだよ。

谷田   「愛」って言葉がダメだ!と思い始めた
     理由は何かあるんですか?

山本   まずひとつは!

     …照れくせぇもんな。

谷田   (笑)

山本   照れ、ですよ。
     照れるわけよ!

     照れるということで、ボクは拒否してるわけよ。

     ボクは、「照れ」というのは
     日本人の中で重要な感情だと思ってるんだよ。

     その「照れる」という時点で
     ボクは「愛」という言葉はNGなんだよ。

     オレの中では「愛」の反対は「照れる」だよ。

谷田   たしかに恥ずかしくて
     日常会話に使えない言葉ですもんね(笑)

山本   使えませんよ、そんなもん!
     使ったら、自分に対して、恥じちゃうよぉ!
    
     「愛してます」とは言えない、オレ。
     「キミのこと好きだよ」とは言えるけどさぁ。
     (むしゃむしゃ)

      「片思い」というのは
      一種の照れの感情だからね。

      だから、自分の中で炎を
      ほの暗く燃やしているしかないわけよ。
      照れてるから。

      だからその燃やしているものが
      届いてくれたらいいな、って感情だよ。

谷田    山本さんは恋愛には積極的な方なんですか?

山本    最初に自分の方から片思いするよね?

      この子、好きだな、
      友達になれたらいいな、とか
      恋人になれたらいいな、とか
      そういう感情を持ったとするでしょ?
 
      ピッ!と片思いの感情が成立するわけじゃない?
      ね?

      それをまず伝達するよりも、
      相手が俺に対して片思いの感情を持っているかどうかを
      まず確認するよ!
      
      で、その感情が確認できたら
      一気にいくよ、おれは!!!

谷田    確認というのは、直接的に?

山本    勘!

      話していたりするときの「かんじ」ですよ!
      相手の中に「片思いの炎」が見えるかどうかだよ。

      見えたら!もうオレは一気にゴーサインだと思う!!

      それががなくて、向こうがこちらを見てたり、
      ある種の駆け引きとか計算で
      向こうが観察してるという段階では、
      オレは成就しない片思いで終わるわけ。

      だからオレにとって最も重要なのは、
      相手が俺を好きになってくれるかどうか!
      これがすべてだよ!

谷田    相手が片思いしてくれるかどうか?

山本    うん、片思いしてしてくれるか、
      リスペクトしてくれるかどうか。

      リスペクトして、さらに
      好きだという感情があったら、
      ボクにとってベストなんですよ。

谷田    それは僕もそうですよ(笑)

山本    でも、ボクが自分で片思いしているだけでも、
      好きになるということは
      重要で意外なことなので、
      「ベター」な状態なんですよ。

      「ベスト」な状態にはいかないわけ、
      なかなか(笑)
      
      ベターからベストにはいかないわけよぉ!!

谷田    気持ち、こもってますね(笑)
 
山本    ベターな状態はいくらでもあるわけ。
      このコ好きだなーとか、いいなー、とか
      オレは認めるわけよね。

      好きだということは
      相手のいいところを発見することなわけ。
      気づくわけじゃない?

      相手のいいところに気づくから
      好きだという感情になるわけ、ボクの場合。
 
      モノにしてやる、とか
      ああいう感情じゃないんだよ、オレは。

      要するに露骨な言葉でいうと
      エッチしたい、とか、
      そういう感情じゃないんだよね。

      生きていて、
      人を好きになるというベターな感情は
      なければいけないと思うんだよね。

      それが相手もそう思ってくれて
      (恋愛が)成立するってことは
      なかなかないわけよぉ。
      
谷田    難しいですよねぇ…。

山本    超難しいよ!

      でも一番いいのは、
      女の人が男の人を好きになってくれると、
      いっちばん!(力を込めて)
      いいのよぉ。
    
      うん。

      野郎はなんでもかんでも
      好きになっても
      一種のオスの感情が入ってるわけよ。

      オスという存在感の中で
      好きという感情が重なってるわけよ。
      だから、なかなか純化された
      「好き」ってのが難しいのよ。

谷田    あー、なるほど

山本    オスだから、野郎だから
      「犯したい」とか「やりたい」とかいう
      感情が必ずダブってるからね。

      だから完璧にイノセントとはいえないんだよね。

      濁ってるからいい、ってこともあるんだけど。
      ダブってるから、戦うんだよね、
      オスの肉欲みたいなものとね。

      でも、女の人の場合は
      メスの感情とは違うと思うんだよねぇ。

      だから女の人が男の人を好きになるというのが
      一番いい状態なんですよ!

(つづく)
      
     



ターザン山本

本名:山本隆司。1946年山口県生まれ。
「週刊プロレス」編集長としてプロレスファン
の間ではカリスマ的な存在として君臨。
公称40万部という驚異的な販売部数を記録した。
96年退社。現在はフリーとして各誌に連載を持つ傍ら、
フリーライター養成講座「一揆塾」を主宰。
また“最強の有料ウェブマガジン”
「マイナーパワー」を発行している。
人気コンテンツ「往生際日記は」、
浅草キッドさんのHP「キッドリターン」にも
転載されていて、無料で読むことができる。
狼ガガ主宰者お気に入りの映画批評サイト
「映画を語ろう」も必読!


■「とあるウェブマガジン準備号」時代の連載
「自画自賛王・ターザン山本、参上!」こちら!






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