タイトル■定義は最高!
話し手 ■ターザン山本
元週刊プロレスのカリスマ編集長、
プロレスファン以外には「未知の強豪」、
そして自画自賛大王のターザン山本さんが
世の中の様々な言葉をズバッと定義!
言葉を定義すると、現実はより鮮明に、
より豊かになるのだ!定義は最高!!
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■■ 第2章 青春 ■■
<05> 墓穴の歴史だよ、20世紀は!!!谷田 9.11テロも長嶋監督の退陣も
20世紀の終わりを象徴してたんですねぇ。じゃあ、今はもう21世紀になってしまいました。
でも、今がどんな時代なのかってことは
まだ誰も説明してないし、できない状況だと思うんですが、
山本さんはどんな風に考えてます?山本 それはまだ要するにさぁ、
資本主義がオレたちにもたらしている
プラスの面ってあるよね。
資本主義っては、欲望と快楽を追求する世界だし、
競争原理をうったえる世界だよね。競争原理っていうのは、勝った負けたっていうことで
人間っていうのはそれに興奮してくよね。
快楽を追求するってのも、善なわけだよ。
それもなんていうかさぁ、
人間のDNAを刺激するよねぇ?資本主義ってのはさぁ、そういった意味では
要するに、人間のDNAをエキサイトさせるさぁ
構造をものすごい持ってるわけですよ!
爆発的に!20世紀っていうの、そういう資本主義が大爆発した、
ビッグバンした時代なんだよね!でも、あまりにも欲望や快楽が拡大しすぎた結果、
収拾がつかなくなったんだよね。一旦それを味わったら、どうしようもないわけじゃない?
それをどうしたらいいかということには
オレも答が見つからないんだけどさぁ。
わかんないよ。谷田 否定はできるけれど、次の何かはまだ見つからない?
山本 20世紀の三大偉人というか巨人がいるんだよね。
まずマルクスですよ。
打倒資本主義で共産主義を唱えたね。
でもこれは早いうちに崩壊してしまったんだよね(笑)!
20世紀のうちに崩壊してしまったんですよ。
あっけなくね。オレはマルクスを研究したことはないけどさぁ、
なんらかの真実はそこにあると思うんですよ。
唯物論という、存在が意識を決定するというのはね。もう一人は、フロイトですよ!
人間が持っている自意識というのを
ものすごく解明していったでしょ?それは何をもたらしたかというと、
自意識を研究することで、逆に袋小路にハマったというかね(笑)
フロイトの発見というのはさぁ
人間がわかりすぎない状態で安定していた意識を
ものすごく複雑にしたよね?あれもさぁ、快楽の原則みたいなもので
ビャー!!って自意識をビッグバンさせたわけですよ。もう一人は、アインシュタイン。
宇宙とは何かというさぁ形でさぁ、
原爆とか発見していったわけでしょ?
それで、今も宇宙とは何かとかを快楽的に研究していってるよね?
そんなもん知る必要あるのか!!!
と思うわけ、オレからしたら。そんな科学の進歩による宇宙論なんて
知る必要があるのかってさぁ。で、フロイトみたいに
人間の心理っていうものも
そんなに深く研究する必要あるのか!!
と思うわけよ。谷田 たしかに(笑)
山本 そうすると、そういうのがない、
神話とか童話とかで過ごしていた時代の方が
よっぽど面白かったんじゃないかって思うんだよ。でも、もう元には戻れないよね。
この3人の巨大な知の思想とかをさぁ、
どうオレたちは考えていったらいいのか?と
原点に戻らなきゃいけないんだよね、21世紀は。21世紀はもっとコンピュータなんかも発達するし、
もっといろいろなことがわかってきて、
遺伝子のことなんかもわかってきて、
宇宙のこともどんどんわかってくるよね?
でも、そんなことわかる必要あるのか?
と思ってねぇ。谷田 知らなくて何も困らないぞ!と思いますよね(笑)
山本 そうですよ、わかってどうなるのよ?
墓穴を掘るよ!墓穴の歴史だよ、2o世紀は!!!(笑)
谷田 あははは!
山本 要するに、最初に20世紀に挑戦したのが
マルクスだと思うんだよね。
20世紀的なものを克服しようとしたから。そういった意味で、マルクスは
偉大だと思うんだよね。
失敗したけどさぁ。オレもよくわかんないんだけどね、
この3人が20世紀の元を作ってるよ。谷田 人間っていうものは、そうやって前にしか進めなくて、
立ち止まったりできない不便さを感じるんですよね。山本 ボク自身も快楽が好きだしあさぁ、
競争することも好きだし、宇宙のことも知りたいしさぁ
人間のことも全部知りたいんだよ、ハッキリ言ってさぁ!でも、今のボクは、
そんなものは捨てて、自分の小さな空間、
生活でさぁ、良寛のように生きたいなという
回帰現象が起きてるんだよね。食えるものがあって、人と会えて、
それでいいじゃないかって回帰現象がさぁ!谷田 今までの快楽至上主義みたいなものに
ウンザリしてきたんですかね?山本 どこかでストップかけてるわけ。
なぜかというと、死を意識したから。
死というものを意識した場合、そんなものは何の役にもたたない。
死という視点で見ると、
この世の中、時間や空間が、パっと見えたわけ、オレは。これは一瞬だな、生命というものは、と。
だから、春夏秋冬という時間があって、
毎日があって、こういう空間があって、
それ以上のものは望まない、オレは!…とね谷田 限りある生を全うできれば満足?
山本 いや、もう生きていることだけで十分だよ。
自分という存在が死に至るということがわかったから。死というものを横に置いて考えた場合、
それだけでいい!となったわけよ。谷田 それは最近、気づいたことなんですか?
山本 最近だよ。年とったこともあるかもわからんね。
だから、何かにブレーキをかけたんだよね、
自分の中で。(つづく)
■ターザン山本
本名:山本隆司。1946年山口県生まれ。
「週刊プロレス」編集長としてプロレスファン
の間ではカリスマ的な存在として君臨。
公称40万部という驚異的な販売部数を記録した。
96年退社。現在はフリーとして各誌に連載を持つ傍ら、
フリーライター養成講座「一揆塾」を主宰。
また“最強の有料ウェブマガジン”
「マイナーパワー」を発行している。
人気コンテンツ「往生際日記は」、
浅草キッドさんのHP「キッドリターン」にも
転載されていて、無料で読むことができる。
狼ガガ主宰者お気に入りの映画批評サイト
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■「とあるウェブマガジン準備号」時代の連載
「自画自賛王・ターザン山本、参上!」はこちら!
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