タイトル■もう鳥しか愛せない
書き手 ■タッキー

鳥大好き人間(♀)による、とり日記。
本人いわく「鳥に対する熱すぎて
誰にも理解できないような想い」
を綴ってくれます。

>バックナンバー


第6羽「はじめての探鳥会!」

みなさん「探鳥会」という言葉を知っていますか?
鳥好きが集まって、ただ鳥を見る会です。

鳥仲間がひとりもいなかったある日、
このような会があることをネットで初めて知りました。
2年くらい前です。
でも集団行動って嫌いだし、人づきあいも面倒だし
みすみす面倒な所に飛び込んでいくのもなあ……
と、ずっと行くのをためらっていました。
でもずっと気にはなっていたのです。
そんなある日のことでした。
こんな回覧板が家に回ってきたのです。

---
10月28日(日)
「三番瀬クリーンナップ大作戦」

三番瀬のゴミ拾いをしよう!
ゴミ拾いのあと自然観察会、探鳥会つき

---

三番瀬というのは私の地元・船橋の海で
東京湾の最奥部にのこった干潟です。
ここはずっと前から埋め立ての計画があって
市民や環境保護団体の反対運動がおきている場所です。
埋め立てが進んだ東京湾には
もう渡り鳥が来るような干潟があまり残ってないのです。
三番瀬は渡り鳥の大事な休息地。
そんな大事な三番瀬のお掃除ってことなら行ってみようかな!
て感じで、ぷらっと1人でいってみることにしました。

たいして参加者なんていないんだろうなあ…
と思ったら大間違い!
1000人以上の人がゴミ拾いに集まっていたのです!
パッと見たら人間がゴミのようでした。

受け付けで名前を書いて、
ゴミ入れ用のビニール袋をもらい海へ出ました。
浜にはたくさんのゴミが落ちていて、
わたしはそれを拾いながら
「こうして拾う人もいれば、捨てる人も確実にいるんだ」
とちょっと複雑な気持ちになっていました。
そして、その捨てる人は
いつまでたっても捨てる人でいるような気がしました。
じゃあ私はいつまでたっても
拾う人でいてやろうと思いました。
そして私ってえらいなと、ちょっと思いました。

小一時間ほどのゴミ拾いがおわり、いよいよ探鳥会です!
参加希望者に集合がかかり集まると、
「千葉県野鳥の会」という腕章をつけた
本気っぽい人たちが7・8人、
本気の望遠鏡を携えて集まっていました。
参加者は全部で10人くらい。
小学生やおばさんや、見るからに初心者っぽい人たちでした。
私も一応双眼鏡を持ってきてはいたけど
私は手にかくれるくらい小さくてショボいやつでした。
見るからに初心者です。

人数があつまり、干潟にでると
まずは野鳥の会のリーダーっぽいおじさんが
カモの説明を始めました。
「あの沖のほうに黒く見えるのがスズガモです。
シベリアから船橋にやってきてここで冬を越して
またシベリアに帰って繁殖します」
……え?沖に黒く?
……うそーーー!
そう言われれば沖が黒いよ!
それはまるで沖にぽっかり浮いた島のようでした!
その数約5万羽!
野鳥の会の人の本気の望遠鏡でのぞいたら
せっせともぐってエサをとっているスズガモが
よく観察できました。
それにしても5万羽かあ…!
どうなってんだろう。
私は信じられない思いでした。

そして干潟の干上がったところでは
何千羽ものハマシギという小さな渡り鳥が
長いくちばしをせっせと穴に差し込んで
ゴカイやカニを捕っていました。
このハマシギも冬に船橋にやってきて、
初夏にはシベリアに渡り繁殖をするのだそうです。

わたしはちょっとショックでした。
どうしてずっと船橋に住んでいて
こんなにたくさんの渡り鳥がすぐ近くに来ていることを
知らなかったんだろう、と。
前に潮干狩りに来たことはあったけど
鳥なんか見ていませんでした。
アサリばっかり見てて。

その日の夜、わたしは布団にはいって
今、それほど遠くない海にいる5万羽のスズガモと
数千のハマシギのことを思っていました。
そして、あの鳥たちに絶対また会いたい!
と強く思っていました。

そして早くも翌週、
私の野鳥の会デビューへと続きます。
そのへんはまた次回!

●豆知識●----------------------------------------
渡り鳥にはシベリアなど北のほうで繁殖する鳥が
だんぜん多いのです。
なぜなら、エサが豊富だからです!
その時期のシベリアは爆発的に虫が発生するのだそうです。
だからいくら遠くてもはるばる海を越えて
繁殖のために北をめざすのです。
-------------------------------------------------

(2002.2.16)  




[タッキーの自己紹介]

[トップへ]