タイトル■とるしえの実験室
     
〜怒濤のワールドウイニングイレブン6はW杯の夢を見る、のか?〜
書き手 ■
ロビー田中

サッカーのコンテンツです。このコラムでは
「ワールドウィニングイレブン6」というゲ
ームを使ってシミュレーションしながら日本
代表の戦い方を占ってみたりします。またサ
ッカーに関するいろいろな投稿も募集してい
ます。いろいろの人の参加、お待ちしてます!


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第2回 中村俊輔はW杯のピッチに立てるのか?

多少なりとも
日本のサッカーシーンを知っている人にとって
今もっとも気になっているのは
中村俊輔の存在でしょう。

中村俊輔というのは
横浜Mマリノスというチームに所属している
高い技術を持った左利きのミッドフィルダーです。

その実力は誰しもが認めていますが、
トルシエはずっと彼を日本代表のレギュラーとは
考えていませんでした。

中田や小野といった才能あるプレイヤーが
同じようなポジションにいたということもありますが、
もうひとつの理由が彼のフィジカルの弱さです。

要するに、相手選手にガンガン当たられると
その実力を発揮できないという
肉体的な弱さが指摘されていたからですね。

とくに中村俊輔が得意とする“トップ下”というポジションは
決定的なパスを供給するチームの柱です。
ゲームメーカーです。
当然、相手チームからのマークもきつく、
自由にプレーすることもままなりません。

フリーで前を向いた時の中村俊輔は
おそらく世界でも通用する実力をすでに持っています。
ただ、後ろからつないできたボールを
“トップ下”の選手が受けて前を向く、
という行為自体が大変なんですね、現代のサッカーでは。

そこでトルシエは比較的プレッシャーの少ない
左サイドに彼をコンバートし、
そこからのゲームメイクを期待したのです。

ところが、本来のポジションではなくなった
中村俊輔自身の葛藤もあり、
レギュラー確保には至りませんでした。

そうこうしているうちに
小野伸二が移籍したオランダのチームで
この左サイドのポジションを獲得したり、
(現在は守備的ミッドフィルダーのポジションもやっている)
清水エスパルスの左サイド、
サントス選手(三都主)が日本国籍を取得したりで、
レギュラーはおろか
日本代表メンバーにも選ばれないかも、
という状況なわけです。

● ● ● ● ●

そんな折り、
トルシエは4月29日に行われたスロバキア戦で
ワントップというシステムを試しました。

ここでサッカーのシステムについて
簡単に説明しておきましょう。

サッカーにおけるシステムというのは
試合に臨む上でのチームの布陣や基本的な戦い方のことです。
日本代表はトルシエが監督に就任して以来、
3ー5ー2(さん、ごー、にー)
というシステムを採用してきました。
こんな感じです。

    FW   FW

      OH
 SH         SH
    DH   DH      ↑こっちに攻めていく

  DF   DF   DF

       GK

一番後ろはゴールキーパー。
この人はどんなシステムでも必ずいるので
システムを表現する場合には考えません。

その前にいる人たちがディフェンダー。
守備を主にする人たちです。
ここが3人だから3ー5ー2の3なのです。
フラットスリーという言葉を
聞いたことがあるかもしれませんが、
トルシエはこの3人を一直線に並べる
という方式を採用しています。

そのまた前にいる2人が
守備的ミッドフィルダー(ディフェンシブハーフ)。
両サイドに広がっているのがサイドハーフ。
そのさらに前にいるのが攻撃的ミッドフィールダー、
いわゆるトップ下です(オフェンシブハーフ)。
この人たちをまとめて“中盤”と呼んだりもします。
ここが5人だから3ー5ー2の5です。

そして一番前にいるのがフォワード。
主に点を取る仕事をする人です。
ここが2人なので3ー5ー2の2なのです。
この場合、ツートップなんていう言い方もします。

トルシエがスロバキア戦で試したのは
3ー6ー1というワントップです。
フォワードを1人にして
オフェンシブハーフを2人にしたのです。

では、そのスロバキア戦をWWE6で再現してみましょう。


● ● ● ● ●

【WWE6 シミュレーション 2】

先発は、また実際のメンバーを使ってみます。
こんな感じでした。

        西澤

     中村    森島

 三都主           柳沢

     稲本    戸田

  中田(浩) 宮本  松田

        曽ヶ端

海外組は、移籍先でトップチームに入れていない
稲本と川口が参加(川口はケガのため試合には出場せず)。
あとは国内で活躍する選手のみで構成されました。

実際の試合は38分に西澤がゴールを決め、
1ー0で日本が勝利。
60分過ぎにはメンバーを代え、
通常の3ー5ー2に戻したりもしました。

このシミュレーションでも同じようにしてみたところ
まず44分に森島のシュートを相手キーパーがはじいたところを
西澤が豪快に蹴りこんで日本が先制。
そして57分、ついに中村のスルーパスが三都主に渡り
決定的な2点目を挙げて日本が勝利しました。

19本のシュートを浴びせながらも
ことごとく外し続けるという決定力のなさは
実際の日本代表を見ているようでイヤになりましたが、
中村が見事なスルーパスを決めてくれたのは収穫です。

このシステムは、トルシエが明らかに
中村を意識してテストしたものと思われます。
トップ下が1人ではマークもきついですが、
2人にすればマークも分散され
中村のパス能力も活かせるというわけです。

そしてこの試合のもうひとつの見どころは
本来はフォワードである柳沢を右サイドに起用したことです。
これはおそらく、小野を右サイドで使ってみるテストだと思います。
だから通常の市川や波戸ではなく、
攻撃的な選手の柳沢を使ったのです。

ということは、

     ○○

   中村  中田

三都主       小野

という、超攻撃的布陣も
トルシエの頭の中にはあるのかもしれません。

もちろん、今まで熟成させてきた3ー5ー2を捨て、
この期に及んでワントップを基本にすることはあり得ません。
ただ、中村をメンバーに入れ、
こうしたオプションも用意しておく可能性は
十分に考えられます。

さて、17日に予定されている
W杯最終登録メンバーの中に
中村俊輔の名前はあるのでしょうか?

(今日の名言)

  フットボールで最も重要なのは集団として何をするかだ。
  個人として脚光を浴びたいなら私はテニスのシングルスをやる。
  あるいは素敵な女性をパートナーにして混合ダブルスをやる。

                  エリック・カントナ





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