タイトル■とるしえの実験室
     
〜怒濤のワールドウイニングイレブン6はW杯の夢を見る、のか?〜
書き手 ■
ロビー田中

サッカーのコンテンツです。このコラムでは
「ワールドウィニングイレブン6」というゲ
ームを使ってシミュレーションしながら日本
代表の戦い方を占ってみたりします。またサ
ッカーに関するいろいろな投稿も募集してい
ます。いろいろの人の参加、お待ちしてます!


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第6回「サッカーを知ることは世界を知ること」

第1回の原稿で、
世間はW杯に向けて盛り上がっている、
とか強引に決めつけたくせに、
自分があんまり盛り上がってこないんですが…(笑)。

W杯そのものではなくて、
それに付随するものばかりが
TVで取り上げられていたりして
ちょっとこう、何ていうか、
気分をそがれていたりしてね。

たとえば例のカメルーン問題。
ドタキャン、カメルーン!
いつになったら来るのか、カメルーン!
困惑する村長!
ついにフランスを出発!
今度こそ来るのか、カメルーン!

この手の話題なら
普通のノリで取材できるから、
ここぞとばかりに
目を輝かせて取材してましたな(笑)

それにしても、
日本は常に“郷に入っては郷に従え”なのかなあ。

カメルーンは飢餓まではないけど
決して豊かな国ではないです。
日本も経済援助をしてます。
選手たちは自分たちの稼ぎで
多くの家族を養わなければいけないんです。

だから4年に1度しかないW杯の代表に選ばれたら
その時にボーナスを強く要求するのは当たり前です。

それなのに、
在日のカメルーン人に向かって
“そこまですることないんじゃないですか?”
とか真顔で聞くレポーターもいたりして…。

サッカーに興味を持つと
自然と世界についての知識も広がります。
なんたって、国際サッカー連盟(FIFA)に加盟している国は
国連加盟国の数よりも多いんですからね。

民族や階級の違いによって
同じ国の中でも
どうしても仲がよくなれない地域があることも
サッカーを見ていると自然に分かります。
スペインのバルセロナとマドリードなんかは有名です。

しかも、頭脳、肉体、精神、
すべてを使ってプレーするサッカーは
プレイヤーが育った地域の文化や価値観も
すべて現れてしまいます。

だからそれぞれの国や地域、民族によって、
表現されるサッカーも違ったりするわけですね。

ちなみに、ブラックアフリカンは
今でも黒魔術を信じている人が多いので
サッカーの試合でも使いますよ(笑)

前回のアフリカ選手権では
試合前にカメルーンのGKコーチが
相手チームに黒魔術をかけようとして
その場で逮捕されましたが…。

一応、国際試合では禁止してるみたいですね。
アフリカのサッカー連盟として。

でも国内のクラブチームでは
試合前のロッカールームに
生け贄の動物が吊されていたりすることが
今でもあるそうです。

いいとか悪いとか、
進んでるとか遅れてるとかの問題じゃないです。
世界は広いんです。
そして、日本もその広い世界の
ひとつの国でしかないんです。

そういうことも理解した上で
W杯を楽しんで欲しいなあ、と思いますね、私は。

今度のW杯でも
日本のアイデンティティーは
好むと好まざるとに関わらず、
現れてしまうと思いますよ。

みんなお行儀よく試合を観戦するのかもしれないし、
選手たちはトルシエとの約束事をきっちり守るのかもしれなし、
突発的な緊急事態にまったく応用力を発揮できないかもしれないし…。

だから面白いんですね、サッカーは。

● ● ● ● ●

では、今回のシミュレーションは
先週行われたスウェーデン戦を参考に
カメルーンと戦って見ましょう。

【WWE6 シミュレーション 6】

先発メンバーはこんな感じ。

        柳沢

    中田(英) 森島

服部            小野

     稲本   戸田

  中田(浩) 森岡  松田

        楢崎

小野を右サイドに置いたワントップです。
これが残り時間15分、
みたいな状況なら左は三都主ですが、
先発なので左は守備的な服部ですね。
これはセオリー通りです。

シミュレーションでは
後半11分、エムボマにヘディングシュートを決められ
1対0で敗戦。

理由は簡単、操作する私が
このシステムに慣れていなかったからです(笑)

ただ、現実の試合でもこれはありましたね。
スウェーデン戦では、
小野のコンディションが最悪だったというのもありますが、
このワントップを採用した前半はまったくボールがまわりませんでした。

後半、通常の2トップにしてからはボールがつながったので
やはりシステムに慣れていないのは明らかだと思います。

なぜトルシエがこのワントップも試しておきたいのかというと、
1次リーグで対戦する相手が、
フランスやブラジルなどの超一流ではないからなんですね。

フランスやブラジルだったら、
最初から向こうも攻めてきます。
本気を出せば日本なんかに負けないと思ってますから。

でも今回、1次リーグで戦うベルギー、ロシア、チュニジアは
そこまでの差はありません。
しかも日本はホームで戦うという有利さがあります。

そこで相手も引いて守る可能性があるわけですね。
そうすると、日本としては
フォワードが走り込むスペースが無くなるわけです。

こんな感じ。



逆に、中途半端な場所でボールを取られたら
一気にカウンター攻撃を受けてしまいます。
上の図を見ても分かるように、
攻め上がってる日本のディフェンダーの後ろには
広大なスペースがありますからね。

相手に足の速いフォワードや
背の高いフォワードがいたら、
簡単にやられてしまう可能性もあります。

そこで中盤でしっかりとボールをキープして
シュート力のある中田や
すばしっこい動きのできる森島の攻撃力を活かしたい
という作戦なわけです、日本のワントップというのは。

要するに、ワントップも有効な作戦であることは確かです。
ツートップでもワントップでも
自由に切り替えることができれば、
かなりラクに戦えるんです。

それが簡単にはいかないんですね。
ワントップならワントップ用のマニュアルを
きちんと作ってあげないと
瞬時に応用は効かない、
というのが日本人の特徴なんですよ、きっと(笑)。

サッカーのルールを知らなくても
自分たちがどんな教育を受けてきたか、
そんな社会で生きてきたか、
ということを考えながら
選手たちのメンタリティーを想像すると、
意外と面白いかもしれませんよ。

(今日の名言)

  フットボールは大衆のスポーツです。
  フットボールは文化であり、
  アイデンティティーであり、
  連帯です。
  フットボールはすべての人々のものなのです。

           レナート・ヨハンソン





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